
「俳句はしばしものの言えない文学だと言われますが、私はむしろ、言わない文学
、言わなくとも共感の得られる世界を考えています。諦感よりもむしろこの積極的
な意思に、短詩としての強い魅力をおぼえるのです。それが作品として理解され
共感される為には,よろこびにつけ悲しみにつけ、自分を他人のように眺める静けさ
が求められます。いわば合せ鏡のように,正面の顔だけでなく,後ろにも目を持つ事」
*中央公論「女性のための俳句教室」飯田龍太
何年俳句をやっていても,時として自我がでてしまう。俺が俺が・・という男の
仕事社会にもまれて,反発しながらも流されて行く。無理もないと言訳も考えて・・
俳句に迷った時。ふと上の一説を思い出す。一度だけ龍太氏の講演を聴いたことが
ある。そのときの静かな遠い目を思い出しながら読み返す事にしている。

送る師はすでに青田の青の中

平均、公平,平等って人の社会だけのこと、動物や植物は
摂理によって保たれているのに。平等にするにはどこかで
誰かが無理をしていくことなのかも知れない。

ひとり来て一日ひとり冬の耕 湯浅辰巳