ごっとさんのブログ

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塩味を美味しく感じる舌の細胞を特定

2020-05-06 11:23:50 | 自然
京都府立医科大学は、マウスを用いた実験により、塩味を美味しく感じる舌の細胞を特定したと発表しました。

塩味を脳に伝える情報伝達の仕組みも分子レベルで明らかにし、おいしさを損なわない減塩食品の開発につながる成果です。

この細胞は味蕾(みらい)と呼ばれる味覚器官の中にありENaCとCALHM1/3と呼ばれる分子を併せ持っています。細胞が塩分に接すると、まずENaCを介してナトリウムイオンが細胞内に流入し、次いでNaVという分子で活動電位が発生します。

最後にCALHM1/3が神経伝達物質を放出し、味神経を通じて脳に塩味の情報が伝わります。ENaCなどの分子が欠損したマウスでは塩分を好む行動が見られず、味神経の塩分に対する応答もなく、この2分子を併せ持つ細胞が塩味細胞であることが分かりました。

超解像顕微鏡で塩味細胞の微細構造を探ったところ、味神経と接している部分にCALHM1/3が配置されていました。これまでENaCだけが美味しい塩味を感じるためのセンサーと考えられてきました。

しかしENaCが欠損したマウスが、ざるそばのつゆや漬物と同程度の高濃度塩分にたいして、弱いながらも塩分を好む行動が観察され、ENaCに依存しない塩味の受容メカニズムの存在が示唆されました。塩のおいしさを感じる仕組みが複雑なことを物語っています。

日本人の平均塩分摂取量は1日あたり9.9グラムで、日本高血圧学会のガイドラインにおける目標値の同6グラム、世界保健機構(WHO)が示す同5グラムを大きく上回っています。

高塩分に起因する高血圧患者は993万人を数え、合併する脳心血管障害を含めると年間医療費は1.8兆円に上ります。このため減塩は予防医学の観点から特に重要な課題となっています。

確かにスーパーなどでは、減塩醤油や減塩味噌といった減塩商品が多数置かれていますので、需要は多いのかもしれません。現在の減塩対策は、薄味にするナトリウムの代わりにカリウムを用いるといった方法に留まり、科学的な裏付けがありませんでした。

減塩食品を美味しく感じられるようになれば、塩分摂取量の効果的な削減が期待できます。今回の研究グループは、減塩食品開発は社会的に求められている重要な任務で、今後食品企業との連携も含めて有効な戦略で進めていきたいとしています。

今回の研究成果が直接減塩食品に結びつくのかは、まだ難しい課題がありそうですが、降圧剤を飲むのではなく食品で血圧を下げるというのは良い方向だと思っています。