ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

旧人類 歯痛に鎮痛薬使用か

2017-03-12 10:45:00 | その他
約5万年前の旧人類であるネアンデルタール人が、天然の抗生物質や鎮痛成分を含む草木を食べていたことが分かったと発表されました。

これはオーストラリアの研究グループが現在のスペインのエルシドロンにあたる地域に住んでいたネアンデルタール人4人の歯石のDNAを調べた結果判明したものです。

そのうちの若いネアンデルタール人は、下顎骨に膿瘍による損傷が見られ、しかも激しい下痢を引き起こす腸内寄生虫の存在が確認できたと言います。この男性の歯石からは、抗生物質を産生するペニシリウム属の真菌(カビ)とポプラの木の破片が見つかりました。

このポプラには現在も使用されているアスピリンの有効成分であるサリチル酸が含まれています。このポプラの枝を鎮痛薬と使用していたというのは、ありそうなことかもしれません。1800年代末のサリチル酸の発見は、柳の木で作った楊枝を使うと歯の痛みが治まるという事実からと言われています。

しかしカビが発見されたからといって、抗生物質として使っていたというのは怪しい気がします。カビを食べる(飲む?)ことはなさそうなので、患部に塗ったのかもしれませんが、化膿してしまった傷にカビをつけるということは抵抗がありそうですし、自然の物では効果が出るとも思えません。ですから単にカビに感染していただけのような気がします。

それにしてもこのDNA解析というのはすごい技術といえます。ごく微量のDNAさえあれば、PCRなどの手法を使って増やすこともでき、断片であってもどういう生物に由来するかが特定できるようです。

このDNAは有機化合物であり、非常に安定性も高いと言われていますが、5万年も分解せずに残っているというのも驚きです。

この4人のネアンデルタール人は2人ずつ離れた洞窟から発見されました。このうち2人からは動物のサイやヒツジ、キノコなどを食べていた痕跡が見つかったようです。また他の2人からは松の実やコケ類、キノコなどの菜食中心の食事のようでした。

このように同じネアンデルタール人といっても、生活様式はかなり異なっていると推定され、前者は草原のような地形に住んでおり、後者はジャングルであったようです。

このように歯石という部分には、生物の口や気管、胃腸などに生息していた微生物や歯間に挟まった食べかすのDNAが保存されており、これを分析することで食べていた物や健康状態まで知ることができるようです。

こういった解析から旧人類がどんな生活をしていたかが、かなり細かい部分まで分かってくるというのは面白いものです。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿