ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

コロナ治療薬の入手が困難に

2021-09-10 10:26:07 | 
新型コロナ感染者はピークを越えたのか、これからまた増加するのか微妙な状況と言えます。

この感染者の自宅療養者の増加が報じられていますが、これは必ずしも悪い事だとは思っていません。

コロナの感染者がゼロになることはないですし、今後ウイズコロナとして日常生活が戻ってくるのであれば、感染者は普通の風邪と同様に自宅で治すことになる、その第1歩と考えています。

もちろん重症化しないことが前提ですが、ワクチン接種が進めばそういった方向になるのではないでしょうか。ここにきて自宅療養者の治療薬が不足しているというニュースが出ています。もちろん対症療法の薬ですが、デキサメタゾンの需要が急増しているようです。

厚生労働省はステロイド薬デキサメタゾンの安定供給のために、全国の病院や薬局、卸業者に買い込みを控えるように求める通知を出しました。

デキサメタゾンはいわゆる合成副腎皮質ホルモン(ステロイド)の一種ですが、抗炎症作用、抗アレルギー作用、免疫抑制作用などの薬効を持つことが知られています。重症感染症を含めた種々の適応症を有しており、1960年代から現在に至るまでさまざまな疾患に対して汎用されてきた薬剤です。

厚生労働省は2020年7月にデキサメタゾンを新型コロナ感染症に対する治療薬として記載しています。ここではイギリスの非盲検ランダム化比較試験の結果で、デキサメタゾンが重症例の死亡を減少させたという結果が記載されています。

コロナ患者の重症者では、肺障害および多臓器不全をもたらす全身性炎症反応が発現することが確認されています。ステロイドは抗炎症作用を有するため、デキサメタゾンにはこれらの有害な反応を予防または抑制する可能性が示唆されており、自宅療養者の唯一の治療薬と呼べるのかもしれません。

自宅療養者への医療支援を委託されているファストドクター社によると、8月中旬ごろから関東、関西ともにデキサメタゾンの入手に数日かかるようになってきているようです。

国内で唯一デキサメタゾンの錠剤を製造する日医工によると、8月中旬に2日ほどの間に月間出荷量に相当する注文が集中し、その後も続きすべてにこたえられない状況としています。

これだけ自宅療養者が増えるとやむを得ない現象かもしれませんが、患者が手軽に飲める治療薬ですので、何とか打開してほしいものです。

デキサメタゾンが重症化予防に使われているということ自体知りませんでしたが、他のステロイドでも抗炎症作用が強いものはいくらでもあるはずで、厚生労働省の早急の対応が求められる事態と言えるのかもしれません。

若いマウスの「ふん」の移植で、老いた脳が若返る

2021-09-09 10:25:30 | 健康・医療
生物が長く生きていると、どうしても避けられないのが老化という現象です。

近年老化研究は非常に盛んになり、そのいくつかをこのブログでも紹介していますが、玉石混交といった状態かもしれません。

アイルランドの大学の研究チームが、若いマウスの糞に含まれる腸内細菌叢が老いたマスの脳の認知機能や免疫機能を回復することを報告しました。

過去の研究でヒトの腸内に住む無数の微生物が、免疫や脳、組織、器官、細胞など体を構成するあらゆる要素にいかに影響するかが明らかになっています。

腸と脳は脳腸相関と呼ばれる双方向的な関連により、自律神経系や内分泌系、免疫系などを通じて互いに作用しあい宿主の健康状態を左右します。腸内細菌叢の組成は加齢に伴って変化し、その多様性も低下することが分かっています。

腸内細菌の加齢プロセスによって、脳を含む全身の炎症反応が増加します。つまり老化と炎症反応を制御する免疫プロセスには、密接なかかわりがあるようです。そこで研究チームは、腸内細菌と脳の免疫細胞であるミクログリアとの関連に着目しました。

実験では生後3〜4か月の若いマウスの糞から腸内細菌叢を採取し、それを生後19カ月から30カ月の高齢のマウスの腸に移植しました。この時コントロール群として、他の高齢のマウスから別の高齢マウスへも腸内細菌叢を移植しています。

その後マウスの記憶力や不安感、学習能力などを測定する一連の認知テストを実施しました。テストの結果、若いマウスの腸内細菌叢を移植された高齢マウスは、コントロール群よりも認知テストの結果が良くなりました。

また学習や記憶をつかさどる脳の部位である「海馬」を調べたところ、脳の認知機能や免疫機能の向上と関連している遺伝子の活動パターンや代謝の変化が見られたとしています。

研究チームは、若い腸内細菌叢の代謝活動が血液脳関門を通過し、老化した脳を若返らせる分子を生み出したのではないかと考察しています。実際老いたマウスの脳の海馬にみられた化学物質およびミクログリアの状態が、糞の移植後に若いマウスのそれに近づいていることが認められています。

今回の知見は加齢による認知機能低下を抑える手段として、腸内細菌叢の組成や多様性を最適に保つことの重要性を教えてくれました。ただ微生物の難しいところは、あくまでも菌の相互作用であり、よく言われる善玉菌を増やせばよいということではないようです。

また微生物の多くは、人工培地で増殖しないこともあり、ビフィズス菌などを除いて腸内細菌叢を人工的に作ることは難しいようです。結局善玉菌を増やすといわれている食事で対応するぐらいしかないのかもしれません。

「蚊」に刺されやすいのはどんな人か

2021-09-08 10:25:31 | 自然
今の時期は「蚊」に悩まされる人は多いようですが、夏の終わりから秋にかけても蚊のシーズンですので、まだまだ注意が必要なようです。

どんな人が蚊に刺されやすいのかをまとめた記事がありました。実は私は子供のころから蚊に刺されることが本当に少ない体質?でした。

これは現在も続いており、夜のテニススクールに行くときは、かみさんは出ている腕や足に虫よけスプレーをかけていますがそれでも刺され、何もしない私は刺されたことがありません。かみさんによれば、私は蚊に嫌われているのだそうです。

これは蚊に刺されないのではなく、刺されても腫れたりかゆくなったりしないのかもしれません。庭で何かしているときに、腕に蚊が止まっており、叩くかなり血が吸われていることがありますが、全くかゆくありません。

どちらにせよ私は蚊に悩まされることが無いというのは確かです。さて本論ですが、一般に酒を飲む人や太った人、血液型がO型の人が刺されやすいといわれていますが、あまり根拠はないようです。

蚊はヒトが発する「熱」「二酸化炭素」「水分」を触覚と小あごひげで感じて、ヒトに近づきます。従って体温が高い人、炭酸飲料を飲んでいる人や活発な人といった二酸化炭素を多く出している人、やや汗かきで皮膚がみずみずしい人のような、皮膚に水分量が多い人が刺されやすくなります。

酒を飲むと分解されて二酸化炭素となるため、酒を飲むことによっても蚊に刺されやすくなる可能性はあるようです。また蚊は視覚も駆使して人に近づきますが、黒や紺といった暗い色、濃い色に誘引されて寄ってきますので、日焼けしている等色黒の人の方が刺されやすくなります。

血液型についてはやや古い研究ですが、イギリスの研究者が人間の血を吸ったハマダラカ(マラリアを媒介する蚊)の腸内の血液を調べた結果を発表しました。蚊に刺されやすい血液型はO型が一番で、B型、AB型と続き、最も刺されにくいのはA型であったと発表しました。

また血液型物質が誘引するかどうかについて研究していますが、その後複数の研究者によって否定的な見解が示されています。

最近では2004年にヒトスジヤマカ(いわゆるやぶ蚊)を用いた同様な実験で、蚊に刺される頻度はO型、B型、AB型、A型の順番であったことが報告されています。

これは同じ順番となっていますが、血液型の違いが皮膚の表面に及ぼす影響は極めて小さいため、O型が刺されやすいという根拠にはならないと思われます。

なお今年の蚊の動向は、6月に例年通り発生しましたが、7月の猛暑と晴天で減少し、8月の大雨でも蚊の幼虫が流されていますが、30℃前後の気温が続くとまた蚊が増えると予想されています。

ワクチンと偽薬接種者で死亡率が同じ意味

2021-09-07 10:27:26 | 時事
現在ワクチン接種は順調に進んでおり、国民の半数程度が接種が済んでいるようです。

このワクチンについては、フェイクニュースも含めて非常に多くの情報が発信されていますが、ファイザー社がワクチンの臨床試験の結果を雑誌に公表したという記事を見ました。

この研究には世界各国の4万人以上が参加し、ファイザー製のワクチンの2回目接種から最大6カ月間に及ぶ大規模な追跡調査を行っています。その結果ワクチン接種によって発症を防げた人の割合を示す「有効率」は91%と高い値となりました。

この様な高い値になるのは、このワクチンがRNAという今までになかったワクチンのためなのかとやや驚いています。しかしこの記事では、多くの研究者が驚いたのは、有効率ではなくワクチン接種後の「死亡率」としています。

研究では16歳以上の参加者約4万人を「ワクチン接種群(約2万人)」と、正式なワクチンではない偽薬を与えた「プラセボ群(約2万人)」に分けて、接種後の安全性を確認する追跡調査を行っています。

その結果追跡期間中に死亡したのは、ワクチン接種群が15人、プラセボ群が14人となっています。意外な結果として注目されたポイントは、ワクチン接種群とプラセボ群の死亡率に差がなかったことで、専門家の間でも議論の的になっているとしています。

この死因はワクチン接種群はコロナによる肺炎で1人死亡で、プラセボ群では2人が死亡しています。その他は心肺機能停止、動脈硬化症、多臓器不全、肺炎などになっており、接種群でもプラセボ群でも特段の偏りはありませんでした。

ここでこの記事では、打っても打たなくても亡くなる人の数(死亡率)が変わらないなら、接種する必要性が揺らぐとしています。

この辺りの意味がよく分からないのですが、死亡した人は上述の様な一般的な疾患で亡くなっており、ワクチンがこのような疾患の予防になるはずはありません。

例えば日本では毎年120万人程度が亡くなっており、遺跡期間の6カ月であれば2万人のうち15人程度亡くなるのは自然なことと思われます。私はこの死亡者数を見て、ワクチンを接種しても死亡するような危険性はなく、安全性を示す数字と感じました。

この記事はかなり長いのですが、出てくる専門家はワクチン接種反対派かもしれませんが、一貫してワクチンを接種しても死亡者数が変わらないのはワクチンの効果がないという論旨でした。

最後にワクチンの製造元は、自分たちが不利になるデータは公にしないのに、ファイザーはよく出してきたと驚くような研究結果としています。

この記事は一流といわれる雑誌なのですが、ワクチンに反対する啓蒙記事としても、あまりにも恥ずかしい内容のような気がします。

体毛を生やす「毛包幹細胞」の起源を解明

2021-09-06 10:29:02 | 自然
歳をとってくると薄毛や脱毛が気になるのはやむを得ないことです。

私は正面から見るとそれなりに毛はあるのですが、後頭部が薄くなり合わせ鏡で見ると地肌が透けて見えるようです。私の歳になるとこの程度は当然なのかもしれません。

毛髪再生などに応用できる可能性のある、体毛を生やす起源になる「毛包幹細胞」が形成される仕組みを解明したと理化学研究所の研究グループが発表しました。これはサイエンスポータルに掲載されましたが、このサイトはやや専門的となりますが紹介します。

毛包は髪の毛などの体毛を生やす皮膚付属器官で、頭部を含む全身にあります。身体を保護したり感覚に関わるなど、重要な機能を担っています。周期的に再生を繰り返す性質があり、毛包幹細胞が再生のカギを握っているとされていますが、この細胞の起源については未解明でした。

理化学研究所の研究グループは、毛包細胞の発生起源を解明する研究を開始しました。細胞の動きや変化を詳しく見ることができる技術を開発するなど、独自の手法を駆使して、マウス胎児の毛包が形成される様子を詳しく観察しました。

さらに「トランスクリプトーム解析」という手法を使って細胞内の遺伝子発現変化なども調べました。こうした研究の結果、発生中の毛包はまず細胞が同心円のリング状に並び(プラコート期)、次第に真ん中がくぼむように筒状に区画化されることが分かりました。

また毛包幹細胞は、この筒状の区画の一部に由来することも突き止めました。研究グループは、解明した毛包が発生する仕組みが、伸縮する望遠鏡のの動きに似ていることから「テレスコープモデル」と名付けました。

この毛包幹細胞の起源はこれまで、アメリカの研究者が2016年に提唱した「基底上層細胞」と考えられていたため、今回その定説を覆したことになります。

研究グループは、今回明らかになった仕組みが乳腺や汗腺などの他の体表器官にも共通するかを調べることが今後の課題で、さまざまな器官や生物種に共通する形態形成システムを解明したいとしています。

今回の研究成果自体あまりピンとこないのですが、これを応用してiPS細胞やES細胞などの多能性幹細胞から、毛包細胞を効率よく作ることに繋がっているようです。

基本的には脱毛してしまった皮膚に、毛包細胞を移植して頭髪を再生する技術の最も基礎的な成果と言えるのかもしれません。やはりこういった技術を開発するためには、今回のような基礎的な研究がその出発点となるのでしょう。