喜久家プロジェクト

日本一細長い半島、四国最西端「佐田岬半島」。 国内外からのボランティアとともに郷づくり「喜久家(きくや)プロジェクト」。

人つなぎ ~佐田岬編 その2~

2013-12-16 | ブログ
 12月14日(土)、東温市の酒井あいさんとその先輩岡野さんが佐田岬を訪ねてくれた。

 遅めのお昼を船山食堂でとった。
朝、電話をして予約しておいた。
船山食堂のおばあちゃんに会ってほしいと思ったからだ。

 途中予約時間よりも遅くなりそうだったので、電話を入れる。
するとおばあちゃんから

「わざわざありがとうございます。もう電話はかまいませんよ。
いつになってもかまいません。
今日は特に冷えますからお客さんに温かい物を食べていただきたいと思います。」


 船山食堂のメニューは、コーヒー、うどん、定食の3つだけ。
80歳になるおばあちゃんが細々と1人で開いている。

 おすすめは、800円の定食。
でもこれには、200円の食後のコーヒーもついているので、実際は600円。
 手作り感あふれる味噌汁、酢の物、漬け物、豚肉炒め。
そして今日の魚は、サバの塩焼きとハマチの刺身。
これで600円というのはありえない。

 子どもや孫たちは、おばあちゃんの体も心配だし、
もうけにならないので、店を閉めた方がいいと声をかけるそうだ。

 先日、大洲であった研修会で偶然にもおばあちゃんのお孫さんと知り合った。
 お孫さんがおばあちゃんの言葉を聞かせてくれた。

「祖母が開いている食堂は、もうけなどほとんどなく、
その労力を考えたら赤字です。
 でも祖母は、お客さんとふれあうことが何よりの楽しみだと言うのです。」


 働くとは、生きがい、やりがい、おもてなしとは。
そんなことを考えさせられる。

 あいさんは、地域づくりの重要なしくみとして、
おばあちゃんのそんな人間関係づくりについて考えを聞かせてくれた。
 この船山食堂は、たとえお客さんが多くなくとも、お客さんが来なくなるなることはないだろう。
それは全て、おばあちゃんの魅力があるがゆえのことだろう。


 岡野さんは、仕事がら青魚(例えばサバ、イワシ、ハマチ)が健康にどれほどよいか教えてくれた。
佐田岬の人たちは、昔から青魚が中心の食。
長生きで元気の秘訣は、青魚をよく食べていることがかなり大きな理由。
 それを聞いていると、つくづく豊かな岬だと感じる。


 何と1時間半も船山食堂にいて、帰りぎわ。
おばあちゃんが、
「息子が大阪にいますが、毎朝電話で今日の定食のメニューを聞いてくれます。
それを息子はホームページで紹介してくれます。」

と、うれしそうに話すおばあちゃんの顔が温かかった。

 親孝行者のすばらしい息子。
 遠く離れていても田舎で暮らす親のために、そしてふるさとのために、
できることはあるものだ。

 あいさんと岡野さんにぜひ会ってもらいたかったおばあちゃん。
私の人つなぎ。
 
 続いて2人目は、二名津の田村菓子舗へ。


追伸
 1年前の夏にこの喜久家プロジェクトブログで書いていた船山食堂を紹介したい。

http://blog.goo.ne.jp/kikuya2009/e/1fca1a59807a85242a8f8730a6cbaad9