ごっとさんのブログ

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高齢者に多い大腸憩室症

2020-05-26 10:22:40 | 健康・医療
大腸の壁の一部が袋状にふくらみ、外側に向かって飛び出る病気を「大腸憩室症」といい、出血や強い痛みを伴う炎症が起こりやすくなります。

患者は高齢者が多く、多量出血すると手術が必要になる場合もあり、注意が必要なようです。私の知人も大腸の内視鏡検査でこの憩室が見つかったようですが、特に問題なく過ごしているようです。

大腸の壁には、便を送り出す収縮運動を担う筋肉の層があります。血管が筋肉層の所々を買通していますが、腸の運動に伴って内部から圧力がかかると、押し返す力の弱い貫通部が逆に押し出されてしまうことがあります。

こうしてできた袋状の突出部を「憩室」といい、直径1センチ前後で1,2個にとどまる人もいれば、長い時間を経て100〜200個できてしまう人もいます。飛び出ているだけでは無症状ですが、憩室の血管が破れると便に血が混じり、初めて異常に気づくことが多いようです。

稀に大量出血することがあり、血圧が急激に下がって意識障害や臓器不全を起こす危険性もあります。出血がなくても憩室に炎症が生じると、強い腹痛や高熱に見舞われ、炎症部に穴が開き腹膜炎などの合併症を患う人もいます。

無症状のままの人も多く、どうして憩室ができるのか実態はよくわかっていません。大腸の内視鏡検査を受けた人の約2割から憩室が見つかったとする調査報告もあります。

加齢で腸壁が弱くなった高齢者や、食物繊維の摂取量が少ない人は憩室ができるリスクが高いと考えられています。出血は便などの刺激で憩室の血管が傷ついて起こるため、血液をサラサラにする薬を服用している人は、血が止まりにくいので注意が必要です。

まず内視鏡で検査し、憩室が原因かどうかを確認し、炎症の主な原因は憩室に便がはまり込むなどして、細菌が繁殖することだとされています。

治療は通常出血部を内視鏡で確認しながら、憩室の入り口や傷ついた血管を医療用のクリップで挟んで止血する方法が取られます。この治療法は憩室そのものは残るため、再出血のリスクが高いとされています。

近年内視鏡を使って憩室を内側に引っ張り込み、根元をゴムバンドで縛る「EBL(内視鏡的バンド結索術)」も登場しました。縛った憩室は壊死して無くなるため、クリップより再出血が少ない利点があります。

炎症で痛みが強い場合、入院して細菌を殺す抗生物質や栄養分を点滴で投与します。腸に穴が開くなどの炎症が重症化すると、幹部の腸を切って縫い合わせる緊急手術が必要となります。

憩室症が重症化する可能性は低いようですが、大腸の内視鏡検査位は受診する必要があるのかもしれません。