抗老化により人生120年時代が来る説

このところ「抗老化」を取り上げることが多くなっていますが、老化を防ぐことははるか昔からの人類の夢なのかもしれません。

特に最近になり、老化は病気であり治すことができるという説まで出てきました。ここでは老化を防ぐことによって「人生120年」の時代が来るという説を紹介します。なお私は人生100年の時代も来ないという持論ですので、もちろん120年などありえないと思っています。

今回の説はワシントン大学医学部の日本人研究者が唱えているものです。この説によると、死をなくすことはできないが、抗老化の研究はすでに7合目から8合目まで来ているとしています。

科学の世界でいわれる老化とは、時間の経過とともに体のさまざまな部位に起こる機能低下のことです。この過程にはｅＮＡＭＰＴと呼ばれる酵素が深く関わっています。

ヒトの身体をめぐっているこの酵素は、老化によって減少しますが人工的に投与することで老化を遅らせることが、マウスの実験で明らかになったようです。この酵素はＮＭＮからＦＡＤを合成する酵素で、結局ＮＭＮが必要となっています。

ヒトでいうと80〜90歳に相当するマウスに、若いマウスから取り出したｅＮＡＭＰＴを投与すると、活動的になり毛もつやつやして、何も投与しなかったマウスより寿命も約16％伸びたという結果が得られています。

しかし私は酵素を投与する方法が実用化される可能性は低いと思っています。まず酵素はタンパク質ですので、飲んでも腸でアミノ酸まで分解されてしまいます。この反応を抑えたとしても、タンパク質がそのまま吸収されることはほとんどありません。

そこで投与方法は注射ということになりますが、タンパク質を入れることにはかなり難しさがあります。この酵素はヒトも持っていますので、異物と認識されることはないのですが、それなりの拒絶反応が生じます。

また酵素を精製するには多額の費用がかかり、かなり高価なものとなりそうです。これまでの研究では、ＮＭＮをマウスに投与することで、糖尿病、アルツハイマー病、心臓病などさまざまな疾患への効果が証明されてきました。

またヒトでも血糖値を下げるインスリンの働きを骨格筋でアップさせることも分かっています。このあたりはこのブログでも取り上げています。「抗老化ピル」候補として有力なＮＭＮですが、これはすでにサプリとして非常に多く販売されています。

既に著名人で愛飲している人も多いようですが、純度の良いＮＭＮはかなり高価なことが問題としています。結局このＮＭＮを摂取してｅＮＡＭＰＴを投与すれば、老化を防ぐことができ、結果として人生120年になるとしています。

老化というのはかなり複雑なもので、このような単純なことで防げるというのは、やはり疑わしいといわざるを得ません。