注射による椎間板ヘルニアの治療

椎間板ヘルニアは、背骨の間でクッションのような役割をする椎間板が変性して突出し、神経を圧迫することで症状が出る病気です。

最近は椎間板に薬剤を注入し、この部分を縮小させる治療が普及してきています。

私の次男も椎間板ヘルニアに悩まされ、10年ほど前に手術を受けました。場所が良かったのか医師が良かったのかわかりませんが、手術は内視鏡で済んだため比較的簡単だったようです。現在は若干痛みが出ることもあるようですが、何とか普通に暮らしています。

椎間板の組織が壊れ、飛び出した部分をヘルニアと呼びます。ヘルニアが背骨の中を通る神経を圧迫し、腰や脚の痛みやしびれの原因となることがあり、患者の中心は20～40歳代です。

治療の基本は安静にして様子を見たり、痛みや炎症を抑える薬やコルセットなどの装具を用いたりする保存療法です。ヘルニアは自然に縮小したり、症状が治まったりするケースも多くあるようです。

保存療法で改善しなかったり脚にマヒが出たりする重症の場合は、手術を検討し5日から1週間程度の入院が必要になります。2018年には、椎間板に薬剤を注入する「椎間板内酵素注入療法」という新しい治療法が保険適用になりました。

椎間板内の組織に含まれる保水成分の分解を促す酵素を注射器で入れます。椎間板のふくらみを縮小させ、神経への圧迫を取り除くことを狙ったもので、日帰りか1泊の入院で済みます。

これは保存療法と手術の中間にあたる治療で、手術に比べて患者の負担を少なくできるとしています。酵素注入療法は、Ｘ線検査装置の台の上で、針を指す位置を確認しながら行います。治療当日は入浴を控え、治療後1週間は腰に負担をかけないよう注意しないといけないようです。

これまでの研究報告では、治療した患者の約７〜8割に症状の改善がみられていますが、効果が出るまで数週間程度必要とするケースもあるようです。治療の副作用として、一時的に腰や脚の痛みなどの症状が出ることはあります。

まれに短時間で全身にアレルギー症状が出るアナフィラキシーショックが起こることもあるようで、治療後は数時間体調の変化に注意することが必要です。この治療は2度受けることはできません。2度目にアレルギーが出るリスクが高くなるためです。

元々アレルギー体質がある、他に背骨の病気を抱えている、妊娠している、といった場合は医師との詳しい相談が必要となるようです。現在この酵素注入療法を行えるのは、日本脊椎脊髄学会や日本脊髄外科学会の指導医などに限られています。

私の周りにも若い人でヘルニアに苦しんでいる人はよく見かけますので、こういった処置が簡単にできるよう整備していって欲しいしいものです。