けい先生のつぼにくる話

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水風船を使った身体操作   ざわつかない体

2017-10-05 16:55:05 | 圓功禅拳、古武術

小さな風船に水を半分入れたものを使って稽古をします。
あるいは500cのペットボトルに水を半分ほど入れたものも使えます。


風船はこんな風にして売られています。


袋に中に入っている、これを水道の蛇口にはめ込んで、水を注入して、そのあとに口で空気を吹き込みます。


これを売っている、パーティーグッズ専門店です。
サンマテオのサンタラーメンのあるモールにありました。


日本伝大東流合気柔術の岡本師範は、常に秘伝と言われていることを伝授して、後世に伝えてゆこうとお考えになっていらっしゃいます。
これは前回のアメリカセミナーの2日目の映像です。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLKFdW6e8h_hZx8CrBNnPNhnfBYF7GmTe0


岡本師範に稽古をつけていただいていたある日「内面がきれいに静止できた体」で触れられた相手にはどんな反応が起きるかについての伝授がありました。

1.自分の体の各部位を水が半分はいったペットボトルに見立てる。
2.相手の体の各部位も同じく水が半分はいったペットボトルに見立てる。

まずは、自分の体の風船や、ペットボトルの水のざわつきを収めて、バチャバチャしないように、きれいな水面になるように静止させる。
その静止した状態を触れた相手に渡してゆくような感じで、相手に伝えてゆく。

これがうまくゆくと、いろいろな変化が起きます。相手が吸い付いてくる。こちらにはなんの力感もないのに相手がこちらの思い通りに踊るように動いてくれる。などとという現象が起きます。その動きの幅は相手の感性にもよるのですが、確実にこちらから相手に何かの力が伝わることがわかります。

基礎としては、力まずに片足でチョーンと立って(踏ん張らず、力まず、電信柱の上で片足で立って静止しているカラスやカモメみたいな感じです。)、片手に持った水風船の水がきれいに静止して波立たないように心がける。その水風船の静止した水と、ペットボトルに見立てた自分の体内の水が同調してざわつきが収まるようにイメージをする。その内面が静止している状態を、こちらの体を通して、自分の力んでいない腕と手を介して、相手に触れてゆく。

私の圓功禅拳の動きの中に、この静止というエネルギーのようなものの構築が見られたので、こういう教え方をしてくれたのだそうです。


ヒトとヒトとは同じ動物なので、互いに触れ合ったり、触れられたときに、同じ骨格と同じ筋肉を持つ者同士が反応しあうので、今自分に何が起きようとしているのか、何をされているのかが直感的にわかるので、それなりの反応を起こして対応をしています。
しかし、相手と同じ動きと言いますか、同じ体の使い方をしている限り、スピードのある者、力のあるものが絶対的に優位に立つことになります。
猫だましのような小手先の技を使う以外には、弱い者には勝ち目がありません。

このような時、どちらも同じ動物として、バチャバチャと静止ができていない体のぶつかり合いとなっています。
そこで、一方が急に体内に静止した力をつかって対応をしてくると、相手にとっては一般的にはあり得ない感覚のために十分に対応をしきれないという状態が起ります。
実際にこれを使うときはお互いに動き回っているときなのでありますが、そのドタバタの中で、ヒョイと自分の身体に静止を発現させて相手に渡すということになるとのことです。

こういう刺激が伝わってくると、たとえその理合いを相手が頭ではわかっていても、体としては何が起きているのかわからない感覚としてはいってくるので、体を自分の意志に反して硬直させてしまったり、力が抜けたように感じたりするなどの誤動作を起こさせることができるのです。
誤動作を起こした相手は、むしろ鍛え上げた筋肉の持ち主ほど、その誤動作の範囲が大きくなってしまい、完全に術中にはまってしまうわけです。

実際にこれを相手との闘争の中で発現させるのは大変難しいのですが、これができるようになることが、武術の稽古の蓄積たるゆえんでしょう。

今回は「静止した水」という表現をいたしましたが、これに、正しい軸、筋肉ではなく腱や靭帯を使った動き、意識の操作などを加味してゆくことによって、武術として完成された身体操作となってゆくわけです。


こういった身体操作を鍼灸漢方の診断や治療に応用することができます。例えば、腹診や脈診をするときなどは、患者さんが治療家とはいえ赤の他人に触れられているという不安感を消してゆくことに応用できます。鍼をするときも、ポンと刺すのではなく、気がついたら相手が治療者とつながったような感じを起させたりすることができたりします。こうすると、相手の体に防御反応を起こさせることなく、適切な刺激を与えることができるので、痛くなくて気持ちが良くて、効きの良い治療となるのです。

施術者と患者さんがうまくつながった状態になると、時として、もちろん人にもよるのですが、患者さんご自身が明確に気の流れのようなものを感じるとおっしゃる場合があります。術者の方も、あ、、この治療は効いているな、今日はそろそろ治療の止め時だな。。などという感覚をつかむことができます。
また、この技術をお灸の火を患者さんが熱さを感じる前に消してゆくときの指の押さえにもつかえます。気持ちよくて深く効くお灸となるのです。


古の東洋の医師たちは、「命相卜仙医」ということを大切にいたしました。今回のお話は、その中の「仙」という学びにあたるのです。

この「命相卜仙医」に関しましては、10年位前にもこのブログに書きましたが、最近もう一度書き始めました、まだ「命」までなのですが、今後はしっかりと続きを書きたいと思います。
http://blog.goo.ne.jp/keisclinic/e/65125911d99ff6cac5966ff1069d306c


手技の本には書いていない
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