久し振りに母が住む故郷を訪ねました。札幌から2時間少々なのに、なかなか顔を見にも行けず、もう
顔を忘れられたかも~と心配しつつ車を走らせました。夏真っ盛りの日高海岸は穏やかに晴れ渡り
緑の牧場には草を食む競走馬の群れ。遠く遥かに日高山脈が連なり、まさに『我が故郷』の光景です。
若い頃には何の魅力もない田舎と思っていたのに、今や啄木の「故郷の山に向かいて…」と同じ心境で
山にも海にも草原にも、「有難きかな」と手を合わせたい生まれ故郷なのです。つくづく〇〇だねぇ
今年『白寿』を迎える母は見た目はあまり変わっていないけれど、背中が丸くなって足元も覚束なくなり
確実に老いが進んでいました。娘であるKimitsuku を見ても、怪訝な表情で「どちら様…」状態
少し話していると思い出してくれるのですが、再び「この人は誰だろう…」な顔になるのが、可笑しいやら
情けないやら…。好物の天重を食べながら思い出話をすると子供が4人いたこと、名前は「K子」、「N子」
その下に男の子が2人と正解するも、目の前にいるのが「K子」とは結び付かない様子です。
長生きの秘訣を尋ねると、「くよくよせず、気持ちを大きく持つこと」ですって… 高齢者介護を職として
いたので多少トンチンカンな母を見ても驚きはしないけれど、この答には些かビックリ
認知症が進行しても人間性は失われず、むしろ余計なものを削げ落として飄々と生きている母の姿に
大きな感銘を受けました。そして『我が故郷』の『我が母』に、心から「有難きかな…」と感謝したことです。