けい先生のつぼにくる話

はりきゅう漢方の先生が教えてくれる健康に関する話
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シャスタ山外伝 藿香正氣散

2008-06-28 06:02:04 | 東洋医学全般
山嵐瘴気(さんらんしょうき)という言葉をお聞きになったことがありますか?
これは山の毒、山の氣に当たったという状態です。
時代物の小説に山の気に当たったとか、瘴気で気が触れたとか言うくだりをお読みになった方もいらっしゃるかもしれません。

シャスタ山のことは、ずいぶん前から世にもすばらしい山だと聞いてはいたのですが、私は以前シャスタ山に行ってきたばかりのある方が、あまりにも突飛なことを言うので、シャスタ山を含むアメリカのスピリテュアルな場所に偏見を持っていたのです。また、ほぼ同時期に日本では有名な瞑想を教える団体が、アメリカでは詐欺まがいのことをやっていることを知って、偏見にますます拍車がかかっていたのかもしれません。

その方はそこで何かに突き動かされるように奇声を発しながら、大勢の前で転げまわって踊りくるって皆さんを癒してあげた(??)とおっしゃっていたので、私は怖くなってしまったのです。

今思えばこれば山嵐瘴気(さんらんしょうき)に当たったとか、山嵐瘴瘧(さんらんしょうぎゃく)を起こしたということといえるのです。
この瘴気というのは東南アジアのような熱帯地方の山を散策していて、錯乱を起こしたり、マラリアにかかったようなおこりのような発作を起こすことも含まれます。本人は苦しんでいる場合と、恍惚とした境地をさまよっているようにみえる場合があるようです。

そのような時は「藿香正氣散(かっこうしょうきさん)」をつかいます。狂気を抑えて、落ち着かせ、一箇所に集中した熱や腹痛などをも安定させる作用があります。古典での解説は下記のとおりです。


【勿誤薬室方函口訣】

此方ハ元嶺南方ニテ、山嵐瘴気ヲ去ガ主意ナリ。夫ヨリ夏月脾胃ニ水濕ノ氣ヲ蓄へ、
腹痛下痢シテ頭痛惡寒等ノ外症ヲ顕ス者ヲ治ス。世ニ不換金正氣散ト同ク夏ノ感冒薬ト
スレドモ方意大ニ異ナリ。

この漢方方剤以外にも、狂騒状態を散らすために、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、甘麦大棗湯(かんばくだいぞうとう)、大承気湯(だいじょうきとう)などが、患者さんの状態によって使い分けられます。

いずれにしても、こういった症状は、病人の体質に更年期や過大なストレスや過労のある方に、一種の熱がこもっておきるということで、決してシャスタ山の悪い波動が引き起こしたとはいえません。


シャスタ山がこんなによいところだと、もっと早めに気がついておればよかったと後悔しています。
これからは日本の幽玄な山々と、シャスタの両方に詣でてみたいと考えています。
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シャスタ山にいってきました!

2008-06-26 15:31:38 | 雑記
シャスタ山に行ってきました!!

すばらしい山でした、というより町全体、地域全体が優しくて、楽しくて、いろいろ気づかされるものがありました。そして何よりうれしかったのは、おいしい水でした、心身が浄化されたような気がします。

私の日本時代の悪友がいて、若いころはこれとかなりやんちゃなことをしまくったものでした。これが中年になった今でも放浪の旅に出たり、急になんだかスピリテュアルなことをはじめたりするんですね。それも半端じゃない集中力で。それでいて、この男の読書量と教養は大変なものがあるわけです。畏友であります。
彼が最近日本の山に2ヶ月ほどこもってきたようなのです。

そんなこともあったためか、私も急にこちらのシャスタ山に行きたくなって、そういえばこの山に詳しい患者さんがいらっしゃったな~と考えていると、翌日にその患者さんが診療所にいらっしゃったのです。
「ホホー、シンクロしましたね~」とお話した翌日に、彼女の著書である「パワースポット シャスタ山の歩き方」を購入いたしました。

早速宿を予約して、お休みを頂いて、本当に久しぶりの仕事を忘れた時間をすごしてまいりました。

シャスタ山の場合、「素晴らしい景色」という点だけで言えば、日本の霊峰と言われる山々の方が勝ります。最近流行のスピリテュアルブームに乗って、その不思議体験だけを望んでいくのであれば、きっと失望するだけでしょう。

しかしながら、この山や滝を含む全域と、その町に住む人々の驚くべき優しさに私は大変感動いたしました。
そういった何気ない優しい氣にのようなものに包まれたときに、「あ、感謝なんだな」という気持ちが起きてきました。当たり前のことにとても感謝できるようになったことと、自分のたぶん劣等感や、はるか昔に受けて忘れていた心の傷を受け入れる気になったりしました。これは自分の怒りとか恐れのような感情が湧きあがって来るメカニズムと、その対処法を自分で感得するよい機会となったのです。

時々、シャスタ山絡みの話題と東洋医学についての接点などをお話しできればと考えています。

日本伝統鍼灸漢方
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肩の痛み

2008-06-22 14:41:08 | 東洋医学全般
最近肩を痛めた方が多くいらっしゃいます。合気道の練習中にねじった方、寒いオフィスで長い間もくもくと仕事をしていてなった方など、さまざまです。

多くの方は肩のローテーターカフと呼ばれる関節の周りの筋肉、筋の集まりが不調和を起こして起きています。

特にここ数日のような暑い日が続いているときに、ゴルフなどに行って、ウインドブレーカーの下に大汗をかいた後に、それを放置してビールなどを飲んでからだを冷やした肩などに発症します。この一度汗をかいてから、風通しの悪い衣服の中で逆に冷やしてしまった場合、湿気と冷えで激痛を感じていらっしゃる場合が多いのです。

とにかく、予防に勝る治療法はありません。汗をかいたらきちんとふき取って、下着を替えておきましょう。また、肩や肘が慢性的にいたいときは、タオルや適当な大きさの布でくるんで寝ましょう。自分の体温をくるみこんで寝るのが一番の養生です。

患部を冷やしたり、温めたりするのは、一歩まちがうと逆効果になります。
基本は適度の温めることです。必ず患部を布でくるんでから寝てみましょう。

日本伝統鍼灸漢方

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「異形の大国中国」 彼らに心を許してはならない 櫻井よしこ

2008-06-21 14:49:22 | 國を思う
一昨日サンフランシスコの紀伊国屋書店で櫻井よしこ氏の「異形の大国中国 (彼らに心を許してはならない)」を買いました。櫻井氏の冷静で理論的で史実にもとづいた真理を述べる文章に感服いたしております。

当たり前のことですが、日本人が胸を張って生きてゆくには、自国の歴史と文化を学びなおすことです。
いまさら勉強か?といわずに、簡単なものから楽しんで、学んでゆきましょう。

例えば、漫画だからとバカにせずに、小林よしのり氏の「戦争論」を読んでみて、同時に読み物として、本多勝一氏の「中国の旅」を読み比べてみるのはどうでしょうか?
漫画や読み物から入って、少しづつ深めていくのです。そうすれば何が本当で何がそうではないかを見極める感性が養われます。

この「中国の旅」は私たちが高校生か大学生のときに朝日新聞に載っていたシリーズの単行本化されたものです。当時、就職試験や大学入試の面接の時には「朝日新聞」を読んでいると有利だといわれたものです。そして、この「中国の旅」と「天声人語」だけはちゃんと読んでおけと、まことしやかに言われていたものです。

Japan we stand!
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日射病  本当にいつもはこんなことしませんからね。。。。

2008-06-21 08:28:12 | 東洋医学全般
そしてもう片方も治療しますとこうなるわけです。
するとどうでしょう、患者さんの体から熱気がゆらゆらと放出し始めて、30分もすると、熱射病の症状がほとんど飛んでしまいます。

この方の場合は、即座に食欲が出てきて、頭痛、めまい、吐き気がなくなり、もう一度熱のこもった無痛の下痢をされたようです。その晩は焼肉をバンバン食べれたそうです。

この恐ろしい痕は、3日ほどできれいに消えてしまいます。まったく心配は要りません。この引っかく形もさまざまあるのですが、この形が一番の基本です。

この治療でべらぼうな料金を取られるのはよくありません。ただの民間療法だからです。こんな治療を看板にし何百ドルも請求している先生がいたら注意しましょう。
でも大変効くことは確かです。
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日射病治療の続き いつもはこんなことしませんが。。。。

2008-06-21 07:44:05 | 東洋医学全般
このしゃしんすごいでしょう?
日射病の患者さんで、皮膚の下に熱がこもっているときに、そこを指でこするとすぐに赤い色が浮いてきます。これは痧(さ)といわれる皮下にたまっていた熱気が、皮膚をスクラッチしたために出てきたものです。一種の急性の内出血ですが、別に痛くはありません。ただ、見かけが恐ろしくてしょうがないわけです。

この治療法は10年以上前はぜんぜん無名だったのに、ハリウッドあたりで300ドル以上のうそみたいな値段を取って、一所でぼろもうけをして、やばくなると事務所を移転している怪しい治療家がいるらしいです。こういう人たちはこの民間治療法がどんな難病にでも効く秘法だと騙っているのです。

これは熱射病の応急処置治療です。決して秘法なんかではありません。
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日射病の荒治療 普段はこんなことしないんですけどね。。

2008-06-20 07:47:07 | 東洋医学全般
ミャンマーやタイで東洋医学の診療活動をしていたころ。1995年から3年余りでしたが、そのころの現地の民間療法に過激なヒッカキ治療がありました。
これはいつも暑い東南アジア全域の現地の華僑がよくやっている方法で、刮痧(Gua Shaコアサーときこえます)。

この方法は即座に日射病や熱中症を改善することができるので、現地ではかなり重宝がられていました。やり方は簡単です。
この症状は、暑い日が続いたり、ゴルフなどで長時間直射日光に当たった後に、体に熱がこもってしまって起きるのです。

軍政下のミャンマーでは大変暑い日に、テレビやラジオの放送を介して、軍部から今日は大変暑いので、帰宅直後に水浴びをしてはならない!と命令が下されるのです。これは思い切り熱がこもった体から、ある程度の熱気が汗と共に発散される前に水浴びをしてしまうと、その強烈な熱が体にこもってしまい、心臓麻痺、脳卒中などでショック死をする可能性があるからです。

一般的に体に外からの熱がこもってしまうと、頭痛がとまらない、なんか気持ちが悪い日が続く、突然水のような下痢が出て困る(腸が熱を出すために起きている)、食欲がないなどの症状が続きます。今までそうではなかったのになぜか落ち込む。。などの症状が数日続いたりします。


用意するものはタイガーバーム(萬金油)とその蓋だけです。
首筋や背中の背骨の両脇にこの膏薬を塗りつけて、その蓋でクイックイッと手首を反しながら、背中をおっかいてゆく。。。。それだけです。

次回は勇気ある患者さんのお写真を、本人承諾の上、載せさせていただきます。
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今月のラジオ放送

2008-06-16 12:12:54 | 東洋医学全般
今月の私の漢方相談コーナーは下記のとおりです。
お時間がありましたら、お聞きになってください。6月14日の7-8時のところをクリックしていただくと聞くことができます。

ラジオ毎日
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運動会

2008-06-16 11:57:11 | 雑記
昨日は子供たちが通っている、日本語補習校サンフランシスコ校の運動会でした。
私はいつも土曜日が仕事ではずせない場合が多く、こういう催しにはトンと参加したことがなかったのですが、昨日はほぼ初めて全日参加させていただきました。

父兄として、綱引き、たま入れなどの協議に参加して、久々に昭和の子供に帰って遊ばせていただきました。とくに綱引きですが、誰もが目を三角にして「おるあー!」と気合が入りまくっておりました。見回すとほかのおとうさんたちも大体昭和30-40年代の方々で、あのころがふっと脳裏に浮かびました。

子供のころというのは、誰もが結構つらい思いもしてるわけですが、なんだかとても懐かしくて、同級生の横顔や、いつもは怖いのにこういうときは妙にやさしくなる先生のお顔などもよみがえってきました。

いま、知人にお借りした浦沢直樹作「20世紀少年」全22巻と別巻上下巻を読んでいるところなので、「昭和」のあの頃や、「大阪万博」の記憶が鮮明に浮かびました。私は漫画が大好きなのですが、この20世紀少年は久しぶりに感心するほどよくできていると思います。多くの方々はもうとっくにお読みになっているかもしれませんが、私はかなりはまってしまいました。
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目の病 (緑内障、疲れ目、涙腺の障害等)

2008-06-10 15:16:12 | 東洋医学全般
東洋医学では、「肝は目に開竅す」といって、東洋的な意味での肝はその反応が目に現れると表現されます。もちろんそれ以外の原因で起ることもあるのですが、目の不都合は東洋的な意味での肝(私は米人にはオリエンタルリバーと表現してイコール肝臓という意味とは分けています)とその経絡(氣のとおり)の問題で引き起こされるとされています。

大体その通りです。現代人の多くはコンピュータで目を使いすぎ、逆も真なりということで肝やその経絡の氣や血を使いすぎて熱を持たせてしまったりします。
また、会社でのストレスや職場の方々の心ない言葉による怒りを飲み込んだりして、その熱気というか邪気というか悪いものが目に上って、障害を起こしている方がいらっしゃいます。

この場合、目に起る病名を挙げれば、疲れ目、緑内障、乾き目、赤目などいろいろありますが、たいていの場合、番茶を使ってかなりの効果を挙げています。
この関連記事は以前のブログにも書いたのですが、本日は目の悪い患者さんたくさんいらっしゃったので、もう一度かいておきたいと思います。

1.まず、番茶を濃く入れて、ボールとか丼に入れます。
2.それにおしぼりか、ガーゼハンカチをつけて軽く絞ります。
3.それをたたんで両目の上に載せて暖めます。

これだけです、とにかく気持ちよい温かさで、まだボールの中の番茶があったかいうちに何度か目を暖めてあげるだけです。男性の方は以前床屋さんでひげをそってもらう前に顔においてもらった蒸しタオルの感じを思い出してやってみましょう。

これで医者に匙を投げられて失明寸前の緑内障の方や、生後3週間で涙腺の障害があって手術を受ける直前の方、疲れ目でどんな目薬を使っても効かなかった方が完治しております。ちょっとよくなったのではなくて完治です。特に緑内障のような重大な疾患にも顕著な効果がありましたので、是非お試しになる価値があるのです。

この治療法は別に肝やその経絡をいじるわけではありませんが、眼球やまぶたにこもった熱や圧力が気持ちよく発散されるので、目の自然治癒力が高まって、よい結果が出たのです。

次回はあわせて服用すると、たいへん目によい漢方薬を選んでみましょう。


日本伝統鍼灸漢方

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