ごっとさんのブログ

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どんな動物でも一生の心拍数は同じか

2019-03-18 10:30:39 | 自然
生物の中にはゾウのような大型の動物から、マウスのような小さな動物まで様々で、当然大型の動物の方が長い寿命を持っています。

小さな動物は早い心拍数を持ち、大動物はゆっくりとしていますが、一生の心拍数はほぼ同じという説があります。

身体が大きい動物ほどたくさん食べなくてはいけませんが、これは生きていくためには多くのエネルギーを使うためで、これを代謝量と呼んでいます。代謝量については19世紀から知られており、哺乳類について調べられ、ほぼ体重の3/4乗に比例すると結論されています。

その後心拍時間(心臓が打つ間隔)や寿命も、体重に対して同じように変化すると言われるようになりました。つまりどの哺乳類でも、寿命を心拍時間で割れば同じような値になると言われてきました。この値は文献によって若干異なりますが、大体8億とされています。

こういう話になるとネズミとゾウが引き合いに出されますが、どちらも一生の間の心臓が打つ回数が同じというのは何か生命の本質に迫るような気もします。

この話を最初に聞いたのはずいぶん昔の話ですが、私は脈拍がやや早く(頻脈という程ではありませんが)一生の心拍数が一定であるならば、私は長生きできないのかと思った記憶があります。

ここではこの説の信ぴょう性を検証しています。問題点の1つはデータの取り方としています。例えばラットは大人で体重が300~800グラムとかなり幅があります。どの体重のラットを使うかで体重と心拍数の関係は大きく変わってしまいます。

ラットの平均体重というのも餌や環境で変わってしまうためあまり意味のないものとなっています。さらに寿命は測るのが難しいようです。ラットの場合は2年~3年と幅があるし、これも餌や環境によって変化するものです。

このような実験動物でさえ体重や寿命を決めるのが難しく、野生動物ではさら難しくなります。例えばキリンの寿命は野生で10~15年、飼育下では20~30年ぐらいであり、どれを寿命として使えばよいかが問題となるわけです。

この様に数値に幅があるし、変化もしやすく種が違えば条件をそろえることができない体重や寿命を、データとして使って法則を作るのはかなり無理がありそうです。

2つ目は例外が多いことで、ネズミの仲間のハダカデバネズミ(約70グラム)は30年ぐらい生き、体重でおよそ1万倍のウマと同じぐらいの寿命があります。その他コウモリなど小型なのに長生きする動物はかなり多いようです。

最後が寿命を決める要因が、代謝量などの生理的なものだけではなく自然選択という要因が大きく、法則は成り立たなくなるというものです。以上のように哺乳類が、同じ回数だけ心臓を打つと寿命というのはやや怪しいようです。

ただし非常に大雑把に言えば、8億回という一定の脈拍数が寿命という説には何か夢があるような気もします。