華麗なるオーストラリアンライフ

渡豪17年。職業・看護師。
白熊のようなオージーの旦那1人とワンコ2匹で
ニューサウスウェルス州の田舎町で生息中。

王子様と生きる

2013年03月25日 22時40分11秒 | Weblog
本日オフ。
でもD用事で朝6時起き。彼の用事とは私の勤める病院で手術を受けること。生命には関わりのないマイナーなもの。
7時に病院着。便宜を図ってもらったのかどうかはわからないけど、手術リストで1番だったので待ち時間は1時間ほどで済んだ(私が以前手術を受けたときは3番目で4時間ぐらい待った)。Dを病院に残して私は8時過ぎに帰宅。
幸い昨夜はしっかり眠れたんだけど、続く生活パターンの変化に頭はボンヤリ。もう少し寝ようとベッドに戻ってみたけど、眠いのに眠れなくて断念。仕方ないのでハンバーグをこねたり、(また)スコーンを焼いたり。
そうこうしていると、お昼前に病院から電話。Dの帰る準備が整いつつありますよ、とのこと(彼のは日帰り手術)。なので再び病院へ。

Dのいるところは、先日研修をやったDPU(Day Procedure Unit)。日帰り手術の患者さんがしっかり回復したかどうかを見極めるところ。だいたいの患者さんは麻酔から覚め、スッキリとした顔でリクライニングのソファに座り、軽食を摂ったりお茶を飲んだり。私もそんなDの姿を期待していったのだけど、着いてみたらいまだにベッドでぐったりしている。同僚看護師と話したところ、彼のヴァイタルサイン(血圧、脈拍、体温など)には問題がなく意識もあるとのこと。患者さんの中には麻酔が効き過ぎて頭がボンヤリしたり吐き気を催したりする人がおり、どうやらDもその類。それに加えて「手術を受けちゃった!」という精神的ショックも手伝って必要以上にグッタリしている様子。見事な悲劇の王子様ぶり。

“病は気から”!

とお尻を叩きたかったけど、まるで今にも死にそうな声でいかにクラクラするかを訴えてくる。術後の感覚には個人差があり、私の尺度では測れないのであまりヤイヤイ言えない。なので好きなだけドラマに浸らせておくことにした。
予定よりも一時間ぐらい長くDPUで時間を過ごした後は、なんと車椅子で車まで。元気になろうという気合いが感じられず、「気合いいれんかいっ」とお尻を蹴飛ばしたい衝動を抑え、とりあえず家まで連れて帰った。そして家に着くなり爆睡。
私もこの頃になると眠気が強くなってきて、一緒になって寝た。そして一足先に起きて作り起きのハンバーグをサンドイッチにしてかなり早めの夕食。またベッドに戻るとDも目覚めていて、今朝からほぼ何も食べてない彼もお腹が空いたという。しかし「ボクもハンバーグ食べたい」と言葉を発した瞬間、手術で切ったアゴの傷口が開き流血。それを見た瞬間、悲劇の王子様・再び。「僕はしばらく何も噛めないんだ。しゃべれないんだ。ソフトな食事がいるよ。そうだ、栄養ドリンクがいいよ。買ってきて。ストローも忘れないでね」。

じゃかーしぃわいっ

傷が開いたってまたガーゼを張りなおせばいいだけの話やし、内蔵には問題がないんやからソフトな食事じゃなくても大丈夫。小さくカットしてゆっくり食べればそれで問題なし。それに今夜のためだけに栄養ドリンク(缶に入った粉末)を買うなんてバカらしいし、最悪今日一日ぐらい食べんでも大丈夫、と説明したけど王子様は聞く耳持たず。まるでこの世の終わりを生きているかの悲劇ぶり。私は私で頭痛がひどくて買い物になど行く気分ではなく、3時間ほどストライキを起こしていたけど、結局買出しへ行った。
その後栄養ドリンクを飲んだらちょっと調子が戻ってきたD。精神的ショックもだいぶ薄れてきた様子。このとき私も買い置きのフライドポテトを食べていた。するとDも自然と手を出している。

どの口が食うとんのじゃいっ

と思ったけど、実際お腹は空いているやろうし、あとで「食べれるやん!」と突っ込むためにも、口には出さず好きなだけ食べさせた。結局半分ぐらい普通に食べていた。
今は昨日の夜と同じように、ソファに横たわりiPadをお腹に乗せてヴァーチャルワールドへ飛び立っている。幸い痛みもないよう。傷口からの血が止まるのは時間の問題やし、麻酔から覚めるのもそう。そしてお腹も膨らんだら悲劇のドラマから抜け出すだろうと予想していたら案の定。私も伊達に看護師ではない。

非日常的な時間を過ごすとついドラマチックな気分になるのは誰にでもあること。流血中の自分の写真を撮ってDママに送り、必要以上の心配をかける姿もカワイイといえばカワイイ(かなり面倒くさいけど)。でもまぁ、マイナー手術とは言え、麻酔から覚めなかったらどうしよう?とか私もそれなりに心配はしていた。こうした軽口が叩けるのも無事に終わったからこそ。良かった、良かった。

しかし手術代は安くない。おかげで家計は大打撃。王子様気分は今夜だけ。明日からは馬車馬のように働かせねば。
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