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二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

日本の二胡、その5.

2012-10-08 12:07:21 | ■工房便り 総合 
話を元に戻します。

大きなホールで、大観衆を入れない限り、現在の音楽の公演というのは採算の合わないものなのです。

王候貴族の力が無くなった時代から、大衆が音楽の世界を支えてきています。

その為の大ホールと言うこともできます。

大聴衆、大ホールという事で必要なのは、マイクの無い時代、当然楽器の音を大きくするという事であったと思います。

バイオリンなどは、それまで胴と水平についていた棹(ネック)を少し傾斜をかけて、弦の張力を上げ、駒を高くしてさらに胴に伝わる弦の力を強くしてより響くようにしました。

今残っているストラデバリウスやガルネリなどの作った楽器は、それらの改造を皆されています。

その改造によって、ヴィオラダモ―レなどの古典楽器に比べると倍近くのボリュームになったと言われます。

二胡も1950年代に入って、それまで中国やその周辺地域で使われていた物の中から6角形が選び出され、(それまでは丸型が主力でした)安定した生産と量産の方向に進みました。

1980年代に更に音が大きく鳴るようにと8角形が開発され、
2012年には、倍音の多さとボリュームという音色と音の大きさを複合した、12角形が作られました、(自画自賛?失礼しました)

12角形になることによりより丸に近くなり蛇皮を限りなく均一に張れるようになったのです。

後ろの部分は6角形ですから蘇州系の音色中心の音作りというのが出来ます。

板の削りは内部を平らにして、8角形のボリュームを得られるようにしてあります。

この事によって、ギターぐらいのボリュームでしたら、二胡も十分に現代楽器と共演でき、二胡が2台あれば、バイオリンとも共演できます。

今までは二胡5台にバイオリン1台と言われたものです。

ボリュームを大きくするというのは、樹種を選びます。

そのボリュームを得るには、やはり木自体の硬さと十分な導管の多さということが望まれます。

やはり、アフリカンブラックウッド、そして、黒檀、それからブラジルカリンでしょう。

紫檀系で言うと、パドーク(老コウボク)そして、ココポロということが出来ます。

ボリュームはその木の質にもよって随分差が出て来ます。

ボリューム、鳴り、響き、という楽器の性能を上げるために、二胡はその作る樹種というものの確定というのが必要かもしれません。

ストラデバリなどは、初期の頃に裏板をポプラなども使っていました。

最近では、より硬い楓が使われるようになってきています。

馬頭琴の裏板は、モンゴルの白樺を使うと言います。

より完成度というのを追求してきた時には、このようにより響く材料になり、いつかは、しだいに一つの樹種に統一されるかもしれません。

今のところ、アフリカンブラックウッドは、その最右翼でしょう。

また縞黒檀も、削り方次第ではほとんど互角のボリュームを得ることが出来ます。

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