こんにちは。
販促経営コンサルタント、藤田です。
本日は2回目の投稿です。
このカテゴリーは基本的にフィクションです。
販促経営コンサルタントの本田というわたしの分身を登場させて、様々な経営再生の様子を描写していきます。
内容はフィクションですので、モデルそのものはありませんが、実際に自分が経験したことも混じっていますので、これを読むあなたにもずいぶんと参考になることが出てくると思います。
あなたの経営改善のヒントにご自由にお使いください。
(なお配信は原則毎週1回水曜日にと思っていますが、基本的にランダム配信です)
「ある料亭の再生物語 <第1部>(その5)」
しばらくはみんなの思い思いのアイデアを聞いていた社長は、ちょっと静かになったところで胡座から正座に変え、あらためてあいさつを始めた。
「ありがとう、みんな。これでみんなの意思が固いということが判ったことだけでも嬉しかった。まだまだ千樹はやれる。生まれ変わるつもりでこれからのことを考えてみるよ。またみんなに相談することもあると思うけど、そのときはまた相談に乗ってほしい。じゃあ今晩はこれで終わりにします。本田さん、いいかな」
それまでそばでじっとみんなの言うことを聞いていた本田に顔を向けて社長は確認した。
本田は何も言わずに頷いただけだった。
その後社長と女将、板長、そして本田が残り、その後の千樹の方針を打合せした。
「社長よかったじゃないですか。やっぱりみんなに聞いてもらっていかがですか女将さん」本田が女将に言った。
「良かったわ。でもホントはこれからが大変よね。具体的に考えなくちゃならないし、銀行にも融資を頼まなくちゃならないし。ところで、ねえあなた、いえ社長。この本田さんに正式に紹介されていないんだけど」
「え、そうか。そうだった。悪い、悪い。板長も一緒に紹介するよ。本田さん。実は先日の商工会議所の部会があっただろ。そこで初めて会って、仕事がちょっと変わってるなあと思って話をしてみたんだ。うちのことをさ。初めて合った人だからそんなに何もでてこないだろうと思ってたんだけどね。本田さんの言うことを聞いてると、なんだかこの人と一緒にやっていけば、もしかしたら千樹も再生できるんじゃないかなって感じたんだ。そしたら女将がみんなを集めてこれからのことを話し合いたいと言ってきたものだから、ちょうどいいやと思って、みんなに、女将にも板長にも悪かったけど、一応オブザーバーとして出席してもらえないかと尋ねてみたんだよ。それでまあきてもらったというわけなんだ。本田さん、販売促進の企画とかその方面のコンサルタントを専門にしてる人です」
「はじめまして、藤田です」と言って名刺を女将と板長に手渡した。
その名刺に書かれていた「お客様目線で繁盛のアドバイス」というキャッチコピーにまず目が行った。
「恥ずかしい話ですが、こういった料亭のアドバイスというのはまだやったことがありません。
この時点ではまだ契約もしていませんので、もしそういうことで気に入らないのでしたら、はっきりとおっしゃってください。
でも、私は部外者ですから、まったくの素人的な目で見ることができます。傍目八目って言葉はご存知ですよね。関係者より、それとは全く関係のない傍観者の方が的確にものごとを見ることができるということです。
私はどんな業種でも、そういった目線でみなさんを見るようにしています。今お渡しした名刺のキャッチコピーのように、この店の客になった場合、どんなことをしてもらったら嬉しいのか、どんなサービスがあったらもっと楽しくなるのか、どんな接客をしてもらえば、笑顔でまた来ようと思って店を出ることができるのか。そういった思いをみなさんにアドバイスしてきました。
正直言ってそれでも伸びなかった店もあります。そういう店と途中で契約が解除になったときはとても悔しい思いもしました。もうちょっとだったのに、もうちょっと我慢してくれていればきっと上向くのにと、口火部をかみしめながら返ったこともあります。自分の努力が足りなかったのだと、反省もしました。
でも、それ以上に、私のアドバイスでお店が上向きだした店もあります。そういう店の共通点は、オーナーやお店の人みんなが同じ方向を向いて、それに向かって頑張るという姿勢、そして何よりもオーナーのひたむきさ、誠実さがありました。何ごともオーナーのお気持ちなんです。それさえぶれないでいれば、きっと上向くと私は信じていますし、そのようにアドバイスしていきました。
逆に言うと、上向かなかったお店というのは、オーナーにこらえ性がなかったことが一番だったように思えます。ある程度の期間は延びません。それが当たり前なんです。それに耐えきれなかった、関西弁で“いらち”っていうんですけど、すぐにイライラしてしまう人はやはり商いそのものに向かないように思いました。
あるときなどは、こんな悠長なことなんかしていられない、いっぺんにド~ンと売り上げが上がるやり方があるだろう、なんてどなられたこともあります。よくテレビの特集なんかでやっていますよね。でもあそこで紹介された、何かあることをやったらいっぺんに売り上げが上がったというお店のその後が紹介されたことはありますか?
たまにはありますけど、ほとんどのお店は数年で閑古鳥、早いところでは数ヶ月で元も木阿弥という店がほとんどなんです。ド~ンと上がったところは、ド~ンと落ち込むのも早いんです。商いは飽きないでやるから商いなんだと昔から言われてるじゃないですか。ホントにその通りなんです。特効薬なんてありません。いかがですか。わたしはみなさんに特効薬めいた突飛なアイデアを授けたりはしません。じっくりとみなさんと話し合いながら店を建て直していく方法がいいという信条があります。それがいやだと言うなら、ここではっきり言ってください。縁がなかったと思って帰りますから。いかがですか。まあ今決めろとは言いませんので、1週間ほどよく考えてからお返事をください。私なんかより、もっとすぐれたカリスマ的なコンサルタントもたくさんいますでしょうから、その方たちに依頼されももちろんそれはあなた方の自由です。私から無理強いはしません」
長い本田の話が終わった。
「おっしゃることはよく分かりました」社長は女将の方を向いた。
「どうだろう、女将。それに板長」と言って板長の方にも顔を向けた。
「ほんといえば、わたしは本田さんがいうように、他でも実績のあるコンサルタントにも相談してみようかとも思っていたの。でもこんなときにたまたま社長が縁を持ち込んできてくれたんだから、その縁を大事にしたいなと思う気もするわ。縁って私、大事にしたいから」
「そうだよな、いい縁があったから今もこの千樹もあるんだから」
「そうなの。だから私はあなたの本田さんの縁にかけてみたい気がする。それにさっき本田さんがおっしゃった特効薬でしたっけ、あの話はいいと思うわ。特効薬なんて、その場でしか効かないものよ。私個人も一時的に繁盛しても、それがいつまで維持していけるか判らないもの」
「板長はどう思う?」
「私は、ここで働かせてもらってる身です。経営のことに口出しはしたくありません。社長と女将さんが思うようにやってください。私はそれについていきますから」
「ありがとう!」社長と女将が思わず口をあわせて板長の手を握った。
この瞬間、千樹は新しい道を歩き始めた。
第1部 おわり
第2部へ続く
(このストーリーはフィクションです)
それでは今日はこれで。
あなたの一日が今日もいい一日でありますように。
藤田販促計画事務所、お客様力(ぢから)プロデューサの藤田でした。
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群馬県前橋市天川大島町186-25
藤田販促計画事務所
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TEL.027-261-6671(FAX.同様)
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しばらくはみんなの思い思いのアイデアを聞いていた社長は、ちょっと静かになったところで胡座から正座に変え、あらためてあいさつを始めた。
「ありがとう、みんな。これでみんなの意思が固いということが判ったことだけでも嬉しかった。まだまだ千樹はやれる。生まれ変わるつもりでこれからのことを考えてみるよ。またみんなに相談することもあると思うけど、そのときはまた相談に乗ってほしい。じゃあ今晩はこれで終わりにします。本田さん、いいかな」
それまでそばでじっとみんなの言うことを聞いていた本田に顔を向けて社長は確認した。
本田は何も言わずに頷いただけだった。
その後社長と女将、板長、そして本田が残り、その後の千樹の方針を打合せした。
「社長よかったじゃないですか。やっぱりみんなに聞いてもらっていかがですか女将さん」本田が女将に言った。
「良かったわ。でもホントはこれからが大変よね。具体的に考えなくちゃならないし、銀行にも融資を頼まなくちゃならないし。ところで、ねえあなた、いえ社長。この本田さんに正式に紹介されていないんだけど」
「え、そうか。そうだった。悪い、悪い。板長も一緒に紹介するよ。本田さん。実は先日の商工会議所の部会があっただろ。そこで初めて会って、仕事がちょっと変わってるなあと思って話をしてみたんだ。うちのことをさ。初めて合った人だからそんなに何もでてこないだろうと思ってたんだけどね。本田さんの言うことを聞いてると、なんだかこの人と一緒にやっていけば、もしかしたら千樹も再生できるんじゃないかなって感じたんだ。そしたら女将がみんなを集めてこれからのことを話し合いたいと言ってきたものだから、ちょうどいいやと思って、みんなに、女将にも板長にも悪かったけど、一応オブザーバーとして出席してもらえないかと尋ねてみたんだよ。それでまあきてもらったというわけなんだ。本田さん、販売促進の企画とかその方面のコンサルタントを専門にしてる人です」
「はじめまして、藤田です」と言って名刺を女将と板長に手渡した。
その名刺に書かれていた「お客様目線で繁盛のアドバイス」というキャッチコピーにまず目が行った。
「恥ずかしい話ですが、こういった料亭のアドバイスというのはまだやったことがありません。
この時点ではまだ契約もしていませんので、もしそういうことで気に入らないのでしたら、はっきりとおっしゃってください。
でも、私は部外者ですから、まったくの素人的な目で見ることができます。傍目八目って言葉はご存知ですよね。関係者より、それとは全く関係のない傍観者の方が的確にものごとを見ることができるということです。
私はどんな業種でも、そういった目線でみなさんを見るようにしています。今お渡しした名刺のキャッチコピーのように、この店の客になった場合、どんなことをしてもらったら嬉しいのか、どんなサービスがあったらもっと楽しくなるのか、どんな接客をしてもらえば、笑顔でまた来ようと思って店を出ることができるのか。そういった思いをみなさんにアドバイスしてきました。
正直言ってそれでも伸びなかった店もあります。そういう店と途中で契約が解除になったときはとても悔しい思いもしました。もうちょっとだったのに、もうちょっと我慢してくれていればきっと上向くのにと、口火部をかみしめながら返ったこともあります。自分の努力が足りなかったのだと、反省もしました。
でも、それ以上に、私のアドバイスでお店が上向きだした店もあります。そういう店の共通点は、オーナーやお店の人みんなが同じ方向を向いて、それに向かって頑張るという姿勢、そして何よりもオーナーのひたむきさ、誠実さがありました。何ごともオーナーのお気持ちなんです。それさえぶれないでいれば、きっと上向くと私は信じていますし、そのようにアドバイスしていきました。
逆に言うと、上向かなかったお店というのは、オーナーにこらえ性がなかったことが一番だったように思えます。ある程度の期間は延びません。それが当たり前なんです。それに耐えきれなかった、関西弁で“いらち”っていうんですけど、すぐにイライラしてしまう人はやはり商いそのものに向かないように思いました。
あるときなどは、こんな悠長なことなんかしていられない、いっぺんにド~ンと売り上げが上がるやり方があるだろう、なんてどなられたこともあります。よくテレビの特集なんかでやっていますよね。でもあそこで紹介された、何かあることをやったらいっぺんに売り上げが上がったというお店のその後が紹介されたことはありますか?
たまにはありますけど、ほとんどのお店は数年で閑古鳥、早いところでは数ヶ月で元も木阿弥という店がほとんどなんです。ド~ンと上がったところは、ド~ンと落ち込むのも早いんです。商いは飽きないでやるから商いなんだと昔から言われてるじゃないですか。ホントにその通りなんです。特効薬なんてありません。いかがですか。わたしはみなさんに特効薬めいた突飛なアイデアを授けたりはしません。じっくりとみなさんと話し合いながら店を建て直していく方法がいいという信条があります。それがいやだと言うなら、ここではっきり言ってください。縁がなかったと思って帰りますから。いかがですか。まあ今決めろとは言いませんので、1週間ほどよく考えてからお返事をください。私なんかより、もっとすぐれたカリスマ的なコンサルタントもたくさんいますでしょうから、その方たちに依頼されももちろんそれはあなた方の自由です。私から無理強いはしません」
長い本田の話が終わった。
「おっしゃることはよく分かりました」社長は女将の方を向いた。
「どうだろう、女将。それに板長」と言って板長の方にも顔を向けた。
「ほんといえば、わたしは本田さんがいうように、他でも実績のあるコンサルタントにも相談してみようかとも思っていたの。でもこんなときにたまたま社長が縁を持ち込んできてくれたんだから、その縁を大事にしたいなと思う気もするわ。縁って私、大事にしたいから」
「そうだよな、いい縁があったから今もこの千樹もあるんだから」
「そうなの。だから私はあなたの本田さんの縁にかけてみたい気がする。それにさっき本田さんがおっしゃった特効薬でしたっけ、あの話はいいと思うわ。特効薬なんて、その場でしか効かないものよ。私個人も一時的に繁盛しても、それがいつまで維持していけるか判らないもの」
「板長はどう思う?」
「私は、ここで働かせてもらってる身です。経営のことに口出しはしたくありません。社長と女将さんが思うようにやってください。私はそれについていきますから」
「ありがとう!」社長と女将が思わず口をあわせて板長の手を握った。
この瞬間、千樹は新しい道を歩き始めた。
第1部 おわり
第2部へ続く
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