ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

糖尿病での腎疾患を悪化させるタンパク質を発見

2022-09-12 10:37:21 | 健康・医療
私の友人は糖尿病から腎炎を発症し長らく透析を続けていましたが、肝臓ガンとなり残念ながら亡くなってしまいました。

このように糖尿病が原因で腎不全になるケースは多いようですが、この発症にタンパク質が関わっていることを発見したと、日本大学の研究グループが発表しました。

糖尿病患者が末期腎不全になるリスクを評価するための指標や、このタンパク質を標的とした治療法の開発につながる成果となるようです。

糖尿病の合併症である糖尿病性腎症は、高血糖に伴って腎臓が破壊され機能が失われていく疾患です。進行すると末期腎不全へと移行し、人工透析や臓器移植などの治療が余儀なくされます。

日本の人工透析医療費は年間1兆5700億円(2015年厚生労働省推計)に上り、原因疾患の40%以上を糖尿病性腎症が占めるため、病態解明や治療法の開発は社会的な課題となっています。

これまで末期腎不全への移行リスクを評価する指標や、悪化に関与するタンパク質の存在は明らかにされていませんでした。

日本大学とハーバード大学などの研究グループは、通院する糖尿病患者と遺伝的な性質から2型糖尿病発症率が高いことで知られるアリゾナ州のピマインディアンの糖尿病患者の計754人から採取された血液検体を使い大規模解析を実施しました。

研究グループは臓器障害に伴って現れる組織の線維化の原因となる「TGF-βシグナル」に関連するタンパク質を血液検体から測定し、その上で血液採取時点から10年間の患者たちの末期腎不全の発症率を解析しました。

この結果10年以内に末期腎不全を発症した患者では、発症しなかった患者と比較して血液中のタンパク質「NBL1」が高値であることが分かりました。

また糖尿病患者の血液中のNBL1濃度と腎組織障害の程度を調べたところ、尿のろ過に重要な役割を持つ「ポドサイト」の障害や、腎線維化と強い相関関係がみられました。細胞実験ではポドサイトなどの腎組織にNBL1を添加することで、細胞死(アポトーシス)が誘導されることが分かりました。

NBL1自体が糖尿病性腎症を悪化させる原因となることが示唆される結果で、これまで知られていなかったNBL1と腎臓疾患とのかかわりが明らかになりました。研究グループは、今後NBL1が糖尿病に伴う腎臓以外の臓器障害にも関与しているかについて調べていきたいとしています。

このNBL1タンパク質が本来どのような役割を持っているのか分かりませんが、糖尿病患者の腎不全リスクを調べるマーカーとして使えることは確かなようです。

今回の実験ではこのタンパク質を抑えた場合、腎機能障害が減少するのかは見ていませんが、これを標的とした治療薬の可能性も高そうな気がします。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿