４月 ２日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　著莪の花・花著莪・姫著莪　＜季＝夏＞


　　　　　著莪の花涼しさを知るはじめなり　　　　　　　　　　細見綾子 


　　　　　擦れ違ふ禰宜と会釈や著莪の道　　　　　　　　　　　丹羽康碩


　　　　　著莪咲くや川音響く塩の道　　　　　　　　　　　　　岸本典子


　　　　　著莪の花藪に捨てたる鼠取り　　　　　　　　　　　　清水弓月


　　　　　絵付場の玻璃うつ雨や著莪の花　　　　　　　　　　　伊藤範子


　　　　　浄智寺の磴の湿りや著莪の花　　　　　　　　　　　　武藤光晴


　　　　　白虎隊自刃の跡や著莪の花　　　　　　　　　　　　　上田博子


　　　　　芭蕉碑や雨に色増す著莪の花　　　　　　　　　　　　森垣一成


　　　　　滝壺へ降りて明るし著莪の花　　　　　　　　　　　　大島知津


　　　　　著莪の花母校に今も尊徳像　　　　　　　　　　　　　加藤百世


　　　　　花著莪に沈む小ぶりの羅漢佛　　　　　　　　　　　　巽　恵津子


　　　　　花著莪や古墳に著き獣道　　　　　　　　　　　　　　熊澤和代



　　　　　　　　　　



　　　　　伊勢講の女一人や著莪の雨　　　　　　　　　　　　　加藤耕子


　　　　　童仏十万睦ぶ著莪の花　　　　　　　　　　　　　　　能村登四郎


　　　　　姫著莪の花に墨する朝かな　　　　　　　　　　　　　杉田久女


　　　　　都にも隠れみちあり著莪の花　　　　　　　　　　　　鷲谷七菜子


　　　　　紫の斑の仏めく著莪の花　　　　　　　　　　　　　　高浜虚子


　　　　　庭山や薪積みたる著莪の中　　　　　　　　　　　　　松本たかし