人工知能(AI)は新薬の開発=創薬に生かすことができるのではないかと期待されています。
一般的に新薬の開発コストは1000億円以上かかり、人に投与できるようになるまでには10年以上の期間が必要とされています。
開発は薬の候補となる物質を探索するところから始まり、候補物質を加工し、非臨床の実験を積み重ねたのち、臨床試験のフェーズⅠ、Ⅱ、Ⅲをクリアした後にようやく販売されるようになります。
多くの候補物質が「ボツ」になり、販売できるのは2万〜3万分の1程度とされています。これは「日刊ゲンダイデジタル」の記事を引用しています。
私はこの最初のステップである候補物質の探索を担当していました。40年以上も前にコンピューターやパソコンが普及しだし、こういったものを使って候補物質を設計できないか(当時はAIという言葉さえありませんでした)という期待が出ていました。
当時の(たぶん現在も)探索研究は、母核となる化合物から出発して、低濃度でターゲットとなる酵素や受容体と結合する物質を合成するという流れでした。
具体的にはある構造変化をした場合、活性が強まるかどうかを判定し、少しずつ良い活性になるように設計するという、いわば手探りの研究です。
その後目的の受容体などの立体構造が解明され、その結合部位にうまくあてはまる化合物をコンピューターに設計させるという研究が進展しました。私の研究所や会社はそういった研究ができる大型機はありませんので、あくまで欧米での成果を見るだけでした。
ところがこの研究は予想以上に難しいものとなりました。そのひとつが、受容体にうまく結合するといっても、可逆的な(くっついたり離れたりする)ものでなくてはいけません。
ある受容体に不可逆的に結合してしまうと、その受容体はいわば死んでしまいますので、重大な副作用が出てしまうことになります。また受容体などはタンパク質ですので、そこにうまく結合する物質は同じようなペプチド様物質になってしまうようです。
これは実際に合成するのが難しく、非常に高いコストがかかってしまうのです。その後急速に進歩し、AIと呼ばれるようになってもこの2つの要素を加味した構造設計は難しいようで、こういった研究はあまり見かけなくなってしまいました。
私の生涯のテーマであったドラッグデザインは、研究者の閃きが依然重要となっているようです。しかし実際の新薬の開発を高効率に進めるために、AIが使われ始めています。
候補物質の有効性や安全性の試験を仮想空間、つまりAI上で実験で得られた膨大なデータをもとにシミュレーションすることにより、実験にかかるコストや期間を大幅に短縮できるのです。
またヒトに投与した際の有効性や安全性についても、AIで予測することで、開発を進めて臨床試験に入ってから脱落してしまう頻度を抑えることもできるようです。
このように開発の色々なステップで、AIの活用が進んでいますので、私の仕事もAIの助けが借りられるようになっているのかもしれません。
一般的に新薬の開発コストは1000億円以上かかり、人に投与できるようになるまでには10年以上の期間が必要とされています。
開発は薬の候補となる物質を探索するところから始まり、候補物質を加工し、非臨床の実験を積み重ねたのち、臨床試験のフェーズⅠ、Ⅱ、Ⅲをクリアした後にようやく販売されるようになります。
多くの候補物質が「ボツ」になり、販売できるのは2万〜3万分の1程度とされています。これは「日刊ゲンダイデジタル」の記事を引用しています。
私はこの最初のステップである候補物質の探索を担当していました。40年以上も前にコンピューターやパソコンが普及しだし、こういったものを使って候補物質を設計できないか(当時はAIという言葉さえありませんでした)という期待が出ていました。
当時の(たぶん現在も)探索研究は、母核となる化合物から出発して、低濃度でターゲットとなる酵素や受容体と結合する物質を合成するという流れでした。
具体的にはある構造変化をした場合、活性が強まるかどうかを判定し、少しずつ良い活性になるように設計するという、いわば手探りの研究です。
その後目的の受容体などの立体構造が解明され、その結合部位にうまくあてはまる化合物をコンピューターに設計させるという研究が進展しました。私の研究所や会社はそういった研究ができる大型機はありませんので、あくまで欧米での成果を見るだけでした。
ところがこの研究は予想以上に難しいものとなりました。そのひとつが、受容体にうまく結合するといっても、可逆的な(くっついたり離れたりする)ものでなくてはいけません。
ある受容体に不可逆的に結合してしまうと、その受容体はいわば死んでしまいますので、重大な副作用が出てしまうことになります。また受容体などはタンパク質ですので、そこにうまく結合する物質は同じようなペプチド様物質になってしまうようです。
これは実際に合成するのが難しく、非常に高いコストがかかってしまうのです。その後急速に進歩し、AIと呼ばれるようになってもこの2つの要素を加味した構造設計は難しいようで、こういった研究はあまり見かけなくなってしまいました。
私の生涯のテーマであったドラッグデザインは、研究者の閃きが依然重要となっているようです。しかし実際の新薬の開発を高効率に進めるために、AIが使われ始めています。
候補物質の有効性や安全性の試験を仮想空間、つまりAI上で実験で得られた膨大なデータをもとにシミュレーションすることにより、実験にかかるコストや期間を大幅に短縮できるのです。
またヒトに投与した際の有効性や安全性についても、AIで予測することで、開発を進めて臨床試験に入ってから脱落してしまう頻度を抑えることもできるようです。
このように開発の色々なステップで、AIの活用が進んでいますので、私の仕事もAIの助けが借りられるようになっているのかもしれません。
日刊ゲンダイ ヘルスケア
この記事は日刊ゲンダイ ヘルスケアの記事を盗用して書かれている、著作を権侵害する記事です。
記事の本来の権利者は、岡山大学大学病院の神崎浩孝氏(薬剤師・医学博士)です。
〒700-8558 岡山市北区鹿田町2-5-1
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