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腸内細菌が前立腺ガンを増殖

2021-09-01 10:26:22 | 健康・医療
近年腸の研究は非常に盛んになり、腸が第二の脳と呼ばれる働きをしたり、免疫機能の大きな役割を担っていることも明らかになってきました。

また腸内細菌叢の研究も進み、近畿大学と大阪大学の共同研究チームが、大腸ガンや糖尿病の予防効果を持つ腸内細菌が、前立腺ガンの増殖を促すという研究成果を発表しました。

前立腺ガンは高齢者に多い病気ですが、進行が非常に遅くマーカーの数値を見ながら薬物療法で済むことも多いようです。私の友人知人にも何人か前立腺ガンになりましたが、彼らのほとんどは手術を選択しており皆手術後の経過も順調で、元気に暮らしています。

ただ近年前立腺ガンの発症が増えており、脂肪分が高い欧米スタイルの食生活習慣が広がったことが、ひとつの要因ではないかと言われています。

研究チームは、前立腺ガンを発症するマウスに脂肪分の多い食事を与えて太らせると、ガンの増殖が促進されることを確認していました。しかしガンの増殖を引き起こすメカニズムは解明できていませんでした。

研究チームは脂肪分の多い食事をとり続けると、腸内フローラが変化することに注目しました。腸内細菌は腸の粘膜にびっしりと貼りついており、並んで咲いた花のようであることから腸内フローラと呼ばれています。

前立腺ガンを発症した肥満マウスに、複数の抗生物質を使い腸内細菌のバランスを意図的に変えてみました。その結果抗生物質を飲ませたマウスは、前立腺ガンの増殖が抑制されていることが分かりました。

抗生物質を飲ませなかったマウスの腸内フローラと比較すると、酪酸や酢酸などの短鎖脂肪酸という酸を生み出す腸内細菌の量に大きな差が見つかりました。

ガンの増殖が抑制されたマウスはこれらの腸内細菌が少なく、そこから短鎖脂肪酸を介して生産されるIGF-1というホルモンの血中濃度が低下していました。これらのマウスに短鎖脂肪酸を食べさせると、IGF-1が増え前立腺ガンも増殖しました。

短鎖脂肪酸はこれまで、大腸ガンや糖尿病、肥満への予防効果があるなど、身体に対してプラスに働くことが報告されていました。

このように前立腺ガンの増殖に短鎖脂肪酸が重要な役割をしていることが分かりましたが、良い作用と悪さをする点のどちらに注目するかは難しいところかもしれません。

前立腺ガンはそれほど恐ろしい病気でもありませんし、腸内フローラは長年の食生活でできるものですので、そう簡単に変えることはできないでしょう。やはり肥満にならないように、脂肪分を抑えるといった程度ができる対策なのかもしれません。


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