次は私の理想の「永遠の美少年」をやろうかと浮き浮きしていたが(笑)、その前に、第1回で出た「女性化」についてもう少し追加。
嫌いな人と好きな人が分かれる、女性化とか両性具有とか、私は結構好きなネタです。これが逆に男性化(見たことないので男装も含む)、両性具有でも本人の自己認識が女性が本位だと、興味があまりなくなってしまうのはどういうわけなのか・・・。『リボンの騎士』(アニメでしか見てない)も『ベルばら』も『BASARA』も、作品としておもしろいと思うけど、萌えはない。
男装で思い出した。大島弓子の作品なんだけど、こんなマイナー作品、誰も感想も書いちゃいねえ・・・ので、ネットでも詳細が見つからず、タイトル不明。子持ちのやもめに惚れた青年が女装して、おしかけ女房して、でも幼かった娘は大きくなるまで本当の母親だと信じていた。ただ時々母が夜中に、近くの池で泳いでいたのを見て、「見てはいけないものを見てしまった」(←いや、別にヌードを見たからってわけじゃなくて(笑))、という気がしたと述懐する場面があって、なんとなく、鶴女房とか雪女とか、異種婚姻譚の民話的情緒があって、切なかった。あと、同じく大島弓子の『ジョカへ・・・』だったかな(←はっきりしなくてすみません。大島さんはあまり好きな作家ではなく、コミックスは全部売ってしまったのでわからん!)、主人公の少女は幼馴染の少年が好きだったが、彼は突然死んでしまう。その後成長した少女の前に、不思議な魅力を持った少女が現れる。実はその少女こそ、死んだはずの少年で、彼はこどもの時病気に罹ってそのとき染色体を調べて女性だとわかり、女性となる手術を受けるために姿を消したのだ。そして少女のことが好きだった少年は、正体を隠して少女の前に現れたのだった、という話もあったな。・・・長い脱線だ。
とはいえ、女装ものはともかく、実際に女性化する話は少ない。私が知らないだけかもしれないが、私がいい!と思ったのは、萩尾望都『11人いる!』(有名すぎるので、これについては省く)『スター・レッド』と竹宮恵子『イズァローン伝説』、小説でアーシュラ・K・ル・グィン『闇の左手』くらい。
『スター・レッド』では、異次元に捕らわれてしまった火星人の少女セイと、同じく意識が肉体に戻れなくなっていた火星人の少年ヨダカとが再会し、肉体を失ったセイのためにヨダカは自分の体を女性に変化させてセイを子宮に宿し、目覚める。その後ヨダカはESP研究所から逃れるために、以前に知り合った貿易商のラバーバと結婚するのだが、これが案外偽装結婚でもない節があるのですよ!まず、ヨダカが意識不明のときのラバーバの独白「なぜこの火星人と気が合うと思えるのだろう。息子などいないが(注※ラバーバとヨダカは親子ほど年が離れている)息子の代用と思ってるのだろうか」・・・息子の代用じゃなくて、それは「恋」です(笑)。「地球に帰ってヨダカが目を覚ますとすぐ(注※結婚の)届けを出した」ラバーバ。躊躇なしかよ!と突っ込みたくなります。一方ヨダカも、「とまどうことがいろいろある。(略)ラバーバが助けてくれる」だと。のろけか?!
この文を書くためにコミックスをパラパラと読み返したのだが、自分の記憶の鮮明度が、ヨダカが女性になってラバーバとくっついたことに偏っていたことを自覚しました。主人公セイと、異星人エルグとの恋については割とどーでもよかったらしい・・・。
『イズァローン伝説』では、最後の最後でずーっと脇役だと思っていたカウス・レーゼンが、主人公の両性体の王子ティオキアと相思相愛(といっても、ティオキアは肉体を失い、「はるか先の国で(略)再びお前と出会えたら、おまえにこの身を──」と言い残し、自分ごと魔王を結界に閉じ込めて去ってしまうのだけれど)になったのが驚きでしたよ。だって本命は絶対ルキシュ王子に見えたし、カウス・レーゼンなんて最終巻近くまで脇役扱いだったし、ティオキアも、そんな気のある様子は全く見えなかったので、まさに逆転ホームランでした・・・。ちなみにカウス・レーゼンは『風と木の詩』で私好みの性格の悪い(爆)黒髪長髪の美形、ジュール・ド・フェリイに似ていると思う。あ、性格は全然違って、カウスは口は悪いけど相手に尽くす下僕タイプです!
話は戻って、どうして女性化とか両性具有に惹かれるのか、私個人に限って言えば、攻めである(攻めを選択できる)者が、受けにスタンスをひっくり返されるという、世界の反転、力関係の逆転に萌えを感じるからとしか言いようがない。普通の少年、男という本来攻めの属性を持つ者が、受属性にもなる可能性(まあ、BLややおいだと、可能性どころか必然で、ほとんどの場合どのキャラが攻めか受けかは決まっているけどね)が垣間見えるから、性の逆転や、同性愛やそれを匂わせるマンガが好きなんだな・・・。恋愛そのものに萌えはないが、スタンスの逆転、世界の反転、支配と被支配の力関係(しかも必ずしも攻めが支配権を握るとは限らない)に萌えはある!と思うワタクシです。
データ (幸田所有本)
『リボンの騎士』 手塚治虫 1953年
『ベルサイユのばら』 池田理代子 1972~73年 集英社 週刊少女マーガレット
『BASARA』 田村由美 1990~98年 小学館 別冊少女コミック
『ジョカへ・・・』 大島弓子 1973年 小学館 別冊少女コミック
『11人いる!』 萩尾望都 1975年 小学館 別冊少女コミック
(『11人いる!』 1976年 小学館文庫)
『スター・レッド』 萩尾望都 1978~79 小学館 週刊少女コミック
(『スター・レッド①~③』 1980年 小学館 フラワー・コミックス)
『イズァローン伝説』 竹宮恵子 1982~87年 小学館 週刊少女コミック
(『イズァローン伝説①~⑫』 1982~87年 小学館 フラワーコミックス)
『闇の左手』 A・K・ル・グィン 1969年
(『闇の左手』 1977年 ハヤカワ文庫 1979年第5刷)
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