はりきゅう漢方の先生が教えてくれる健康に関する話
Twitter(X)リンク @kkclinic
前回、はとにかく食欲が旺盛な方に使う大柴胡湯(だいさいことう)でしたが、
今回は、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)のお話をいたします。
防風通聖散はどちらかというと「健康固太りの方」に処方いたします。
この漢方方剤の医療的効果を西洋医学的な病名を使って列挙しますと、脳出血、高血圧、動脈硬化、便秘、痔、湿疹等の皮膚病、蓄膿症、眼病、糖尿病、喘息、膀胱炎、肥満症などとなります。
たくさんの一見まったくちがった分野の病名が並んでおります。
漢方医学では、これらの病気が出てくることが予想される、体質、体調の背景を探ります。
この場合、体の中の熱がなんだかスキッと出て行っていないようです。
だから、その熱が、脳、血管、大腸、皮下、鼻や眼や肺の粘膜にこもっている病気が見受けられます。
じゃ、この熱は何で起きているんでしょう、、、、
インフルエンザなどでは、外から進入した病気に対抗するために免疫システムがしっかりと働いて、熱が出ることがあります。これは多くの場合「実熱(じつねつ)」と表現され、何かと戦っている、言ってみればホットな状態であります。
しかし、今回の熱はそういう戦いの熱ではなく、体の中の何かが弱った事、減った事によって、陰陽のバランスが崩れて起きている熱だと考えられます。
健康固太りという事は、しっかりと食べていて、少し運動不足なのと、ストレスがたまっているので、体に疲れというか虚しているところがあるために、熱や汗が十分に発散されていない、便や尿からの発散も十分ではない。。
このような状態が防風通聖散の適応する身体的背景となります。
防風通聖散は本来成人病予防に使うことができます。山楂降脂片 (さんさこうしへん)と併用する事もよいことです。
ダイエットの漢方薬は多くの方からの質問が寄せられています。
前回は、単品の漢方薬の危険性のお話をいたしました。例えば「センナ」(漢方名は番瀉葉)を使ったダイエット療法は、ただの「下剤療法」なので、便が出まくるのでやせますが、体に悪いということです。物理的(無理に)にやせさせるだけで、ふくよか体質の方は変らないという事です。
漢方薬は方剤という、いくつかの漢方薬が混ぜ合わされた形のものが、体にも優しく、いっそうの効果が期待できます。各々の漢方薬同士の合わせの妙を駆使しているのです。
今後は何種類かダイエットに使われる漢方薬のお話をいたします。
今回は大柴胡湯(だいさいことう)のお話をいたします。
この漢方方剤は、「食欲が旺盛」、胃腸に熱がこもりやすいので「便秘で苦しみ、下痢をするとむしろ気持ちがいい」「ストレスをためてしまい発散させることが少ない」などの体質がある方に使います。
今回はこの方剤をダイエットの薬として紹介していますが、本来この方剤は「食欲が旺盛」な方の、急にブチ切れて暴れてしまうなどのストレス対策、うつ症対策、便秘、肩こり、高血圧などに使います。もっと細かく並べますと、食欲が旺盛であれば、喘息、胃病、胆石症、肺炎、黄疸、脳出血、神経衰弱、蕁麻疹、眼病などのときも使われます。
これらのような傾向の方のストレスを癒し、体の力が抜けてしまわない程度に便通を良くし、胃腸の熱を抜いてゆく事によってダイエットの効果が期待できるのです。
本方剤は以前にも書いておりますが、日本では「ビスラットゴールド」の名前でも売られています。
ダイエットに漢方薬やよく効きます。
しかし、やはりご自分で行うエクササイズなども併用する事です。
手前味噌ですが、私のダイエットの成功例を載せておきます。
皆様に幸あれ。。。。
これまで、漢方アメリカOnlineのお支払い方法は、ペイパル、小切手と日本のUFJ銀行でした。
本日よりジャパンネット銀行にもお振込みができるようにいたしました。
今後とも漢方アメリカOnlineをご愛顧のほど、お願い申し上げます。
大昔から、ダイエットの漢方薬もいろいろなものが作られてきました。
学校の生徒たちに「ダイエットの漢方薬治療はどうするの?」と質問をして見ました。
すると生徒たちは競って手を挙げて「大黄(だいおう)!」、「いや!番瀉葉(はんしゃよう)です!」などとてきぱきと答えます。
それも、米国での漢方薬の名称は中国語のローマ字読みで教えられているので、「大黄(だーほゎん)!」、「いや!番瀉葉(ふぁんしぇいえ)です!」と答えてきます。
ちょっとまったぁ!
ほとんど全部の学生さんは、単品の漢方薬の名前を出してきます。
米国の東洋医学は教科書には理想的なことが書かれているものの、実際の臨床では、どうしても一つの病名に対して、単品の漢方薬を処方してしまう傾向にあります。なかなか西洋的な医学の考え方から抜けられないでいるのが現状です。
上記の大黄はともかく、番瀉葉は日本では「センナ」として知られる、強力な下剤です。
センナは便秘に大変よく効く漢方薬なので、一時期日本で大変はやっておりました。がんがん便が出て、やせてゆくのです。しかし、漢方薬を単品で飲むのは、あまりお勧めできません。じじつ、センナダイエットにはまってしまったために、体の熱と液体を放出しすぎて、それが慢性化したために、体調を崩してしまう方がたくさんいらっしゃいました。
このような方々は、確かにやせるのですが、お肌の色が悪くなり、強い冷え性となり、センナ無しには排便が状態にまでなった方々を治療したことがあります。
例えば、漢方医学の教科書には、カゼなどをこじらせて熱が出ている場合、体表から汗を出させたほうがよろしい段階であれば、発汗性の漢方方剤を処方します。その熱が胃腸にまで及んだときは、
カンチョウや下剤をだしてお尻から熱を出すことによって、熱を冷まします。しかし、この時期が来ていないのに早めに下してしまうと、調子が狂ってしまいます。
お尻からは体に必要な熱や液体が出てしまい、でも、上半身には発熱する要素が残っているという事になります。こうなると、下半身は冷えて弱弱しく、上半身には熱がこもり、それを発散させる力も減っているので、こもった熱で狂騒状態になったり、頭痛や耳鳴りなどで苦しむ事になります。
また、下剤系の漢方薬を単品で使いすぎて、うつ症が重くなってしまった方もいらっしゃいます。彼女は極端な便秘と冷え性で、ややうつ病気味な痩せ型の体質の方でした。便秘を治すためにご自分の判断でセンナを長期間大量に服用してしまったようです。
確かに便はよく出たのですが、冷え性は悪化し生理も止まってしまいました。人間の体は極端に冷えると、胸の周りには熱を残して最後の砦として心臓を守るようにできています。体が余計に冷えて、うつ症が悪化し、胸の周りの熱が盛り返してくると逆に以前よりも強い躁状態が出るようになっていました。
彼女も単品の漢方薬の被害者でした。漢方薬は方剤といって、いくつかの漢方薬が混ぜ合わされて作られたものが、安全で、副作用も少ないものです。
同じ名前の病気を治すにしても、その方の体質の現在の状況によって、一人ひとり異る漢方方剤が使われます。
次回はダイエットに使われる漢方方剤をいくつか紹介いたします。
漢方アメリカOnlineをよろしくお願い申し上げます。
私の記事が載っている月刊誌
「はつらつ元気」です。ご参考になさってください。