まずはさっき、「デーモン聖典最終回前の妄想話④」で1行抜けているのを発見したので修整しました。気づかないかもしれませんが、もう1回お読みくださいませ~
この土日はがんばって「デーモン聖典最終回前の妄想話」を書き書きしておりました・・・。この2日間で、私はおそらく300歩も歩いてないんじゃないか。足が退化しそうだ・・・
書いている間は頭の中を妄想(爆)に集中させるため、目の前にLaLaの切り抜き、私の一番好きな場面、「病院でデーモンに襲われた忍が、助けてくれた赤龍と初めて対面する」ところを広げながら書いております。
こんな感じ・・・。つくづくアホです。
ノートが右から書かれているのは、前からは他の話を書き始めて(気に入らなくて、途中でやめた)いたので、後ろから使っているせいです。
とりあえず書けたところまでこれからワードで打ちます。話自体はまだ最後まで書けていませんが。妄想話の①と②はブログに直打ちしたのですが、それだと時間がかかって1日中PC電源入りっぱなしになってしまうので、いつもの下書き方式に変えたんですね。ほんと、書くの遅いです。直打ちだとますます遅くなる。脳がアナログから切り替えできないんですよ
というわけで、あまりお待たせせず⑤と⑥(分けないと字数オーバー)アップできるはずです。幸田も悶絶する恥ずかしいセリフがあります・・・。皆さんものたうちまわること請け合いです
「う…わああ…!」<o:p></o:p>
皮膚に当たった雨粒が、火に触れたような痛みをもたらした。吸い込んだ空気が肺を焼く。
いきなり何かにぶつかった衝撃が来た次の瞬間、彼は逆に体が浮き上がるのを感じた。開けた目には、赤い色しか見えない。<o:p></o:p>
赤龍…?<o:p></o:p>
顔を上げようにも、おそらく両腕──前足と言うべきか──にがっちり抱きこまれていて、身動き一つできない。声も出せず息もできず、遠のきかけた彼の意識を、心地良い感触が引き止めた。<o:p></o:p>
ひんやりしたものが、肌の上を優しく撫でていく。ひりひりとした痛みが和らいでいく。忍は安堵して力を抜いた。彼を包んでいるのは、清らかな真水だった。何かに支えられて、その中に浮いている。<o:p></o:p>
忍ははっと目を開けた。頬に触れているのは、ゴムの塊のように弾力があり、表面はつるつるして滑らかだ。水の温度に比べれば温かささえ感じる。腰から上をそれに押しつけられて、水の中に落ちないように支えられている。<o:p></o:p>
「…レッ…」<o:p></o:p>
彼は咳き込んだ。一度咳き込むとどんどん誘発されて止まらなくなった。咳をするたびに胸のあちこちが痛む。<o:p></o:p>
ざば、と赤龍は忍を抱えたまま水の中から飛び上がった。
赤龍は忍を足から地面に降ろすと、すぐに彼から離れ、背を丸めて咳き込み続ける彼を見守った。<o:p></o:p>
“…横になってゆっくり深呼吸しろ”<o:p></o:p>
言われたとおり、忍は仰向けに横たわって、咳を我慢して懸命に深呼吸を繰り返した。次第に落ちついてくると、自分が寝ているのが青々とした草の上だと気がついた。目蓋を上げれば薄い絹のような雲が浮かぶ青い空。ずぶ濡れの布越しに感じる風が少し冷たい。<o:p></o:p>
彼は首だけ横に向けて、少し離れたところに体を伸ばして伏せている赤龍を見つめた。<o:p></o:p>
「…ここは……地球か…?」<o:p></o:p>
“そうとも言えるし、そうでないとも言える。私の結界の中だからな”<o:p></o:p>
赤龍の体長は、前に見たときの半分もなかった。体長の半分は尾で、頭から後ろ足まではおそらく忍より少し大きいくらいだろう。<o:p></o:p>
金色の眼球と虹彩、縦長の赤い瞳。爬虫類に近い、全く異質な目だというのに、その目には複雑な感情が浮かんでいる。忍は、「霊的存在」の彼らがそんなことを感じるのかどうかよくわからないが、赤龍は、疲れているようだと思った。たぶん…存在することに。<o:p></o:p>
忍は、また咳の発作に襲われないように、ゆっくりと身を起こした。濡れた服が重く、はりついて動きにくい。せめて上着を脱ぎ、靴も脱いで裸足になる。<o:p></o:p>
赤龍は、何も言わない。訊こうともしない。ただじっと忍を見つめている。<o:p></o:p>
「…そちらに行ってもいいか…?」<o:p></o:p>
“……”<o:p></o:p>
返事はないが、怒ったり拒んでいる気配はないので、いざり寄る。まだ立ち上がるだけの力はなかった。<o:p></o:p>
「触っても、いいだろうか…」<o:p></o:p>
“……”<o:p></o:p>
忍は、そっと手を伸ばした。腕の付け根の上あたり、赤い鱗が規則正しくぎっしりと生えている。ごつごつしているのかと思ったら、鱗の一枚一枚は曲線を描いたプラスチックのようで、さらさらと乾いた手触りだった。そこから鱗のない胸の方へと触れていく。赤龍は目を細めた。<o:p></o:p>
「……すまない……銃で撃ったりして…」<o:p></o:p>
もちろん、赤龍の体に傷などない。それでも彼を撃ったという事実は消えるわけではない。<o:p></o:p>
“撃たれたところで私には影響ない。そう仕向けたのは私だ。謝る必要はない”<o:p></o:p>
一時の感情の爆発にまかせて引き金を引いてしまっただけで、殺意はなかった。けれども、撃ったからにはたとえヘルムートが死んでも死ななくても、自分は死ぬつもりだった。…確かに、自分には破滅願望があるのだ。そう、あのときも…そう、望んだ。<o:p></o:p>
「赤龍…僕はあなたに謝らなくてはならない。僕は、思い出したんだ。あなたと出会ったときのことを…」<o:p></o:p>
悪夢のようなあの夜。それは、ヘルムートと忍の宿命が断ち切られ、忍と赤龍が出会った、宿命の日だった。
はーっようやく山場にたどりつきました。峠を越えれば終わりがみえるかな…
ワードで打ったのをブログの記事編集ページにコピーペーストしてみたんだけど、勝手に字下げしたり、改行したりして、修整がきかない・・・。なんでだろ?HTMLの方でも見ても、そんなタグは見当たらないんだけどなあ。というわけで、お見苦しいところがありますが、直す技術がないのでご勘弁を!
低く垂れ込めた黒い雲、風に煽られ激しく叩きつける雨、四方すべてが見渡す限り空の色そのままの、波立つ黒い海。もちろん太陽は見えず、だが薄ぼんやりと明るい。
“言っておくが、ここの空気も水も肉体には有毒だ。結界から出たら5分と生きていられないぞ”<o:p></o:p>
「わかった」<o:p></o:p>
獏の忠告に応えながら、忍の意識はひたすら外に向けられていた。時折雲が光るのは、雷だろうか。ただでさえ薄暗いのに強い雨が見通しを極端に悪くしていて、これでは50メートル先も見えない。<o:p></o:p>
「獏、この次元に彼らはいるのか?」<o:p></o:p>
“赤龍とビーストの乱れまくった霊力の残滓がそこら中にある。相当やりあったんだろう、このひどい嵐はその余波だ”<o:p></o:p>
「余波?では彼らは?」<o:p></o:p>
体温が一気に下がり、忍は悪寒に体を震わせた。<o:p></o:p>
間に合わなかった?自分は遅すぎたというのか?<o:p></o:p>
“…おい?どうした?”<o:p></o:p>
ガタガタと体が震える。獏のたてがみを掴む手から力が抜ける。体を起こしていられないほどの脱力感。息を吸う力さえ失われていく。まるであのとき…どうしても自分とヘルムートの間の溝を埋められないと思い知り、ヘルムートを見送って彼を「愛している」と思う日は決して来ないだろうと思ったときのように。<o:p></o:p>
視界が急速に狭く、暗くなる。貧血だ。そういえば最後にいつ食べ物を口にしたのか覚えていない。<o:p></o:p>
獏の背に突っ伏した忍の体は、ずるりと滑り落ちた。<o:p></o:p>
“ばかやろう!”<o:p></o:p>
(僕のせいだ…。僕がまた彼を苦しめて…そのせいで彼が「いない」のなら、もうどうだっていい…)<o:p></o:p>
一瞬の落下感。強酸の海に落ちるはずだった彼の体は、しかし、獏の結界から抜けると同時に別の結界に包まれ、抱きとめられた。<o:p></o:p>
かすんだ忍の目に、金色の髪が映った。<o:p></o:p>
「…ヘル…?」<o:p></o:p>
「奴なら別次元へ逃げた」<o:p></o:p>
硬質な澄んだ声が答える。<o:p></o:p>
「ミカ…」<o:p></o:p>
「人間の脆弱な肉体でこんな次元に来るとは、愚かだな」<o:p></o:p>
「…逃げた…。赤龍は、生きているのか…?」<o:p></o:p>
「ああ。K2とやりあって弱ったところを私が喰おうとしたら、さっさと逃亡した」<o:p></o:p>
「な…」<o:p></o:p>
ようやく明るさが戻ってきた視界の中で、ミカが薄笑いを浮かべていた。反射的に忍はその腕から逃れようともがいた。<o:p></o:p>
「一応、『自分のデーモン』への愛着はあるようだな。お前には何もしない。もなが怒るからな」<o:p></o:p>
忍は暴れるのをやめ、怒りを抑えてミカを睨んだ。<o:p></o:p>
「…K2は」<o:p></o:p>
「狩りに行った」<o:p></o:p>
「では、赤龍はどこへ行ったかわかるか」<o:p></o:p>
「さあ。だが、奴は常にお前との接触を保っている。今もお前が私の手の中にいるのを知って、やきもきしていることだろう」<o:p></o:p>
「…ミカ、頼む。赤龍が地球を滅ぼそうとさえしなければ、K2と争う必要もないはずだ。教えてくれ…!」<o:p></o:p>
ミカは無表情に忍を見下ろした。<o:p></o:p>
「奴は完全に痕跡を消して移動した。こちらから追うのは不可能だ。だが、呼び寄せることはできる。お前が本気で奴を呼べば」<o:p></o:p>
「本気でって…僕はずっと彼を探しているじゃないか」<o:p></o:p>
「それでは足りないな。さあ、死ぬ気で呼べ」<o:p></o:p>
“…!やめろ!”
獏が目を剥く。<o:p></o:p>
ミカは、忍を腕から放り出した。<o:p></o:p>
すぐ続くよ~ん
シャレですか?タイトルの「まがまがしき双子」・・・「マガマガ」・・・「週マガ」のことってか(爆)
うおおお・・・!かわゆいっちびファイが2人ですよっ!ぷくぷくしてちょっと内気な感じで愛らしいことったら・・・!しかも皇弟の息子って、皇子さまってことじゃないですか!おいしい・・・おいしすぎるわ・・・
こんなかわゆい子たちを谷底に落としたり幽閉するとは、飛王め、てめー、ショタじゃないな?!(いや、ショタだったら引くよ、私は・・・。オヤジでショタなんて、正真正銘の変態だからね・・・そういや、飛王はナイスバディーの星火もあっさりと殺しちゃったし、女も興味ないとか?興味あるのはクロウだけとか←実はクロウを愛してるんじゃ・・・と疑っている私だ)
ところで・・・兄皇が飛王だったんですが、あれは本物の皇さま(王さま、でも皇帝、でもないのね・・・変なところに凝るなあ)を殺して飛王が成りすましていたのか、それともクロウ・リードが「玖楼国」の王様だったみたいに、本当に皇さまだったのか(飛王と同じ魂を持った異世界の「飛王」とか)どっちなのかしら・・・。多分成りすましの方・・・?
ところで、私の記憶力は最低なので、まだコミックスになっていないところについて言及すると間違ってる可能性大なので、違っていたら済みません・・・。
高い塔に閉じ込められていたのがファイ、谷底に落とされたのがユゥイだとわかったんだけど、飛王に自分が生きるか双子の片割れが死ぬかの選択を迫られて、「生きたい」と願ったとき、もう一方が「落ちてきて」死んだ場面の回想があったと思うのですが・・・。すると、死んだのは「ファイ」?ファイは本当はユゥイで、死んだ「ファイ」の名を名乗っているとか?
うわー、記憶違いだったら済みません自信ないです立ち読みはこれだからいかん・・・
月マガの「Capeta」、とうとうカペタが奈臣を追い抜いたときのカペタのセリフ・・・
「やったよ、ノブ!」・・・おいおい、だから腐女子に「ノブ×カペ」だと妄想されるんだよ(ただしワタシはカペ×ノブのカペタ×奈臣だけどね!!なのに・・・持ってる同人誌はノブ×カペと奈臣×カペタ。だって~カペタ攻めサークルなんて、1つもないんだもん!・・・ま、カペタ受けでもおもしろけりゃ読みますよ、ワタシは!)
さて、よくある出来事を「日常」というが、ここ最近にあった私の日常。
2年も前に告知違反で契約解除された客が、入院したからと給付金請求をしてきて、「契約は解除されていて現在無効です」という私と「解除されたことを納得していない」という客との間で電話で舌戦が繰り広げられていたとき。私の席の後ろにある書類を取りに来て、その様子を目撃してしまった隣の部のKさん。あとから私のところにやって来て、「幸田さんがエキサイトしているのに、(隣席の)Gさんは何事もないように淡々と仕事していたからびっくりしちゃった。慣れてるんだな~って」・・・はいはい、済まんね、Gちゃんは私が客に激怒することには慣れっこなんだよ・・・。1日に最低3回は電話を切ったあと「どつく・・・」「ふざけんな」「おかしいのはお前の頭だ!」と怒っているからな~
はたまた。「この間街で幸田さんそっくりの人を見かけてねー」と話し始めたGちゃん。「背格好とか髪型とかもそっくりで、声かけようかと思ったくらいなの。そしたらその人が階段をのぼり始めて、ロングスカートはいていたからちょっとスカートを持ったのね。それで、あ、別人だってわかった」「・・・なんで?(なんとなく理由は察しがついてしまったけど、一応聞いてみる・・・)」「だって、とても上品だったのよ、その仕草が。ただ持つだけでも、なんていうか違うの。お嬢様っぽいっていうか、とにかく上品だったの」「・・・それは確かに私じゃないな!」とげらげら笑った・・・笑っていていいのか?
もうすっかり落ちる気でいて(←何なんですかね、このヒト・・・)、「大阪だったらまだ時間あるよな~」と勝手に思い込んでいたので、原稿何もしていない・・・。ははは。とゆーか今年になってからブログも小説も他ジャンル(『デーモン聖典』ね)ばっかだし!ごめん!ごめんよMさん・・・!
と言いながら、こっそり『Escape from EDEN』の3を出したいなどと思っております・・・。でも、きっとみんなからブーイングされそうな内容になりそうだし・・・。幸田の書くものの傾向は「アンハッピーエンドだけど、ワタシ的にはハッピーエンド」というヤツですからねぇ。読んだことある方はわかると思うけど、「輝夜姫」の幸田版最終回と方向は一緒ですよ!うう、絶対一般受けしないよなー自分だけで完結しよっかなー・・・。
この一連のトラブルのせいで、通販ページの『Escape from EDEN Ⅱ』の画像が「準備中」のままなわけで。くそう・・・。なんでパソコンっつーのは、1つソフトが変われば他のソフトが使えなくなったり、理由もなく(いや、あるんだろーけどさ、それが使い手には全くわからない。だって勝手に更新してたりするし!)トラブルが発生するんだろー・・・。全く、不完全で不親切な機械だよな!これがテレビとか電子レンジだったら完全に不良品でしかないと思うんだが・・・パソコンメーカーもソフトメーカーも、「こういうものだ」とか開き直っちゃって、ちーとも何とかしようと思わないところがむかつくわ!このトラブルのせいで、私はこれまでに確実に30時間くらい費やしているぞ・・・!ばっかやろー!!
獏は、おもしろそうに忍を見やった。
「ビーストたちを探しにか?」
「そうだ・・・。正確には、彼らの争いを止めにだ。・・・もう、手遅れかもしれないが・・・」
忍は目を伏せた。
「止めてどうする?お前は赤龍に『死』を与えなかった。もう決着はついたことだ」
「決着なんかついていない・・・!」
彼は顔を上げ、獏に詰め寄った。
「僕は彼に何も答えていない!僕が答えたのは兄のヘルムートにだ!僕は彼について何も知らない。いつだってヘルムートとして僕に接して、彼の本当の心も姿も、見せてはくれなかった。僕は、これで終わりになんかしたくない・・・!」
「・・・では、お前は赤龍に『死』を与えるつもりなのか?憎むことができなかったのなら、代わりに愛するとでもいうのか?・・・お前は赤龍の──受肉したヘルムートの姿ではない、デーモンとしての姿を見たことがあるのか?」
「ある。それがどうだと・・・」
「お前たち人類の姿とかけ離れた姿を見て、それでもお前は奴を愛せると言うのか?我らが何のために鎖の求める人間の姿をし、その者の振りをすると思う?我らの姿を見て、本気で愛することができる鎖がいると思うのか?お前はお前たち人類など容易く引き裂き、噛み千切ることができる我々が、恐ろしくはないのか?」
「こわくなんかないわ!」
叫んだのは、もなだった。
「もな・・・」
彼女は誇らしげに、自分の胸に手を当てた。
「私はK2の姿も力も知っているけど怖くないし、K2の本当の姿も嫌いじゃないよ!そりゃあ最初出会ったときは言葉も通じなくて怖かったけど・・・、ちゃんとお互いのことがわかって、気持ちが通じれば、姿なんか関係ない!人間は、そんなにばかじゃないよ!」
獏は不思議なものを見るようにもなを見つめ、そして侑を見やり、最後に忍に視線を戻した。
「そうか・・・。そうだな・・・。それが、『聖典』というものなのかもしれないな・・・」
「おにいさん・・・」
不安そうに見上げた翔に、獏は頭を撫でてやった。
「お前も、私の姿を見て『かわいい』と言ってくれた。そんなことを鎖に言われたのは初めてだ。自分と異種のものを家畜ではなく家族としてかわいがったり、無機物にさえ感情移入する種族など、あらゆる次元の生物の中でも人類くらいなものだ。・・・だからこそ、ここはエデンなのかもしれん・・・。
──いいだろう。連れて行ってやる。ただし何かあっても私はお前を守ったりしないぞ」
「かまわない」
忍はきっぱりと答えた。だが、
「だめよ!どうして行くの?!だって・・・忍ちゃんが赤龍を愛せないなら、行く意味はないじゃない!だから赤龍は忍ちゃんから憎しみをもらおうとしたんでしょう?忍ちゃんが赤龍のサクリードなのは忍ちゃんが望んだことじゃないし、死をあたえられなかったからって、そのことで責任感じる義務なんかないでしょう?!」
「りな・・・」
「りなちゃん・・・」
もなは膝をついて、涙ぐむりなの肩を抱きしめ、忍を見上げた。
「りなちゃんの言うとおりだよ・・・。赤龍は、死を望んでいるんでしょう?もう、彼に残された道は、K2に敗れて死ぬことだけ。そのために赤龍はK2を作ったんでしょう?それを止めることに、何の意味があるの・・・?」
忍は、視線を落として言葉を選びながら、答えた。
「・・・もな、りな・・・。僕は、彼に死んでほしくない・・・。できることなら・・・彼が許してくれるなら、やり直したい・・・。確かに、僕が彼の『聖典』だったことは、僕の望んだことじゃない。けれど・・・前にミカから教えてもらったと言っていただろう?鎖が聖典となるには条件があって、それはその個体によって違うが、誰にも説明できないと。・・・ずっと、考えていた。それは、デーモン側からの条件なのだろうかと。もしかしたら、鎖の側こそが、そのデーモンを必要としていたのじゃないかと・・・。
・・・僕は、ずっと忘れていた。・・・おそらく、赤龍が忘れさせたのだと思う。彼と接触したときのことを。やっと・・・思い出したんだ。僕が気を失ったのは、ヘルムートが自分を傷つける姿を見たときじゃない。そのあと・・・赤龍に触れて、彼がヘルムートの姿になったのを見た後だ。僕は・・・僕から・・・僕の方が、彼に触れることを望んだんだ・・・」
耐え切れないように、忍は顔を覆った。
「忍ちゃん・・・」
「どうして?いったい、何があったの?」
もなは思わずりなの肩に置いた手に力を込めた。
忍は何度か苦しげに深呼吸して、ようやく震える手を下ろした。
「済まない・・・。今行かなければ、一生僕は後悔する。このまま、彼を死なせたくないんだ。すまない、もな・・・りな・・・」
忍はふたりに背を向けた。
「頼む」
「OK。翔、すぐに戻るから待っていろ」
「う、うん」
獏が、「おにいさん」の姿から「獏」の姿に戻る。
“特別に背中に乗ることを許してやる。結界は張るが、落ちるなよ”
「ああ。ありがとう」
忍が獏の背に手をかけたとき、りなはもなの手を振り払った。
「もなちゃん!」
「いや!」
りなは忍に後ろからしがみついた。
「りな・・・」
「いや!赤龍のところへなんか行かないで!私と一緒にいて!私と、もなちゃんと、ミカと、K2と、みんなと一緒に暮らせばいいじゃない!・・・どうして・・・!?どうして赤龍を選ぶの?!私、わたし・・・っ、忍ちゃんが好きなの・・・!お願い、行かないで・・・!!」
「りな・・・」
一瞬驚いた表情で振り返った忍は、しかしすぐに前を向いて、背中に顔を埋めたりなをそのままに、唇を噛んだ。
突然の告白にもなは、じんと目蓋の裏が熱くなるのを感じながら、双子の姉を見つめた。自分はその間に入れない──そう思って、ふたりに嫉妬したこともあった。いつの間にかK2がそばにいるのが当たり前になって、そんな気持ちのことは忘れていた。姉の忍への気持ちには気づいていたけれど、忍も自分よりりなの方が好きなんだなあと、心配はしていなかった。だから・・・きっと、忍はりなのために残ってくれる。そう、信じていた。
忍の手が後ろに回り、りなの手をそっと摑んだ。忍が手を外させるのに抗わず、りなは、跪いた忍を涙に濡れた瞳で見つめた。
「りな・・・」
忍は、悲しげな微笑みを浮かべた。
「ありがとう・・・。僕も、りなのことが大好きだよ。りなは・・・僕を救ってくれた。りなを好きな気持ちは変わらない。だけど・・・」
りなは目を見開く。言わないで、唇を動かしたが、声にならなかった。
「こんな気持ちのまま、彼を失いたくないんだ・・・。許してくれ、りな・・・」
「・・・・・・!」
忍は立ち上がった。
ぼろぼろと涙をこぼしながら立ち尽くす少女を敢えて振り返らないように、忍は痛む胸を抱えて獏の背に飛び乗った。
獏が床を蹴ると同時に風が渦巻き、部屋の中の物が舞い飛んだ。一瞬の残像と共に、彼らの姿は消え、舞い上がった本や雑貨は音を立てて落ちた。
──あの人は、忍ちゃんを連れて行ってしまった・・・
りなは、忍を抱きしめて、挑戦的に自分を見たヘルムートの姿を思い出していた。
父親の見舞いに行ったのは、自分の言葉を聞いてくれたからだけではなかった。忍は、もう戻ってこないことを覚悟しているのだ。
(私の小さな手じゃ、引きとめられなかった・・・。忍ちゃんは、あの人を選んだんだ・・・)
「・・・りなちゃん・・・」
茫然と、声もなく泣き続ける姉に、もなはなす術もなく、ただ背後から彼女を抱きしめるしかなかった・・・。
まだまだ続く・・・が、やばい。書けば書くほど長くなる病が・・・っ