二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

日本の二胡の現状について、その9。

2012-06-26 07:04:13 | ■工房便り 総合 
日本の二胡のレッスンというのはかなり特殊かもしれません。

グループレッスンが主力と言ってよいかと思います。

中には、個人レッスンだけでやっておられる教室というのがちらほら見かけますが、

全国で言うと、グループがまだ多いようですね。

ピアノなども初級の頃には、グループレッスンがあるとは言います。

しかしそこそこ弾けるようになれば、全て個人レッスンですね。

中国の教室というのにグループレッスンというのは無いようなのです。

日本のグループレッスンというのは、カルチャーセンターから始まったのでしょうか?

先日あるカルチャーセンターの責任者の方と話していて、やはり採算ということを考えると、8人ないしは10人ぐらいのグループレッスンが望ましいとのことでした。

それはあれだけ良い場所の賃貸料など考えるといた仕方ないのかもしれませんね。

グループレッスンというのは、教室の運営上の都合なのだと思います。

ただ、皆で顔を合わせて楽しくやるというのも、二胡の楽しみの一つではありますね。

しかし、私の聞いた中では、グループレッスンにしても、「はい、これ弾いてね」といって、先生が自分はPCに向かってしまうという様な方もいるらしいです。

これは、教えていることになるのでしょうかね。

また二胡などと普段なじみの無い物を習おうとしても、たとえ、{二胡教えます}という看板が出ていたとしても、余程度胸のある方でないと難しいのかもしれません。

もしうちの仕事場で二胡教えますと言っても誰も来ないだろうな。

その点、カルチャーセンターは綺麗だし、大きな放送局や、楽器屋さんなんかがやっているところも沢山あるので、やはり安心感はありますね。

ここで問題は、そこそこ皆で楽しむというのは、とても大切、確かに趣味のレベルとしては問題は無いと思います。

しかし人によっては、それだけでは収まらない人も沢山いますね。

上手くなりたい、いずれはプロを目指したいという方達です。

もちろん楽器を弾く以上どなたも上手くなりたいというのは、変わりはありませんが、やはりプロを目指すというのは大切なことですね。

しかし、日本に二胡のプロを目指す道というのが殆ど無いのです。

大体が、プロを目指す以上、グループレッスンではあまり進歩は出来ません。

先生に自分だけの時間を割いてもらいにくいからです。

やはり一対一で細かく指導されていかないと、難しいでしょう。

確かに、東京近辺の先生方の中には、個人レッスンを中心に教えておられる方も多くいらっしゃいます。

空弦3年などという本格的な教室もあるのです。

私はこういうの大好きですが、(バイオリンで音階だけ飽きずに弾きますから)人によっては辛いでしょうね。

また大きな教室、100人の生徒さんを抱えるようなところは、サブの先生方もおられます。

勿論そのサブの先生方も立派な腕をしておられるのですが、どうもその先生がたが伸びてくるシステムが無いようなのです。

私の知っているサブの先生は、独立しようとした時に大変にその元のお師匠さんとトラぶりました。

なんとか独立はしたようなのですが、生徒さん集めに苦労しているようです。

それはそうですね、お師匠さんとしては生徒を持っていかれかねないという不安感はありますから。

まだまだ日本の二胡は教室産業の域を出ていないですからね。

しかし、プロになるというのは、二種類あると思うのです。

演奏のプロとレッスンのプロ。

これはゴルフなども同じですね。

ゴルフなどは、テストがあって、プロとしての資格が確立しています。

バイオリンなども、資格は無いにしても、一応音楽大学を出ているというのは、プロとしての資格みたいなものではないでしょうか。

日本の二胡にはまだそのような資格というのはありませんし、音楽大学の中にも二胡の演奏というのはありません。

もう一つ演奏のプロというのがあります。

これは非常に少ないですね。

演奏だけで食べていける人というのは(全く教室をやっていないという意味で)、私の知っている限り、木村ハルヨさんだけのような気がします。

もうひとり、ヨシハルさん、この人は二胡は弾いていますが、どちらかというとエンターテナーという感じですかね、二二胡だけでなく歌も上手いし、話も上手ですし、ギターも上手いし。

ちょっと別格ですね。

ほんとならもっと演奏だけでやって欲しいかなという方(これは私の希望)しかし教えるということでも、群を抜いているのは、関西の鳴尾牧子さん。

この方の教室の発表会はもう、プロの演奏会と言ってもよいかと思います。(先日の発表会がユーチューブにのっています)

その上級者20名ぐらいの方の演奏は、これが生徒なのかというぐらいに良い演奏をします。

多分東京で、個人的に先生をしておられる方レベルの方達が、ずらーっと揃っています。

これは教え方のうまさと言ってよいと思います。

私としてはこのレベルの人が、もっと本格的に音楽活動を繰り広げてくれると、更に安定して二胡が広がり、全体のレベルも上がって行くと思うのです。

今はまだ二胡を習っている人達だけの業界になっているような気がします。

関東にもまだまだ沢山上手な人はいるのでしょうが、イマイチその方達の活動が聞こえてきません。

ホントに数えるぐらいの人の数ですね。

というのもなかなか御師匠さんの了解を取って演奏活動をするのが難しいというのもあると聞きます。

このあたりのことも、少し見直さなければいけないのかもしれません。

それに発表の場というのも限られてきますね。

光舜堂は今後小さいけれど、(25人で満席)二胡専用の発表の場ということも少し考えてみようと思います。

大先生と言われる方達の中にも、大変有意義な活動をしておられる方もいらっしゃいますね。

劉継紅先生は東京音大で、教室を越えて、基本からみっちり教えておられます。

昔チェロのレッスンを受けていた時のこと思いだします。

15人のグループとはいえ、サブのjimmyさんと共に、それこそ個人レッスン並みのきめの細かさ。(jimmyさんの教える力というのは大したものなのですよ、理論的だし、優しいし)

いつ見ているのか、いつ聴いているのかと、ビックリするほど生徒それぞれのことをピシッと指摘していきます。これは緊張感ありますね。

又WeiWei Wuu先生も全国を飛び回り、演奏会と講座とを続けています。

このお二人ぐらいですか、御自分の教室を越えてという活動をなさっているのは。

もちろん私の知らない所で沢山の方が有意義な活動やってらっしゃるというのは想像はつきますが、イマイチ聞こえてこないのは、私の情報集めが偏っているからかも知れません、悪しからず。

光舜堂へいらした先生方で、とても感心したのは、丸小野智子さん、呉俊徳さん、仙台の宇都宮さん、そして張艶先生。

この方たち、余りに見かねたのでしょうか、光舜堂にいらしている初級の方が居ると、何気なくそばによって、こうですよと手を取り懇切丁寧に教えています。

先生をやるというのはこういうことなのだなと、思えたのでした。

カルチャーセンターの運営のことです。

個人レッスンは、採算的にも難しいとのことです。

確かに1時間当たりということで言ったら採算としては十人分を貰わなければならないのかもしれませんが、上級者になったら3人ぐらいのレッスンにして、多少値上げしてでもどうでしょうかね。

そうすれば、親しんだ先生にそのまま、個人レッスンという形に近くなりませんかね。







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2 Comments

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二胡の特殊事情 (Pちゃん2号)
2012-06-27 14:00:51
二胡の場合、そもそもの始まりが特殊だったんじゃないかと思ってます。それは、まだ日本で二胡をひく人がほとんどいなかった時代(1980年代後半)に、中国の楽団コンサートマスタークラスの演奏家が何人も日本にやってきたこと。中国で二胡を学んだ日本人が、帰ってから教室を始めて少しずつ広めていき、その過程で中国の有名な先生を呼んできた、というのならわかります。でも、実際は、いきなり超一流の先生がごく普通の日本人の大人に教え始めたのです。これは、習う方にとってはとてもラッキーでしたが、指導者やプロを育てるという意味ではマイナスだったかもしれません。先生と生徒の間に大きな空白があって、全くつながっていなかったのですから(日本のおけいこごとでは初心者と家元の間にさまざまな段階があってつながってますよね?)。
関西で日本人のプロが育ってきているというのは、関東に比べて中国人演奏家が少ないことと関係しているように思います。
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Pちゃん2号さん (nishino)
2012-06-27 15:57:41
そうですね。
巻頭には大物の演奏家が揃っているような気がします。間をつなぐ日本人の演奏家或いは、レッスンのプロが居ると良いですね。
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