3月 18日

2014-03-18 01:09:14 | Weblog
                 ( 初 蝶 )


初蝶が来て石ひかる石置場                 栗田やすし


鯉の背に初蝶来れば父恋し                 沢木欣一


初蝶のまた戻り来はせざりけり               細見綾子


初蝶やわが三十の袖袂                    石田波郷


初蝶や「畑にいます」と賢治の字               菖蒲あや


初蝶や子は砂山で宙返り                   鍵和田釉子


毎年の初蝶の心細さよ                    池田澄子


つまづきし子に初蝶もつまづきぬ               西村和子


絶壁を仰ぐ雄ごころ初蝶来                  菅原鬨也


初蝶の触れたるものと遊びけり                白岩 三郎


初蝶や双子の眠る乳母車                   佐々木美代子




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3月 12日

2014-03-12 01:06:56 | Weblog
               ( 猫柳・えのころ柳 )


鵜磧に下りやはらかき猫柳                 栗田やすし


来てみればほほけちらして猫柳                細見綾子


烈風の日向が揺るる猫柳                   有働亨


猫柳やはらかく雨上りけり                  沼澤石次


流れゆくもの水になし猫柳                  深見けん二


猫柳青空のまだ冷たかり                   伊藤政美


猫柳湖畔の春はととのはず                  五十嵐播水


ときをりの水のささやき猫柳                  中村汀女


そばへ寄れば急に大きく猫柳                 加倉井秋を


子を憂しとおもふときあり猫柳                大石悦子


猫柳耳だけ出してゐたりけり                 長谷川櫂


雨の日は雨にふくらみ猫柳                  相馬黄枝








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3月 9日

2014-03-09 09:28:15 | Weblog
              ( 椿 )


伊吹晴れ母なき庭の白椿                 栗田やすし


落椿毛布身体の容に寝る                 沢木欣一


椿切るために光れる鋏欲し                細見綾子





藪椿


僧堂の高さに揺れし藪椿                  坊城 中子


蔵の戸の明治の軋み藪椿                 羽部佐代子


藪椿おちてより色あたらしき                酒井弘司





乙女椿


風吹くや隠れ顔なる乙女椿                  楠本憲吉


乙女椿まろき雨飲む仰向きて                 長谷川秋子


しばらくは乙女椿を家人とす                 丸岡忍





雪椿


悲報来暁闇深紅雪椿                     黒田杏子


雪椿青空のぞく粟ヶ岳                    関口青稲


耐へぬきし女明るし雪椿                   中嶋秀子


雪椿一期といふを惜しむなり                 谷崎トヨ子








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3月 8日

2014-03-07 21:57:50 | Weblog
              ( 頬白 )


母乳飲む子を頬白が来てのぞく             栗田やすし


頬白や人肌ほどに池ひかる                雨宮抱星


身を鍛へよと頬白の遠音冴え               飯田龍太


頬白や家なき原を郵便夫                 相馬遷子


切株をたつ頬白の一呼吸                 堀口星眠


頬白や下枝下枝の芽ぐむ間を               中村汀女


頬白や屋根に草生ふ御堂あり               中川ヨシ子


頬白の横歩きせる恋はじめ                増田斗志








水は日を返して寒緋桜かな                永方裕子


寒緋桜ひらく真下の猫の神                白澤良子






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3月 7日

2014-03-07 01:15:57 | Weblog
                ( 母子草・御形 )



特攻の碑裏に小さき母子草                栗田やすし


石仏の嘆き聞く日ぞ母子草                 秋元不死男


まぬがれて花をつけたる御形かな             長谷川櫂


母在りし日には見ざりき母子草               矢島渚男


風あれど日のぬくければ御形摘む             文挾夫佐恵


母子草母となりても母恋し                  宮尾寿子


すりきれし紙の踏絵や母子草               矢野孝子


我ら知らぬ母の青春母子草                 寺井谷子


菩提寺へ母の手を引き母子草                富安風生


古都に住む身には平野の御形かな              名和三幹竹





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3月 3日

2014-03-02 20:15:23 | Weblog
              ( 桃の節句・雛の節句・桃の日・上巳の節句・雛の日 )


雛の日に秩父自ねんじよすりおろす             細見綾子


海女たちの結ひあふ桃の節句髪                村田青麥


桃の日の母に送りし昔菓子                   黒田杏子


目覚めけり上巳の餅を搗く音に                 相生垣瓜人


香久山を巡り遊びて雛の日                   早渕道子


桃の日のひとりの長湯たのしめり                中山純子


声のぼる桃の節句の空の紺                   堀 古蝶


白き粥かがやく雛の日とおもふ                 桂 信子


桃の節句獣の舌も桃色に                    加藤かけい


桃の日や高空にある風の音                   鈴木鷹夫











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3月 2日

2014-03-01 23:53:17 | Weblog
            ( 沈丁花・沈丁・丁字 )


沈丁花伊吹の裾に母ゐます               栗田やすし


沈丁に雨は音なし加賀言葉                細見綾子


沈丁花どこかでゆるむ夜の時間              能村登四郎


沈丁にはげしく降りて降り足りぬ             中村汀女


公園のこの道好きや沈丁花                池内たけし


昼も夜もなき一本の沈丁花                岩田由美


沈丁花音なき雨が夜をぬらす               清水 節子


沈丁の咲きはじめたる白さかな              星野立子


沈丁や万葉仮名の芳しき                 宇咲冬男


沈丁花女盛りにかほりけり                宮本 緑山















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