怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

今野敏「暮鍾」「ロータス コンフィデンシャル」

2022-02-22 07:29:07 | 
腰痛でテニスはリタイアしたので週末は読書で暇つぶし。
今回は今野敏の2冊。
今野敏は多作です。人気シリーズが沢山あって、東京湾臨海署安積班シリーズもその一つ。テレビドラマの「ハンチョウ」シリーズの原作です。
図書館で見つけると必ず読んでいるのですが、ほぼ読みつくしてしまいました。シリーズの新作が出ると予約するようにしているのですが、人気なので予約待ちが何百とあります。
やっと予約の順番が回ってきたのが「暮鍾」

2020年から2021年にかけて「ランティエ」に連載された短編をまとめたものです。
いつもながらの臨海署の強行犯第一係長安積剛とその部下の須田、村雨、桜井、黒木、水野と言う安積班のメンバーにいつも張り合う相楽第二係長、いつも敵役で出てくる警視庁捜査一課の佐治係長、さらには安積を信頼して色々助ける交通機動隊の速水隊長に鑑識の石倉係長、公務員の典型の榊原課長とおなじみのメンバーが織りなす物語はページがすいすい進みます。
シリーズの本はほとんど読んでいるので登場人物の性格もある程度わかっていて頭の中ではすっかりイメージが出来上がっているので、今回はどういう活躍するのかとワクワクしながら想像して読んでいきます。見た目はさえない警察官の須田がいつもながら魅力的です。ドラマでは確か塚地が演じていたのでしょうか。塚地よりはだいぶ若い設定でしょうけどイメージとしてはぴったりです。
警察の犯罪捜査ものと言うよりは、現場の苦労は分かっていても建前を押し付けるだけの上司に対して、組織の中で軋轢を抱えながら最善を尽くそうという中間管理職の苦悩と言うか部下に支えられながら部下を信頼して苦闘している人間模様が読み応えあります。
この本では最近よく言われている働き方改革が伏線になっています。本来の仕事の在り様が何も変わらないのに勤務時間だけを制限しても何も解決しないのですが、増員などは埒外で、事件は否応なしに起こる。建前の働き方改革がかえってまじめに働く人を追い込んでいきます。警察と言う組織で典型的に表れるのでしょうが、その構造はいろいろな組織部署にも当てはまることで、だからこそ多くの人の共感を得、読まれるのでしょう。
もう一冊の「ロータス コンフィデンシャル」は公安部外事一課の倉島警部シリーズ。公安のゼロ研修を受けてきたエリートの倉島だが今回はなんだか公安のヒリヒリするような感覚を失い、慢心していたかのよう。前半はなんだか情けない姿だったのが、そこから失地回復で作業班を組み、いつもながら刑事警察とぎくしゃくしながら反目しつつ協力して事件解決に挑んでいく。
今回の事件の背景はベトナムの原子力発電所計画をめぐるベトナム、ロシア、中国の裏での暗闘です。
公安警察は秘密のベールに包まれ、その実態がよく分からないし、刑事ものと比べて映画化されたりドラマ化されるのも稀。その思考方法とか行動はこんなもんかなと思わされるのですが、実際はどうなんだろう。それなりに取材しているのでしょうが、公安については直接取材は難しくて周辺情報から想像するしかないのでは。
二冊とも新幹線で集中して読めば東京駅への片道で一冊を読み終えることが出来そうですが、カバンに二冊詰めるのはなんだか…
夢中になって読めるので硬い本で疲れた後には気分転換で無性に読みたくなります。

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