ごっとさんのブログ

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光免疫療法で細菌やウイルスを攻撃

2022-08-13 10:27:52 | 健康・医療
私の知人(かみさんの古くからの友人)が胃ガンになり、手術は終わったのですが抗ガン剤治療を行うことになり、やっと1クールが終わったようです。

手術前はステージⅡという診断ですが、念のため抗ガン剤治療となったようです。70歳の高齢者に抗ガン剤が必要かというとやや疑わしい気がしますが、これが標準治療となっているようです。

新しい治療法として身体の外からレーザー光を当てて、ガン細胞を死滅させる「光免疫療法」が2020年に承認を受け、頭頸部ガン患者への治療が始まっています。

この治療法はこのブログでも紹介しましたが、東京慈恵医科大学などの研究チームがこの光免疫療法の仕組みを使い、細菌や真菌、ウイルスを殺すことに動物実験で成功したと発表しました。

体内で必要な細菌などには影響を与えず、薬剤耐性菌だけを狙って攻撃できる可能性があるようです。研究チームは細菌の一種「黄色ブドウ球菌」の表面に結合する抗体に、光が当たると反応する物質を結び付けた薬を作りました。

これを鼻腔に黄色ブドウ球菌を感染させたラットに投与し、続いて鼻腔に近赤外線を当てると数分でブドウ球菌だけが死滅しました。研究チームは、光に反応する物質が急激に変形し、菌の表面を傷つけて破壊したと考えています。

真菌の一種であるカンジダ菌や新型コロナウイルス、治療が難しい薬剤耐性菌についても同様の薬をそれぞれ作製し、シャーレ上で振りかけて近赤外線を当てたところ、真菌やウイルスが消失したことを確認しています。

現在細菌に対しては抗生物質を使う治療法が一般的ですが、腸内細菌など体内に必要な細菌まで攻撃を受けてしまう問題がありました。薬剤耐性の有無にかかわらず、病原体をピンポイントに狙って除去できる薬はありませんでした。

この光免疫療法が細菌や真菌、ウイルスという身近な病原体にも、効果が確認されたのは初めてとなります。どんな病原体であってもそれに結合する抗体を見つければ、その病原体に効果が期待できる薬を作ることが可能となります。

この光免疫療法を応用した感染症の治療というのはなかなか興味深いものですが、実用化には問題がありそうです。まず通常の感染症の場合は、ウイルスであれば新型コロナとインフルエンザは簡単に特定できますが、それ以外は病原菌の特定は行っていません。

抗生物質が効かないような場合は、病原菌を調べるかもしれませんが、たぶんその種類は多くすべての抗体を準備するのは難しそうな気がします。

もうひとつは価格の問題で、抗体医薬は一般にかなり高価なものとなってしまいます。たとえ非常に多く使われるようになるとしても、価格を下げるのには限界があります。

この辺りが根源的な問題ですが、この治療法が一般化されるのはかなり難しそうな気がします。


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