ごっとさんのブログ

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胃の重要な免疫の働きを発見

2020-05-04 10:35:09 | 健康・医療
胃には細菌の感染を抑えようとする免疫の重要な働きがあることを、マウスを使った実験で発見したと、理化学研究所などのグループが発表しました。

胃では免疫の働きが弱いというこれまでの認識を覆す成果で、胃ガンの大半の原因であるヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の感染対策などにつながると期待されています。

研究グループがマウスの胃を調べたところ、「2型自然リンパ球」と呼ばれる細菌感染後の早期に働くタイプのリンパ球の一種が多く見つかりました。

また実験用の無菌マウスの胃には一般的なマウスと比べて2型自然リンパ球が極めて少ないことや、「S24-7科」に分類される共生細菌が多いと2型自然リンパ球が特に増えることが分かりました。

この共生細菌によって免疫グロブリンAと呼ばれる抗体がつくられ、細菌を排除する働きをすることも判明しました。無菌マウスをピロリ菌に感染させると、2型自然リンパ球がB細胞を活性化し、そのB細胞がピロリ菌に対応する免疫グロブリンAを多く出すことを確認しました。

一連の結果から、2型自然リンパ球が胃の防御のかなめであることが分かりました。胃ガンの大半はピロリ菌感染が原因とされ、除菌治療が推奨されている一方、除菌が効かない耐性菌の増加も問題となっています。

これまで胃は酸性度が高く、大腸や小腸とは違い免疫の重要な働きがあることは知られていませんでした。この研究により、胃にも重要な免疫応答があることが分かりました。

S24-7科のうちどの種の菌が2型自然リンパ球を増やすのかを突き止めれば、将来的にヨーグルトなどの食品に入れて接種することで、ピロリ菌感染の防御に役立つ可能性があるとしています。

最近腸の細菌叢が免疫に重要な役割をしているという事で、多くの研究が行われていますが、今回の研究で胃も免疫に関与していることが明らかとなりました。こういった消化管だけでなく、身体の多くの臓器がうまく調和して体全体の免疫システムを動かしているのかもしれません。

なお私はこのピロリ菌が胃がんの原因であるという説には賛成していません。胃ガンはかなり前から減少傾向が続いており、ピロリ菌の除菌が行われるはるか前からであり、ピロリ菌の除菌との関連はないような気がします。

また胃ガンは細胞内の遺伝子が変異することにより発生しますが、ピロリ菌が遺伝子を操作するとは考えにくいような気がします。

このピロリ菌は別にしても、胃が免疫に関与しているという発見は、免疫システムを解明する上でも面白い成果と思っています。