5月 15日

2018-05-14 17:20:26 | Weblog
                 (  雪ノ下・鴨足草・虎耳草  )



筧水鴨足草に落ちてゐし             細見綾子



鴨足草きしみて動く釣瓶井戸           伊藤敬子



佃島古りし路地なりゆきのした          大江耐女



母の忌や花咲き初めし鴨足草           朝比奈照子



水しぶく崖にはりつく鴨足草           萩野文子



鴨足草花の枝垂るる政子の井           服部満代



鴨足草書院の庭の隅隅に             巽 恵津子



住み捨てし山家の水場鴨足草           松本恵子



雪ノ下崖にはびこる貴船道            小西照子



路地めぐる水の豊かに鴨足草           神尾朴水




          
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5月 14日

2018-05-13 19:48:40 | Weblog
                (  橡の花・栃の花・花栃  )



橡の花肩に落ちたり善光寺             細見綾子



橡咲けり人等疲れて笑ひやすく           八木絵馬



橡の花ひそかな紅を身の奥に            渡辺恭子



木曽駒を離れぬ雲や橡の花             坪野洋子



雨雲を突き上げ咲けり栃の花            澤田正子



塩の道明るき雨に橡咲けり             倉田信子



橡の花谷貼り付く流刑小屋             平松公代



飢餓谷の底が明るし橡の花             山本悦子



橡咲くや地震に崩れし外曲輪            武藤光晴



花栃や日本武尊掛けし石              市江律子



          


             紅花橡の花


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5月 13日 母の日

2018-05-12 17:10:21 | Weblog
                  (  母の日  )



母の日の母田を植うる泥まみれ          栗田やすし



母の日や木苺の葉が雨ためる           細見綾子



母の日の母に真紅のマグカップ          河原地英武



母の日も茣蓙に声張る朝市女           都合ナルミ



母の日の日差しやはらか綾子句碑         高橋孝子



母の日の母となりたる妻の顔           渡辺慢房



母の日や母の使ひしおんぶ紐           栗生晴夫



母の日や母恋ふ八十路過ぎてなほ         田畑 龍



母の日や手作り味噌の届きたる          関野さゑ子



母の日や埃被りし古ミシン            斉藤陽子



母の日やぶつきらぼうの子の電話         上杉美保子



母の日に子も母として花貰ふ           服部富子



母の日や遠まなざしの肖像画           和久利しずみ



母の日や目盛り薄れし鯨尺            榊原昌子
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5月 12日

2018-05-11 14:17:27 | Weblog
                 (  桐の花・花桐  )



うす暗き母の病棟桐の花             栗田やすし



桐の花大学裏に住みつくか            沢木欣一



桐の花旅の衣に風通す              細見綾子



桐の花散り込む流れ鍬浸す            下里美恵子



釈迦牟尼は暗きに在す桐の花           都合ナルミ



山の田の荒るるにまかせ桐の花          清水弓月



日翳りて色失ひし桐の花             福田邦子



里山に桐の紫朴の白               夏目隆夫



祓はれし馬場へ散り継ぐ桐の花          武田稜子



門川に鱒飼ふ暮し桐の花             上杉和雄



掌にぬくき落ちしばかりの桐の花         鈴木真理子



桐咲くや遺書となりたる日記帳          熊澤和代



桐の花越後の空を支へゐし            山下智子



牛匂ふ村の戸毎に桐の花             山本法子



谷へ散る落人村の桐の花             森 靖子



との曇る山峡の空桐咲けり            坂本操子



夕方に熱の出る日々桐の花            石川紀子




          

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5月 11日

2018-05-10 17:07:39 | Weblog
                (  十薬・どくだみ  )



十薬の根の長々と瓦礫より            細見綾子



盲ひの鵜十薬の辺にうづくまる          栗田やすし



空堀を埋めし十薬明りかな            鈴木みすず



引き抜いて十薬の根の白さかな          関根切子



どくだみのあまた義朝湯殿跡           藤田岳人



どくだみを千切りて犬の傷ぬぐふ         上杉美保子



十薬や庭に積まれし吐かせ籠           牧 啓子



どくだみや朝日とどかぬ屋敷神          菊池佳子



十薬や古道に石の道しるべ            東口哲平



十薬や八百屋お七の刑死跡            栗生晴夫



目が合ひし猫十薬へ駆け込めり          奥山ひろ子



十薬のはびこる中や売地札            熊澤和代



十薬の更にはびこる狭庭かな           加木雅子



窓際に十薬活けて轆轤挽く            平松公代



十薬の逞しき根を引きゐたり           児玉美奈子



十薬や窯場に走る通り雨             八尋樹炎



十薬の匂ふ軍手を洗ひ干す            清水聰子



干し上げし十薬の香の芳しき           山本法子



どくだみの繁るや松の廊下跡           武藤光晴




          


          八重どくだみ
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5月 9日

2018-05-08 18:54:24 | Weblog
                (  朴の花・朴散華・厚朴の花・ほほがしは  )



朴咲くや津軽の空のいぶし銀           沢木欣一



散華てふ哀しき言葉朴の花            栗田やすし



朴の花山気をほしいままの白           細見綾子



空に香が溶けつ離れつ朴の花            飯田龍太



無住寺となりて久しや朴ひらく          桜井節子



山襞は雲湧くところ朴の花            武田稜子



浮雲を追ふ浮雲や朴の花             小原米子



背に日を受くる観音朴の花            武藤光晴



登城坂ぬけて明るし朴の花            渡辺かずゑ



杖借りて目指す頂上朴の花            服部鏡子



裏木曽の谷筋深し朴の花             河合義和



傘閉ぢて見上ぐる空に朴の花           大島智津



そこはかと山家に匂ふ朴の花           石原けい彩



朴の花菩薩の如く宵月夜              阿波野青畝



朴の花黄ばみ腐ちて聖山              佐藤鬼房
  




          
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5月 8日

2018-05-07 18:54:11 | Weblog
               (  蛇苺  )



形代に太釘のあと蛇苺             栗田やすし



ゆふぐれの母が水やる蛇苺           河原地英武



まだ蛇に会はない色の蛇苺            今瀬剛一



蛇苺いつも葉っぱを見忘れる           池田澄子



牧水の歌碑を囲めり蛇苺            岸本典子



蛇苺被爆瓦礫を這いひ出せり          幸村志保美



蛇苺そこよりけもの径まがる          山 たけし



蛇苺朝夕は日も濡れにけり           福永耕二



雨のせて川の明るさ蛇苺            岡本 眸



幼子の隠れ遊びや蛇苺             川崎展宏


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5月 7日

2018-05-06 18:03:05 | Weblog
                   (  柘榴の花・花柘榴  )



十年経てば悲しみも実に花石榴           中村草田男



深爪を剪りし疼きや花ざくろ            鈴木真砂女



花ざくろ外湯洗はれゐたりけり           岡本眸



ざくろ濃く咲く築城の石切り場          岸本典子



下宿屋の暗き階段花ざくろ            関根切子



雨細し紺屋の庭の花柘榴             大津千恵子



ざくろ咲く空の青さや爆心地           幸村志保美



花ざくろ散る枡形の石畳             玉井美智子



花柘榴浮く湧水に手を浸す            黒田昌子



花ざくろあつさり落ちてころがれり        中山敏彦



鬼子母神祀れる庭の花ざくろ           安藤幸子



鼻たかき神とざし来ぬ花ざくろ           角川源義



黙殺のあとの一笑花ざくろ             鷹羽狩行



         
          
          


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5月 6日

2018-05-05 17:26:19 | Weblog
              (  立夏・夏立つ・夏に入る・夏来る・今朝の夏  )



霊山に緑衣の仁王夏に入る            栗田やすし



夏来る道の真中に草伸びて            細見綾子



夏来る河童住むてふ淵の色            伊藤旅遊



被爆樹の太き走り根夏来たる           奥山ひろみ



陶匠が髭剃り落とし夏に入る           河村惠光



切り花の小口の匂ふ夏来る            中村あきら



木曽川の水の蒼さや夏立てり           鈴木真理子



ミシン踏む立夏の雨の明るさに          石原進子



あをあをと苔に雨滲む立夏かな          児玉美奈子



少年のしなやかな指夏来る            松本恵子



お木曳の綱の白妙夏来る             矢野孝子



輪くぐりの海馬(あしか)の飛沫夏立ちぬ     安藤幸子



お木曳のわん鳴り伊勢は夏に入る         神尾朴水



夏立つやぎやまん皿の絹豆腐           三井あきを




          
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5月 5日 (端午)

2018-05-04 17:22:55 | Weblog
            (  端午の節句・鯉幟・子供の日・幟。鯉幟・吹流し・矢車・幟竿  )



端午の日七味を買へる京の坂           栗田やすし



基地囲む青田青垣鯉幟              沢木欣一



鯉のぼり苗代にうつる吉野谷           細見綾子



機関車の汽笛高らか子供の日           河原地英武



鯉幟の尾の映りゐる水田かな           清水弓月



子供の日見つかるやうにかくれんぼ        梅田 葵



傘寿には傘寿の夢や鯉のぼり           櫻井幹郎



腹這ひて父子の会話子供の日           磯田なつえ



紙兜被る看護婦端午の日             相澤勝子



七度読む絵本に寝つく子供の日          中斎ゆうこ



内蔵助通ひし廓鯉のぼり             兼松 秀



交番に国旗はためく子供の日           日野圭子



朝市の開く漁港や鯉幟              武藤光晴



火の国の瓦礫の空を鯉幟             玉井美智子



鯉幟風に目覚めて尾を揺らす           福田邦子

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