ごっとさんのブログ

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BCGワクチンと新型コロナ死亡率

2020-05-16 10:29:34 | 時事
結核の予防接種「BCG」の接種の有無で、新型コロナウイルスの死亡率に大きな差がみられているようです。

ニューヨーク工科大学の研究者らが3月末、BCGワクチンが新型コロナに対する防御を与えているかもしれないという論文を発表しました。

その後の研究ではあくまで相関関係がみられるという事は分かってきましたが、まだ偶然の域を出ていないのかもしれません。

この論文では各国の新型コロナの感染者数や死者数の人口比と、BCGワクチンの接種状況を調べたところ、感染率や死亡数は、接種していないイタリアやベルギー、米国などで接種している国々よりも統計学的に優位に高かったとしています。

人口100万人あたりの死者数は、集団接種を行ったことがないアメリカが227人、イタリアが490人で、過去には接種していたものの現在はしていないフランスは396人、スペインは533人となっています。

一方BCGを広く接種している中国は3.2人、韓国が5.0人、日本は4.4人、台湾に至っては0.3人にとどまっています(5月7日現在)。

BCGワクチンの接種の有無によって死亡率にけた違いの差が出ており、この傾向は検査数が増えるにつれより明らかになってきました。偶然の一致では片づけられないと思わせるデータといえます。

BCGは、結核菌を弱毒化させた生ワクチンで、日本では1943年にワクチンの結核予防効果が確認されて以後接種が始まり、1948年に結核予防接種が法制化され、現在ではすべての乳児が接種対象となっています。

集団接種を行っている国の中でも、100万人あたりの死亡者数や感染者数には開きがあり、その背景としてBCGワクチンの「株」の種類という説もあります。

ずいぶん昔の話ですが、1921年にパスツール研究所で開発されたBCGは、結核の予防効果が確認された後生きた菌が各国に「株分け」された経緯があります。日本株は台湾やイラクなど、ソ連株は中国など、デンマーク株は欧州各国などにそれぞれ分配されました。

株による死亡率の違いはなぜ生じるのかは、単なる推定ですがワクチンに含まれる生菌数と突然変異と言われています。このBCGとコロナとの関連は、論文が出て以後色々な形で取り上げられていましたが、人口100万人あたりの死者数では明らかな相関があるような気もします。

これは医療体制などの差では説明しにくい現象のような気がします。BCGの効果が証明されたとしても、日本人はすでに全員接種していますので、「よかったね」で終わることかもしれません。

ただし今後の本来のワクチンを開発する上では、何か参考になりそうな感じもしています。