用意するもの
ガスコンロ・電熱器でも可
ステンレスカップ200CC以上のもの・
皮手袋あるいは耐熱の手袋
マスク
ゴーグル
発火した場合に備えて消火器、あるいは木の板10センチ角以上。
デコ弁に使う耐熱シリコンカップ。
先ず、松脂を購入します。
最近は日本に入って来る松脂の90%以上が中国産だとのことです。
その他に、インドネシア、かつてはブラジルやアメリカなどの物が塗料用として入っていましたが、いまはかなり入手が難しいです。
あくまでも松脂は原料を購入してください。
今までお使いの壊れた松脂などは何が入っているか分からないものも多いですから使わないでください。
さてのその松脂をなるべく砕いて細かくします。
熱が通りやすいからです。
それから、ステンレスのカップに入れて(30グラムくらい)それから火にかけます。
本当は家の中ではなく外の方が安全です。
なにしろすごい煙が上がります。キッチンのファンの下でもできなくはないですが。ほぉさんはマンションのキッチンでやっていて火災報知器が鳴り始めました!!
おおよそ、5分くらいで松脂は全部溶けます。
溶けたら、火を少し小さくして待ちます。
すると大きな泡が沢山出ます。その大きな泡が出なくなったらそこで火を止めます。
それからゆっくりと冷ましてとろとろになったころ、シリコンの耐熱カップに入れます.
加熱方式ではなく、湯煎で溶かすと松脂はこのくらいの色です。
ら
しかし全ての大きな泡が出なくなるくらいに直火で熱すると
最初黄色かった松脂が赤くなっています。
最初30グラムあったものがこの段階で20グラムくらいになります。
元々松脂樹脂の中に入っていたテレピン油脂が20%くらいになっているはずです。
これで普通の販売されている程度の擦弦楽器用の松脂になります。
これはかなり良いものの方に入ります。
この段階からさらに進めるには、そのまま煮詰めて行きますと、小さな泡が出てきます、
ここで気を付けなければならないことは、この段階です。燃えやすいガスが出ているのです。
ですからそのガスが発火することが多いです。
発火しないくらいの弱火にしてさらに15分くらい(火力によります)
熱すると小さな泡も出にくくなります。
これを少し冷ましてシリコンカップに入れます。
これ相当良い松脂になるはずです。
テレピン油も相当減って10%くらいでしょう
これを、弓に付けて弾いてみると、かなりクリアーな音が出ます。粒子も細かくなりますが、いわゆる引っ掛かりと言うのは少なくなり、割と静かな感じになりますが、音色は、とてもよくなります。
既にこのような方法で発売している松脂屋さんもありますし、既存の松脂メーカーにもこのような方法を、とっているところもあるようですが、少量づつ作るきりないので、大きなメーカーではないようです。
また最大ネックは、製品が一定になりにくいです。ほぼ同じものはできないと思った方が良いと思います。(慣れてくればある程度は一定の質にはなるようです)
まあご自身楽しむためなら問題はないでしょう。
出来上がったものは最初の30gに対して10gなってしまいます。
因みに
加熱だけではこの最後のようにはなりません。
これは天然熟成されたものです。
私も加熱だけで色々やってみたのですがどうしても一定の質を保てないのです。それは粒子の大きさがバラバラなのと形もどうやら一定ではないようなのです。
そこで自然がやっているように熟成する方法を考えたのです。
しかしこの加熱だけでもかなり良い松脂には違いないと思います。
好みで言えば何らかの油分や添加物を入れた既存の松脂よりは良いのではと思います。
何故メーカーはこのようにしないのかと不思議ですが、安定しないのとかなり熱量を必要とするので採算に合わないのではないかと思います。
それと先ほども書きましたが、大量生産はできません、発火ギリギリのところで追いかけますから、量があったら大変な火事状態になります。
ただ少しづつ作るなら、こんな感じでなかなか良い擦弦楽器用の松脂はつくれます。
注意すること!!
必ず耐熱手袋をすること。
野外で作業すること。
マスクは布地なら2重にすること。
カップの中の松脂が発火した場合、素早くガスを止めて木の板で蓋をする。これで殆ど発火は抑えられますが、消火器も用意してください。
決して水をかけない事。相当高熱の水蒸気が上がり体にかかったりすると火傷をします。
松脂の量は30グラムくらいが適正です、量が多くなると発火した時に抑えられなくなります。
くれぐれもご注意ください。
松脂工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ