前回は、肝の「蔵」と「経絡」という表現の意味を述べ、これらがそのまま解剖的な意味での肝臓とはちがうということをお話したかったのです。
さて、肝の「蔵」は血を蔵している、特に夜になってそこまで必要でなくなった血(ち、けつなどと発音します)をその経絡が集めてくると申し上げました。
時として、
1)その血の中の水分が減ってしまう場合
2)それが長く続いて、血の流れ自体が悪くなってしまう場合
3)そして血自体が減ってしまう場合が人体に起ると、病の決定的な原因となるのです。
今回は1)の血の中の水分が減ってしまうことについてお話を致します。
人間関係で激怒したり、大酒を飲んだり、目を酷使したり、風邪をちゃんと治さなかったりなどの精神的或いは肉体的ストレスによって、血の中の水分が減ってしまう場合があります。
東洋医学では体内の水分を津液(しんえき)とよんで「津」を汗などのさらさらした液体とし、「液」をそうはない粘液様の水分としています。
本来生暖かい体内の、特に肝の血の中の液体が減ると、血事態は通常よりどろどろした状態になり、そのために「熱」が発生いたします。この様子を想像できますか?
この体内の何かが減った状態を虚実(きょじつ)で表せば虚といえます。
そして、この場合、津液が虚したために発生した熱を虚熱(きょねつ)といいます。熱はその性質から、上昇するようになっておりますゆえ、この虚熱が胸に上れば不整脈、頑固なセキ、目に上れば白内障、緑内障、疲れ間目、頭に留まれば不眠症、怒りっぽくなる、潔癖症になる、強迫神経症などの原因になります。
その虚熱が頭部に多く留まりすぎたときは、脳卒中などの脳血管障害の原因となります。また、この虚熱が腰にたまれば、ぎっくり腰などの腰痛症などがおきることがあります。
特に肝の「経絡」は足の親指の内側から始まって、内腿を通り、生殖器に絡んでから、肝と胆を通り胸を廻って一部は目に抜けてもう一部は頭頂部に抜けています。
ですから、「肝」絡みの病はこのどこで起っても不思議ではありません。
「経絡」は目には見えませんが、間違いなくその各々が属する蔵と呼応して、体中をめぐっているのです。
この状態を東洋医学では肝虚陰虚熱症(かんきょいんきょねっしょう)といいます。
問診をしたときに、「最近イライラして、腰が引きつって、目が乾くような気がして、頭の鉄片が痛いです。生理痛もひどく、無排卵月経です」などとおっしゃる患者さんがいらっしゃって脈診、腹診などをしてみると、確かにそのような脈やお腹をしているようなら、肝虚陰虚熱症(かんきょいんきょねっしょう)として治療を行うのです。
そうすると、病名がどれであっても、この肝虚陰虚熱症(かんきょいんきょねっしょう)が治ると、病自体の存在理由がなくなってしまうので、どれもが治ってしまうのです。
このようなときの代表的な漢方薬が、「抑肝散加陳皮半夏(よっかんさんかちんぴはんげ)です。
鍼灸治療では例えば、曲泉(きょくせん)と陰谷(いんこく)を痛みを感じさせないような、気力を補うような手技で行います。
もちろんこれに、交通事故にあったことがある、流産したことがある、昨日歯を抜いた、痔がある、よく足がつるなど個別の症状や過去の出来事がある場合は、漢方薬の匙加減をしたり、使う経絡やそのツボの種類が変ってくるのです。
日本伝統鍼灸漢方
さて、肝の「蔵」は血を蔵している、特に夜になってそこまで必要でなくなった血(ち、けつなどと発音します)をその経絡が集めてくると申し上げました。
時として、
1)その血の中の水分が減ってしまう場合
2)それが長く続いて、血の流れ自体が悪くなってしまう場合
3)そして血自体が減ってしまう場合が人体に起ると、病の決定的な原因となるのです。
今回は1)の血の中の水分が減ってしまうことについてお話を致します。
人間関係で激怒したり、大酒を飲んだり、目を酷使したり、風邪をちゃんと治さなかったりなどの精神的或いは肉体的ストレスによって、血の中の水分が減ってしまう場合があります。
東洋医学では体内の水分を津液(しんえき)とよんで「津」を汗などのさらさらした液体とし、「液」をそうはない粘液様の水分としています。
本来生暖かい体内の、特に肝の血の中の液体が減ると、血事態は通常よりどろどろした状態になり、そのために「熱」が発生いたします。この様子を想像できますか?
この体内の何かが減った状態を虚実(きょじつ)で表せば虚といえます。
そして、この場合、津液が虚したために発生した熱を虚熱(きょねつ)といいます。熱はその性質から、上昇するようになっておりますゆえ、この虚熱が胸に上れば不整脈、頑固なセキ、目に上れば白内障、緑内障、疲れ間目、頭に留まれば不眠症、怒りっぽくなる、潔癖症になる、強迫神経症などの原因になります。
その虚熱が頭部に多く留まりすぎたときは、脳卒中などの脳血管障害の原因となります。また、この虚熱が腰にたまれば、ぎっくり腰などの腰痛症などがおきることがあります。
特に肝の「経絡」は足の親指の内側から始まって、内腿を通り、生殖器に絡んでから、肝と胆を通り胸を廻って一部は目に抜けてもう一部は頭頂部に抜けています。
ですから、「肝」絡みの病はこのどこで起っても不思議ではありません。
「経絡」は目には見えませんが、間違いなくその各々が属する蔵と呼応して、体中をめぐっているのです。
この状態を東洋医学では肝虚陰虚熱症(かんきょいんきょねっしょう)といいます。
問診をしたときに、「最近イライラして、腰が引きつって、目が乾くような気がして、頭の鉄片が痛いです。生理痛もひどく、無排卵月経です」などとおっしゃる患者さんがいらっしゃって脈診、腹診などをしてみると、確かにそのような脈やお腹をしているようなら、肝虚陰虚熱症(かんきょいんきょねっしょう)として治療を行うのです。
そうすると、病名がどれであっても、この肝虚陰虚熱症(かんきょいんきょねっしょう)が治ると、病自体の存在理由がなくなってしまうので、どれもが治ってしまうのです。
このようなときの代表的な漢方薬が、「抑肝散加陳皮半夏(よっかんさんかちんぴはんげ)です。
鍼灸治療では例えば、曲泉(きょくせん)と陰谷(いんこく)を痛みを感じさせないような、気力を補うような手技で行います。
もちろんこれに、交通事故にあったことがある、流産したことがある、昨日歯を抜いた、痔がある、よく足がつるなど個別の症状や過去の出来事がある場合は、漢方薬の匙加減をしたり、使う経絡やそのツボの種類が変ってくるのです。
日本伝統鍼灸漢方