ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

感染症と戦う免疫システムの基礎

2020-05-05 11:25:51 | 自然
新型コロナとの戦いも、レムデシビルなどの治療薬候補が登場し、人間も新たな武器を手に入れることになりそうです。

それでも感染症を引き起こす病原体と戦うのは、人間の防御システムである免疫です。まず感染症の例を考えてみますと、コレラ、結核、水虫、インフルエンザ、麻疹など多数存在しています。

この内コレラや結核は細菌、水虫は真菌、インフルエンザや麻疹はウイルスによって引き起こされます。この様に感染症とは、細菌、真菌、ウイルスなどの病原体が体内に侵入し、定着して発症する病気といえます。

人間の身体はこれらの病原体に侵入されても何の防御をしないというわけではありません。もともと人間の体内には100兆個を超える数の微生物が生きていても、大部分の人は健康に生活できています。

こういった共存している微生物ではなく、身体に悪さをする微生物(病原体)を排除する防御システムを持っています。このシステムを「免疫」または「免疫系」と呼んでいます。

免疫系の役割は、「自然免疫」→「獲得免疫」→「免疫記憶」の順で進んでいきます。今までに感染したことのない、ある病原体が体内に侵入してしまったという設定で、どの様に免疫系が働くのかを書いていきます。

まず病原体を攻撃する存在として白血球があり、単球、リンパ球、好中球、好塩基球、好酸球の5種類からなります。まず活躍するのが単球から分化したマクロファージで、この細胞が病原体の侵入を感知して危険信号を発します。

これにより好中球などといった細胞が集まり、病原体を直接攻撃するのです。また体温を上昇させ、感染が起こっている部分に炎症を引き起こして病原体を排除しようとします。この一連の反応を「自然免疫」といい、どんな病原体に対してもある程度起きる反応です。

自然免疫は素早くたくさんの種類を相手にすることが特徴ですが、それではカバーしきれない場合があります。そこで目的の病原体に特化した攻撃をするための準備として、「獲得免疫」の活性化が起こります。

まず樹状細胞が病原体を取り込んで分解し、そのタンパク質(これを抗原といいます)の情報を周りに伝えます。それを受けてその抗原を異物として認識できる細胞の増殖と活性化が起こります。

これがリンパ球と呼ばれ、マクロファージ同様に白血球の一種です。抗原に特異的に結合して病原体除去を容易にする「抗体」を作るものなど様々な役割の細胞へと成熟していきます。

こうして侵入した病原体を認識して、敵とみなして排除する細胞の軍隊のようなものが出来上がり、これが「獲得免疫」です。

これらリンパ球の一部は、免疫反応が終わったのちも生き残り、次に抗原に出会うと初回よりも早く活性化して、より効率的に病原体を排除するという仕組みが「免疫記憶」と呼ばれています。

その他細かいことがたくさんありますが、抗体が一度できるともう発症しなくなる仕組みが以上のようなものです。