goo blog サービス終了のお知らせ 

ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

ホメオパシーとプラセボ効果 その2

2021-06-25 10:26:55 | 
前回ホメオパシーの概略ついて書きましたが、ここで重要な点は治療薬として用いられるレメディに有効物質の成分が全く入っていないという点です。

この点について肯定者は、水が有効成分の形状を記憶しているとしていますが、科学的には全く説明のつかないことです。

それでもこの概念に沿って約200年以上も実際の医療に使われてきたという歴史があります。日本ではあまりこういった治療法の話は聞いていませんので、入ってこなかったのかもしれませんが欧米ではつい最近まで使われていたものです。

もう少しホメオパシーの説明を続けますが、レメディが効くかどうかは波長が合うか合わないかで決まるとしています。そのためレメディは必要なときにしか効かず、健康な人にレメディを処方しても何の作用もありません。したがって副作用のない最良の療法であるとしています。

ホメオパシーの研究は古くからあり、その有効性を立証したという論文もありますが、最近ではその信頼性は低く否定的なものが発表されています。

2,005年の論文ではホメオパシーに関する臨床検討の論文110報をメタ解析した結果が報告され、ホメオパシーの効果はプラセボ(偽薬)と同等であると結論されています。

こういった研究結果から一般の医学の解釈としては、ホメオパシーには有効性が無いと結論付けています(科学界の解釈)。それでも海外では代替医療として公的保険の対象となっており、イギリスは2017年になりやっと公的な補償が打ち切りになりました。

私はこの最近の研究に賛同し、ホメオパシーの効果はプラセボ効果そのものではないかと考えています。プラセボ効果は薬効によって差は出ますが、概ね30〜35%程度発現されています。

この3割程度の疾患に有効というのは非常に大きく、通常臨床試験における新薬の有効率は60〜70%あれば新薬として承認されます。つまり製薬会社が苦労して開発する有効薬でも、3割から4割の人には効果が出ないのです。

プラセボを使って病気を治すという研究はほとんど行われていないと思っていましたが、ホメオパシーの研究はまさにプラセボ効果の研究といってよいような気がします。

ホメオパシーは、プラセボ効果として3割ぐらいの人に効果が出たから、200年もの間医療行為として認められてきたのだと思われます。

私の究極の目的である(まあ夢のようなものですが)、プラセボを使って現代医療から取り残されているような患者を治療するためには、十分な実績のあるホメオパシーを勉強することが近道のような気がしています。

ヘルペスウイルスと目の病気

2021-06-24 10:25:38 | 健康・医療
現在は新型コロナウイルスで大騒ぎしていますが、ウイルスはかなり身近な存在と言えます。

2億年前から存在しているとされるヘルペスウイルスも、人類に多大な影響を与えています。約90%の感染が不顕性(何の症状も出ない)であるヘルペスウイルスですが、単純ヘルペスウイルス1型から8型まであり、このうち3型が水痘を発症し、潜伏感染を経て帯状疱疹を引き起こします。

私もたまに口の端が硬くなり、切れて痛みが出たりしますがこれもヘルペスウイルスのようです。通常ほっておいても数日で治りますが、先日クリニックに行ったときちょうどこの症状が出ていましたので、抗ウイルス薬入りの軟膏をもらってきました。

この様に軽い症状が多いのですが、皮膚、粘膜、目、脳、性器さらには全身に及ぶ感染となり、時に重篤な症状を引き起こす場合があるようです。ここでは眼球への影響についての記事を紹介します。

ヘルペスは皮膚や粘膜に感染しやすいウイルスですので、当然目の表面である角膜や結膜にも感染します。問題になるのは、初感染ではなく一度感染して症状が治まっても、角結膜に分布する三叉神経の枝から入り、神経節といわれる感覚神経細胞が集合する部分に潜伏します。

体の抵抗力が落ちると角結膜に出てきて悪さをし眼表面に痛みや充血を起こします。この辺りは水痘の後、歳をとってから帯状疱疹が発症するのと似ている現象です。

目への影響は眼表面に限らず、目の中に炎症が起きる重篤な「ブドウ膜炎」の原因にもなります。ブドウ膜とは虹彩、毛様体、脈絡膜を総称したもので、眼球の外側を覆っている角膜、強膜と最内層を作っている網膜との間にある「中膜」と呼ばれる部位を構成しています。

ここにウイルスが侵入して病気を起こすと、その内層にある網膜にもすぐに影響し、重大でしばしば治りにくい視力障害に発展します。

現在ヒトヘルペスウイルスと関係が深いブドウ膜炎には2種類が知られています。ひとつは「急性網膜壊死」と呼ばれる、ほとんどが片目に起こる劇症型のものです。ヘルペスウイルスの1型から3型のどのウイルスでも眼球内に入ると感染し、この病気を引き起こすことが分かりました。

最近はウイルスを発見する手法が進歩し、抗ウイルス薬も進歩していますので、早期発見して治療すれば多くは失明を防ぐことができます。もうひとつは「原田病」と呼ばれ、ブドウ膜や全身の色素を含む細胞をターゲットに発症する自己免疫疾患です。

両目に起こり網膜剥離を起こして治りにくくなる、あるいは再発しやすくなることがあります。最近の研究ではヘルペスウイルス3型や4型の存在が証明されることがあり、直接的感染ではないのですがウイルスの存在が自己免疫反応のメカニズムに関係していることが示唆されています。

このように簡単だと思われるヘルペスウイルスでも、重篤な疾患につながることがあり、やはりウイルスは恐ろしいものかもしれません。

プラセボ効果とホメオパシー

2021-06-23 10:25:16 | 
先日NHKが「おまじない」というテーマで、プラセボ効果について取り上げたことを紹介しました。

このブログでも何回か書いていますが、私はプラセボ(偽薬)を使って病気を治すことが究極の医療だと考えています。

何とかこれを実践する方法はないかと、友人と「ホメオパシー研究所」という組織を立ちあげる準備をしました。しかしこれは色々な問題点が出てきてしまい、実現することはできませんでした。

ここではホメオパシーとプラセボ効果との関連について書いてみます。「ホメオパシー」は非常に歴史ある概念で、1796年にドイツの医師ハーネマンによって提唱されたものです。

基本的な考え方は「病気や症状を起こしうる薬や物質を使って、その病気や症状を治すことができると」という原理となっています。これは当時マラリアを治療するのに使われていたキニーネを自ら大量投与したところ、マラリアと似た症状を引き起こしたと主張しています。

これは広く実施されておりナチスドイツ時代には、ホメオパシーがドイツ医学の一角をなすものとして期待され、ヒトラーにより厚遇されたとなっています。1937年にはベルリンで第1回国際ホメオパシー学会が開催されています。

このホメオパシーの治療に用いる薬剤を「レメディ」と呼んでいますが、これはざまざまな物質から作られ、希釈と振盪を繰り返して製造されます。

この希釈度合いはポテンシーという単位で表示され、例えば6Cというポテンシーは100の6乗に薄められたもので、通常30C程度のポテンシーのものが使われているようです。

ハーネマンの理論を踏襲した現代のホメオパシーは、ある病状を引き起こす成分をそのままでは有毒であるので、水によって極めて高度に希釈したものを砂糖玉に染み込ませたものを使用しています。

問題はこの希釈率で、具体的には成分1mlを99mlの水に加え、良く撹拌した物からまた1mlを取り99mlの水で希釈します。これが2Cで100の2乗つまり1万倍に希釈されたことになります。

通常の30Cの場合はこの操作をあと28回繰り返すことになるわけです。これだけ希釈してしまうと、理論上元の成分は1分子も含まれていないという計算になるわけです。

これをレメディとして投与するのですが、ホメオパシーの肯定者は通常の化学的常識に反し、くり返して薄めたものほど効くと主張しているようです。

レメディの元になる原成分としては各種の薬草や鉱物などが多いのですが、病人の臓器や体液などを成分としたものもあり、こういったものをノソードと呼んでいます。

以上がホメオパシーの概略ですが、次回はこの歴史と共にプラセボ効果との関連について書いてみます。

日本の医療の根本的な問題は

2021-06-22 10:25:54 | 健康・医療
今回のコロナ禍では医療現場のひっ迫や、既に医療崩壊が起きているという話も出ているようです。

PCR検査も十分に行われておらず、自分が感染したと思っても病院ではなかなか診察してもらえないという状況もあるとしています。私のかかりつけのクリニックでは、発熱外来もあり電話してから行けば何とかなりそうな気もしています。

こういった医療崩壊がなぜ起きてしまうのか、日本は医師不足が原因であるという記事が出ていました。

OECD(経済協力開発機構)加盟各国の医師の平均数は45万8000人で、人口1000人あたり3.5人となっています(2018年)。ところが日本では医師の数が32万7000人で1000人あたり2.4人とOECD平均より13万人も少なくなっています。

歴史的経緯を見ると1960年代では日本の人口当たりの医師数は、先進国の平均とほぼ同じでした。それが1970年代にオイルショックが起きて、保健医療に莫大な資金が必要なことが問題となり、「医療費亡国論」が唱えられるようになりました。

その結果1981年の琉球大学医学部の新説を最後に、全国の大学医学部は定員が減らされ、年2回行われていた医師国家試験も年1回になったのです。

こういったことから現在の医師不足となり、本来こういった問題に取り組むはずの日本医師会も、開業医の利益優先というスタンスを取っていますので、この現状は改善されてこなかったとしています。

今回の新型コロナで、ベット数に見合った感染症の専門医は4000人ほどが必要となりますが、実際は1500人程度となっているようです。

また日本集中治療学会によると、日本の重症ベット数1万7000床をカバーするには、最低でも4500人の集中治療専門医が必要としていますが、現実には1850人しかいないとしています。

このように医師不足が医療崩壊の原因であるという説は一理あると思いますが、私は別な要因もあるような気がします。もう10年以上前ですが、私の母が亡くなる前在宅医療をしていました。

それが度々の発熱などで医師が在宅では困難ということで、市の大きな拠点病院に入院しました。なぜか呼吸器科でしたが、その入院患者のほとんどが母と同じような高齢者(母は88歳でした)で占められており驚いた記憶があります。

この病院は最新医療を謳った拠点病院であるのに、現実は老人病院と化していたのです。母は結局この病院で8か月後老衰で(死亡診断書は肺炎でしたが)亡くなりましたが、本当に入院治療が必要だったのか疑問に思っています。

この様に世界でも多い病床数を誇る日本ですが、その大部分が老人で占拠されているという現状が医療崩壊のひとつの原因ではないかと思っています。

これを打開するためには、老人施設だけでなく老人専用病院をもっと増やす必要があるような気がします。

NHKでも取り上げた医療での「おまじない」

2021-06-21 10:27:32 | 健康・医療
先日NHKの「がってん」という番組を見ました。この番組は科学的ではあるものの最新の学説などを検証されていないのに真実であるかのように扱うなど、やや生き過ぎな面もあると感じていました。

先日は医療での「おまじない」ということがテーマで、「プラセボ効果」を取り上げていました。このプラセボ効果についてはこのブログでも何回か取り上げていますが、本来何の効果もないはずの偽薬(通常糖類です)を服用しても、治療薬と同じような効果が表れる現象です。

この番組では痛みを訴える患者に、生理食塩水など鎮痛効果が無いはずのものを医師の指導の下で投与すると、なぜか痛みが和らぐことあるという例を出していました。

プラセボ効果に関しては、私の解釈として人間には恒常性維持機構という機能があり、常に健康な状態を維持するというものです。つまり痛みがあっても何かのきっかけがあれば、人間の持つもともとの機能が働き、この痛みをなくすような方向に動き出すと考えています。

またこの番組では、プラセボ効果は「本物の薬」と思い込んでいるときにだけ現われるのではなく、「ニセの薬」と知っていても効果が表れることがあるという報告を紹介していました。この辺りはプラセボ効果を効率的に出す方法を考える上では非常に面白い結果と考えています。

ここでは本物の薬そっくりに作られたタブレットをニセと知りながら服用した結果、薬の多量服用を避けられたという事例を出していました。

また芸能人の写真を見ると生理の痛みが和らぐという事例を紹介し、こういった人の脳を検査することにより、ある特定の部分が活発に反応していることが分かりました。

この実験で確認されたのは側坐核という部分で、この反応から脳内にオピオイドとよばれる鎮痛物質が分泌され、痛みが和らいだのではないかとしています。こういった視覚によるプラセボ効果は、喘息の発作を起こした患者が医師の顔を見ると治まってしまうといったことも古くから知られています。

その他「歯ぎしり」をなくすためのおまじないや、集中力、記憶力をアップするおまじないが紹介されていましたが、いずれも広い意味での「プラセボ効果」と言えるようです。

私はこのプラセボ効果を効率よく起こさせ、偽薬で病気の治療をすることが究極の医療ではないかと考えています。従来新薬開発の臨床試験での邪魔な効果と考えられていたプラセボ効果ですが、これをまじめに治療法として取り上げるという流れが少しは出てきたのかと感じています。