②のどうしても取りきれない、ハーモニクス的な、
第2ポジションの、ミ、の音。
これが出ない楽器が有ります。
この雑音、昔からこれは、いたし方ない、演奏上の方法で取るきりないね、
といわれているものです。
でもこの雑音が、殆ど出ないものが有ります。
それは、花梨の二胡、それから、まれに、バリサンダー、
もちろん、きちっと皮が張られている、紫檀や黒檀の中にもあります。
問題は、紫檀や黒檀の場合、この雑音が出ないという楽器の特徴の1つに、
高音も出にくい、全体にボリュウムが出にくいというのがあることです。
黒檀や紫檀で、ボリュームを出すには、皮の張られている部分が、
かなり薄く削らなければいけません。
1,8ミリから、2,3ミリぐらいの厚みにすると、
黒檀や紫檀は良く音が出ます。
しかし、この厚みに削った時、ボリュームが出る分振動も大きくなり、
不安定になります。
そこで、この雑音が発生します。
では何故、花梨やバリサンダーにこの雑音が出ないかと言うと。
この皮の張られている部分、むしろ今までの作り方の方が、
要するに3、2mm位ある方が花梨や、バリサンダーは、響きやすいのです。
理由は、花梨や、バリサンダーは、硬さの割に、空気を含んだ部分(導管)が多いのです。
ですから、多少厚みが有っても良く振動します。
と言うことは、黒檀や紫檀も、この皮を張った部分が多少厚ければ、この雑音は無いのですが、
ボリュームのなさが付きまといます。
また反対に、この雑音の出易い楽器もあります。それは北京系の、8角に多いようです。
そこで、北京系の楽器の中には、竹の筒が入っている者も多いのです。
北京系は、ボリュームを追及した楽器です。
従って、皮の張る部分かなり薄く削ってあります。
その時に音の不安定さを修正するのが、この竹の筒です。
大変優れた構造だと思います。
問題は、この竹の筒、棹の木が痩せて来ると、下に落ちてしまいやすいのです。
北京系は、中がのぞけます、もしこの竹の筒が、下に落ちているようですと、
雑音消しの効果が、半減しますので、
箸など長い棒で、真ん中に来るように持ち上げて下さい。
それでも、落ちるようでしたら光舜堂にいらしてください。
瞬間接着剤などは使わないでください。
何かの折に解体出来なくなります。
この雑音とり、どうやったらできるのかということです。
私の考えたのは、この雑音の出る紫檀黒檀のこの部分の削り方です。
適度に鳴る厚みと、安定する厚みを組み合わせられないかと言うことです。
現行の物より、もう少し厚くして、その中にスリットを刻み込むことです。
このように書けば、多少音響学や、材料力学をやった方には、成程と想い浮かぶはずです。
クラリネットや、オーボエ、サックスなど、やっていてリードを削った方にも、
納得できると思います。
リード削る時、薄く削りすぎると、音が出易くはなりますが、
不安定になります。
厚ければ、鳴りにくくなります。
フルートの、歌口も、ケーナや尺八の歌口も同じようなことが言えると思います。
只、難しいのは、天然素材の場合一つ一つ材料の、弾性や、硬さ、粘りが違います。
オーボエの、ハンスホリガーは、リード用の葦の畑を持っているぐらいらしいです。
この雑音を直すのには、皮を張り替えるとき、また、花窓を取ってしまっても良い時
でしかありません。
内部の、削りが出来ませんから。
花窓は、綺麗に取るというのがなかなか難しいですね、
ボンドがしっかりついていなくて、思わぬときに取れてしまうかと思えば、
木の収縮を邪魔するくらいにシッカリついている物もあります。
音にはあまり関係の無いところですから、(取れてしまった方は、お分かりだと思います)
これを取ってしまえば、内部削りは出来ます。
光舜堂では、この雑音取り、皮の張り替えの場合のみに、御相談しながら行っています。
80%治せます。
のこりの20%は、木の歪みのあまりにも酷い時です。
それから、違う樹種が、胴を構成する6枚の板に含まれている場合。
悲しい事ですが、このような場合も多々あります。
そういった意味でも、皮の張り替えと言うのは、皆さんにお勧めいたします。
続く
光舜堂クリニック
西野和宏。
、
第2ポジションの、ミ、の音。
これが出ない楽器が有ります。
この雑音、昔からこれは、いたし方ない、演奏上の方法で取るきりないね、
といわれているものです。
でもこの雑音が、殆ど出ないものが有ります。
それは、花梨の二胡、それから、まれに、バリサンダー、
もちろん、きちっと皮が張られている、紫檀や黒檀の中にもあります。
問題は、紫檀や黒檀の場合、この雑音が出ないという楽器の特徴の1つに、
高音も出にくい、全体にボリュウムが出にくいというのがあることです。
黒檀や紫檀で、ボリュームを出すには、皮の張られている部分が、
かなり薄く削らなければいけません。
1,8ミリから、2,3ミリぐらいの厚みにすると、
黒檀や紫檀は良く音が出ます。
しかし、この厚みに削った時、ボリュームが出る分振動も大きくなり、
不安定になります。
そこで、この雑音が発生します。
では何故、花梨やバリサンダーにこの雑音が出ないかと言うと。
この皮の張られている部分、むしろ今までの作り方の方が、
要するに3、2mm位ある方が花梨や、バリサンダーは、響きやすいのです。
理由は、花梨や、バリサンダーは、硬さの割に、空気を含んだ部分(導管)が多いのです。
ですから、多少厚みが有っても良く振動します。
と言うことは、黒檀や紫檀も、この皮を張った部分が多少厚ければ、この雑音は無いのですが、
ボリュームのなさが付きまといます。
また反対に、この雑音の出易い楽器もあります。それは北京系の、8角に多いようです。
そこで、北京系の楽器の中には、竹の筒が入っている者も多いのです。
北京系は、ボリュームを追及した楽器です。
従って、皮の張る部分かなり薄く削ってあります。
その時に音の不安定さを修正するのが、この竹の筒です。
大変優れた構造だと思います。
問題は、この竹の筒、棹の木が痩せて来ると、下に落ちてしまいやすいのです。
北京系は、中がのぞけます、もしこの竹の筒が、下に落ちているようですと、
雑音消しの効果が、半減しますので、
箸など長い棒で、真ん中に来るように持ち上げて下さい。
それでも、落ちるようでしたら光舜堂にいらしてください。
瞬間接着剤などは使わないでください。
何かの折に解体出来なくなります。
この雑音とり、どうやったらできるのかということです。
私の考えたのは、この雑音の出る紫檀黒檀のこの部分の削り方です。
適度に鳴る厚みと、安定する厚みを組み合わせられないかと言うことです。
現行の物より、もう少し厚くして、その中にスリットを刻み込むことです。
このように書けば、多少音響学や、材料力学をやった方には、成程と想い浮かぶはずです。
クラリネットや、オーボエ、サックスなど、やっていてリードを削った方にも、
納得できると思います。
リード削る時、薄く削りすぎると、音が出易くはなりますが、
不安定になります。
厚ければ、鳴りにくくなります。
フルートの、歌口も、ケーナや尺八の歌口も同じようなことが言えると思います。
只、難しいのは、天然素材の場合一つ一つ材料の、弾性や、硬さ、粘りが違います。
オーボエの、ハンスホリガーは、リード用の葦の畑を持っているぐらいらしいです。
この雑音を直すのには、皮を張り替えるとき、また、花窓を取ってしまっても良い時
でしかありません。
内部の、削りが出来ませんから。
花窓は、綺麗に取るというのがなかなか難しいですね、
ボンドがしっかりついていなくて、思わぬときに取れてしまうかと思えば、
木の収縮を邪魔するくらいにシッカリついている物もあります。
音にはあまり関係の無いところですから、(取れてしまった方は、お分かりだと思います)
これを取ってしまえば、内部削りは出来ます。
光舜堂では、この雑音取り、皮の張り替えの場合のみに、御相談しながら行っています。
80%治せます。
のこりの20%は、木の歪みのあまりにも酷い時です。
それから、違う樹種が、胴を構成する6枚の板に含まれている場合。
悲しい事ですが、このような場合も多々あります。
そういった意味でも、皮の張り替えと言うのは、皆さんにお勧めいたします。
続く
光舜堂クリニック
西野和宏。
、
私が尊敬してやまない脚本家金城哲夫さんもプラスαがなければ名作は出来ないと言っていたのを思い出します。
モノづくりに必要なことですね。
西野さんが改善/改良常に考えて結果に結び付けていらっしゃるところに感服いたします。
たまに瓢箪から駒みたいな改善はあるかもしれませんが、仰るとおりこれからは大きなジャンプは難しいでしょう。でも改良のための工夫は続けいただきたいと思います。
最近の出来事で強く思いましたけど、やはり演奏者(プロに限らず)の声を聴くというのは大事なことですね。
それによって技術的なブレークスルーが出来るんだろうと思います。
建設的な問題点指摘に加え、修理というのは様々な問題点を提示してくれるのであながち無駄ではなくて大事なことですね。
30年くらい前、モントリオールの、楽器の修理屋さん達と一緒に仕事をしました、
この時覚えた、技術はその後の、私のクラフト作品を一変させました。
大きな声では言えないけど、アールヌーボーの、アンティック屋さんと組んだ仕事、?
この修理は、とんでもない知識を私につけてくれたのです。
今、やっている光舜堂クリニックも、ホントに、楽しく仕事と言う感じになってきました。
これは燃えますね、
どのくらいレベルアップしてやろうか、色々考えます。
このDr.の講義はとてもタイムリーで興味深く、ワクワク
しながら拝読させて頂いてます。
Dr.の二胡に対する豊富で深い知識、スキル。
そして細やかな気遣い。
二胡クリニックで診察受けた時も、何故今の状態・症状になったのか、
何故皮を張り替える事がベストなのかを理由がきちんと分かるまで
説明して下さいました。
そして説明が終わると、きっぱりと『治せます』と力強い言葉が
ついてくるのです。
この言葉は本当に嬉しかったですし、Dr.にお任せすれば大丈夫と
ホッとしました。
上記ほぉ様の記事にもありましたが、修理に出されたH様の二胡も、
Dr.の手によって音が甦った、今まで以上の素敵な音が出て大変御満足
されたとあります。
この記事を読みまして、私もわが胡に会うのが本当にとても楽しみです。
そして出来る事ならば、胡が手元に戻ってから後、今後も良い状態を
保つ為に『二胡のメンテナンス(やってはならないこと)2010-08-02 』の
続きという事ではないのですが、以前温度・湿度のお話が出ていましたので、
二胡にとってどれくらいの数値が好ましいとか、蘇州・北京の種類によって、
また木の種類によっても数値は違うのか等をいつか御教授下されば嬉しく思います。
二胡医の立場からの『良い状態の為に心掛けてねアドバイス』を
Dr.の御気分が向いた時に、ちょこっとずつでも教えて頂きたいと思う
今日この頃なのです。
何だか最後はずうずうしいお願いのような形になってしまってますが、
Ka-moが何か言ってたな~と言う位に受け止めて下さいませ。
不思議ですね、
いま、ほぉさんが、このブログを基に、
「二胡の救急箱」と言う小冊子作り始めています。
多分11月中には出来ると思います。
初心者でも解る、メンテナンスの冊子です。
『二胡好き・二胡愛のある方の必読本~二胡のそばにこの一冊』になりますね。
完成、心待ちにしております。
(通販できるのかな。。。?)