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急に歩けなくなる症状が完治した例 瘀血対策

2016-05-08 23:10:15 | 東洋医学全般


特に中年以降に起きる病気の中に、急に歩けなくなる病気があります。
例えば腰部脊柱管狭窄症という疾患は、歩いていて急に歩けなくなって、しばらくその場で休んでいるとまたもとのように歩けるようになるという症状が起きます。これを間欠性跛行(かんけつせいはこう)といいます。

もちろん似たような症状を起こす疾患は多々あるわけですが、今回は西洋医学的にはどのような疾患であるかはあまり考えず、その方の漢方医学的な意味での体質を改善することによって、予想以上の効果を得られたというお話をしたいと思います。

参考までにこの記事を添付いたします。
http://kanja.ds-pharma.jp/health/koshimage/qanda_01.html

http://www.benpi-ok.com/1-b-hokou-konnan.html

これまでに何人かの患者さんで、間欠性跛行が起こるので、腰部脊柱管狭窄症が疑われている患者さんがいらっしゃいました。
1.普段は普通に歩けるのに、散歩中に突然片足が、太ももの付け根から重だるくなり、何とも言えない痛みとなって歩けなくなってしまう。
2.5分ほどその場で休んでいるとまた歩けるようになる。
3.この痛みが去った後は、歩けるようにはなるものの、疲労感が強くてこまる。

ある女性の患者さん80代後半も、この症状に悩まされていました。
東洋医学的な問診と触診から、やや便秘気味の健康固太りタイプの瘀血(おけつ、血の巡りが悪い)体質と判断いたしました。

脊柱管狭窄症であるかどうかは、医師が精密な検査機を使って診断をするものなので、漢方「薬で脊柱管狭窄症が治った」と喧伝をしているのではありません。
ただ、ある患者さんに起きている上記1-3のような症状を、東洋医学的な見地から「瘀血」と判断をして治療を行った結果ということでご理解ください。

この患者さんには「食欲のある健康固太りタイプの瘀血体質」ということで、通導散を処方いたしました。
通導散を服用して2か月ほどたったころ、「あれ?そういえば散歩の距離が伸びたなあ。」「いつの頃か散歩のときの足の痛みを忘れていたなあ。」という急に痛みや症状が消えるのではなく、ある時「そういえば症状のことを忘れていたわい。」という東洋医学としては、理想的な治り方となりました。
引き続け1か月間この方剤を服用していただき、症状は完治いたしました。いまは血を増やすとともに、体が冷えないように日常的には当帰芍薬散を主に服用してもらっています。

病名よりも、その原因を作っている体質改善を眼目に置いた、典型的な漢方医学的な治療が功を奏した例です。この患者さんは、瘀血体質が改善されたことで、週に1-2度起きていた、胸が重くジワーッと息苦しくなるような症状もなくなりました。

この方の場合の飲み方としては、水曜日と日曜日に通導散を服用し、それ以外の曜日に当帰芍薬散を飲んでもらっています。血を増やして体を温め、週に2回は瘀血を駆逐する方剤といたしました。

注意事項として、通導散を飲みますと、多くの場合便通が大変よくなります。一日3-5回も排便するようなこともあります。一般的に「食欲旺盛な健康たか太りタイプの方」は、便がガンガン出たほうがむしろ気持ちよく、少し位下痢気味になっても体力が落ちることはないという方が多いものです。そういう場合はそのまま飲み続けても構いません。

いやいや、、排便多すぎでしょ。。とお感じになる方は、通常の服用量の4分の1くらいからお始めになって、だんだん量を増やしていってもかまいません。

わたくしも便通が良いほうが快適なので、自己人体実験のためにも、この通導散をちょくちょく服用しています。

「便が柔らかくなるのはちょっと困る。」という方は、瘀血対策のスタンダードな方剤である桂枝茯苓丸を服用なさってください。マイルドに瘀血を排出いたします。

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