6月 21日 夏至

2020-06-20 13:36:57 | Weblog
                         夏至

          二十四節気の一つ、一年で一番昼の時間が長い日.この日を過ぎると本格的な夏が始まると意味です
          ( ですが節気は期間ですから七月七日頃までの期間です )
          今年の夏至は372年ぶりの日食にあたります
          日本全国で部分日食が見られますが、これを見逃すと次は10年後になります。
          (16時~東京では3/1が福岡で2/1が欠けるようです)



     生れし嬰が足で空切る夏至の夜          片山浮葉


     夏至の土間筵被せて壺干せり           梅田 葵


     有線が正午を知らす夏至の空           武藤光晴


     夏至の海太陽ゆらぎつつ沈む           高橋孝子


     夏至の酒大徳利で酌み交はす           中山敏彦


     いつまでも夏至の夕日の赤きかな         渋谷さと江


     看護婦に血を採られゐる夏至の朝         山下帰一


     今日夏至の刻を告げたり鳩時計          岡島溢愛



          



     夏至の日の仲見世ぺたぺた歩きけり        吉田鴻司


     渦で了る女醤の巻尺夏至時刻           渋谷道


     葛飾や夏至のつばめをかほの前          黒田杏子


     夏至愉し牛と羊は野にあそぶ           阿波野青畝


     山の木の葉音さやかや夏至の雨          鷲谷七菜子


     夏至の月草の匂ひの水流れ            市ヶ谷洋子



          

     日食はもちろん季語では有りませんが検索をすれば50句ほど見られます


     日蝕の闇や牡丹の生動す             細見綾子
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6月 20日

2020-06-19 13:06:00 | Weblog
                       罌粟の花・罌粟の実・罌粟坊主・芥子の花


     白芥子を賞でたる眉や背には海          細見綾子


     国境の大草原に芥子の花             栗田やすし


     罌粟坊主揺るる国境検問所            伊藤旅遊


     旅の子の便り短し罌粟の花            栗田せつ子


     風の来て忽と鬼罌粟揺らぎけり          武藤光晴


     丘染めて虹のごと咲く芥子の花          石川紀子


     綾子師の墓訪ふ道辺芥子の花           佐藤とみお


     芥子の花幼児風をつれてくる           金田義子


     罌粟の花路上に娼館案内図            武田稜子



          



     めんどりの首立ててゐる罌粟の昼         鷲谷七菜子 


     罌粟ひらく髪の先まで寂しきとき         橋本多佳子


     ゆらゆらと亡母われ呼ぶ罌粟のかげ        秋元不死男


     午後からは頭が悪く芥子の花           星野立子


     ただふかき睡りを欲りす罌粟の前         能村登四郎


     スケッチの鉛筆軽し芥子然り           阿波野青畝



          
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6月 19日

2020-06-18 13:44:17 | Weblog
                       合歓の花・花合歓


     合歓の花沖には紺の潮流る            沢木欣一


     山峡を汽車あへぎ出て合歓の花          細見綾子


     師を偲ぶ虹の光の合歓の花            国枝隆生


     良寛の小さ持仏やねむの花            鈴木みすず


     宮下に落ち合ふ流れ合歓の花           夏目悦江


     また辞書を引きし単語や合歓の花         渡辺慢房


     合歓戦ぐ皇女降嫁の峠道             坪野洋子


     青空にかすか揺れをり合歓の花          鍛冶静代


     城の絵の慰問袋や合歓の花            青木しげ子


     鐘のなき火の見櫓や合歓の花           大平敏子


     海へ向く移民の墓や合歓の花           熊澤和代


     床軋む開智学校合歓の花             伊藤冨美江


     屋敷跡空一ぱいに合歓の花            花村つね




          



     合歓の花葉騒の上にひろがれる          八木絵馬


     合歓咲いてゐて人の世の待時間          今瀬剛一


     花合歓に夕日旅人はとどまらず          大野林火 


     花合歓がをんなに見えるビール酌む        三橋鷹女


     合歓の花小振りに咲いて佃島           佐藤鬼房


     指重ね礼する家風合歓の花            林 翔


      合歓の葉のそよぎ止まざり滝頭          鈴鹿野風呂




          
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6月 18日

2020-06-17 13:16:38 | Weblog
                       さくらんぼ・桜桃・桜桃の実・チェリー


     桜桃を父が買ひ来し誕生日            細見綾子


     桜桃の艶におどろく夜学生            沢木欣一


     故郷の味と母云ふさくらんぼ           栗田やすし


     さくらんぼ一つ増えたる子供椅子         上杉和雄


     エフエムの正午の時報さくらんぼ         奥山ひろ子


     桜桃の枝を介護の手土産に            長谷川雅子


     脚立より種とばし食ぶさくらんぼ         倉田信子


     アメリカ産ダークチェリーの悪女めく       小長哲郎


     あめ色の古き腰籠さくらんぼ           近藤文子


     金箔の弥陀に供ふるさくらんぼ          山口行子


     見上ぐれば紅透きとほるさくらんぼ        高木佐知子


     若き日の恋の話やさくらんぼ           熊澤和代


     湖の風に色づくさくらんぼ            北村美津子




          



     桜桃やいのちみじかし恋せよと          加藤秋邨


     笑窪とてひとつは淋しさくらんぼ         清水衣子


     さくらんぼ笑で補ふ語学力            橋本美代子


     さくらんぼ悲鳴のやうなアリアかな        辻 桃子


     一つ食べ一句考へさくらんぼ           稲畑汀子


     若き日を食らふが如しさくらんぼ         林 翔




          
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6月 17日

2020-06-16 13:50:11 | Weblog
                        落し文・鶯の落し文


          オトシブミ科の甲虫。体長8ミリメートル 内外。首が細長く、前胸部は三角形。
          体は黒く、上ばねは赤い。広葉樹の葉を巻いて巣を作り、中に産卵する。
          シベリアから日本にかけて分布。ナミオトシブミ。 [季] 夏
          オトシブミが葉を丸めて巻物状にするのがそれによく似ていることから名づけられたものです。


     落し文巻終らずに落ちてをり           細見綾子


     落し文拾ふ参道気多詣              小長哲郎


     落し文ひとり暮しの落着きぬ           鈴木みすず


     落し文手に上りたる城の坂            長崎眞由美


     落し文そつと拾ひて解きにけり          儀間千恵子


     巻初めてまださみどりの落し文          矢野愛乃


     鴨塚に吹き寄せられし落し文           弓野スミ子


     ポンペイの娼婦の部屋に落し文          野村君子


     綾子句碑裏に拾へり落し文            市江律子


     手のひらに土のしめりの落し文          鈴木真理子



          



     西行の道みな細し落し文             鷲谷七菜子


     万葉の世は仮名づくし落し文           堀米秋良


     檄文も艶文もあり落し文             島村 正


     山猫の賢治に宛てし落し文            太田土男


     落し文ひろふやマリヤ地蔵の前          山口青邨


     落し文森のポストに入れて来し          宮脇白夜



          
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6月 16日

2020-06-15 16:19:10 | Weblog
                       萱草(かんぞう)の花・忘草・野萱草・藪萱草

          ユリ科の多年草。道端や田の畦などに咲く。
          八重咲きがヤブカンゾウで、一重咲きはノカンゾウと呼ばれる
          中国の帰化植物の一つで別名忘れ草という。
          花の美しさにウサを忘れるからと言う説もある ( ネットの知識拝借 )



     萱草が御裳の裾の花と咲く            細見綾子


     氷室跡藪萱草の野となれり            上田博子


     御前崎浜萱草の濃かりけり            中村たか


     野萱草ポトマス河畔うめつくす          河村恵光


     湿原に朽ちし木道野萱草             高橋ミツエ


     野萱草明し観音像の裾              巽 恵津子


     蝦夷萱草岬に海人の墓二つ            山本悦子



          

            藪萱草


     野萱草もつてのほかの恋をして          大石悦子


     野に咲いて忘草とはかなしき名          下村梅子


     花萱草青野の青をさそひだす           福田甲子雄


     今日をうたえ藪萱草の百の舌           豊口葉子


     狐啼く神威岬の花萱草              井村和子


     萱草や林はづれに牧師館             友岡子郷




          
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6月 15日

2020-06-14 13:20:19 | Weblog
                         梔子の花・花山梔子


     くちなしの花がかぶさる墓参り          細見綾子


     梔子の花や帯屋の長暖簾             河原地英武


     くちなしの黄ばみし花や甃の上          清水弓月


     梔子の渦にとどまる昨夜の雨           伊藤範子


     夜の公園梔子の香の濃いかりけり         山下 護


     月光に浮きて梔子匂ひ濃し            金田義子


     梔子の香によみがへる母の顔           牧田 章


     舞稽古終へ梔子のよく匂ふ            大島知津


     くちなしの花の真白や兵の墓           奥山ひろみ


     くちなしの香りほのかや小町塚          服部鏡子


     雨後の庭山梔子の白匂ひ立つ           中山ユキ


     厨窓花くちなしの匂ひ立つ            榊原昌子



          

            八重梔子


     山梔子の花の晴間へ乳母車            中村汀女


     くちなしの逢魔が時をしろじろと         下村梅子


     プールサイドに梔子の花載せ泳ぐ         能村登四郎


     くちなしの錆花沈め安徳陵            松崎鉄之介


     秘めし忌や花梔子は雨ごもり           古賀まり子


     花山梔子おのが匂ひに傷みけり          佐藤美恵子




           
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6月 14日

2020-06-13 15:16:05 | Weblog
                        夏椿・沙羅の花・さらの花

          ツバキ科の落葉高木。十メートルほどの丈になる。白い花びらに黄色の蕊をもつ。
          咲いてもその日のうちに落ちてしまう一日花。



     あはあはと沙羅の花びら空にあり         沢木欣一


     風立ちて沙羅の花ちる万願寺           岩上登代


     古備前の壺に一輪夏椿              鈴木みすず


     朱印押す僧の手白し沙羅の花           前田史江


     本堂に遠き潮騒沙羅の花             武藤光晴


     夏椿縁切り状の墨薄れ              日野圭子


     のびやかにひびく木魚や沙羅の花         中野一灯


     雨しとど沙羅の蕾の落ちるまま          小栁津民子


     夏椿散りしく池の水澄めり            枡谷正子


     晩鐘の響く棚田や沙羅の花            八尋樹炎


     沙羅散るや鑑真廟の苔の上            角田勝代


     沙羅の花母の残せし硯箱             垣内玲子




          



     沙羅の花捨身の落花惜しみなし          石田波郷


     惜みなく咲くは落るは夏椿            飯島晴子


     沙羅の花雲霧は末の散りやすし          鷲谷七菜子


     沙羅咲いて花のまはりの夕かげり         林 翔 


     師の仰ぎをられしはこの夏椿           清崎敏郎


     沙羅生けて平水指の朝茶かな           及川貞




          

            沙羅双樹

          沙羅双樹は、寒さに弱く、日本で育てることはできないません。では、平家物語の一節
          に読まれている沙羅双樹とは何の木のことなのでしょう。 実は、沙羅双樹の代用として、
          日本では「夏椿」が植えら、それを沙羅の木として呼ばれています (ネットの知識です)



     花を拾へばはなびらとなり沙羅双樹        加藤秋邨


     沙羅双樹慈眼に細花莟もつ            能村登四郎 



     


     
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6月 13日

2020-06-12 14:23:36 | Weblog
                        桑の実・桑苺


     葉をしきて熟れし桑の実とどけたる        細見綾子


     遠き日を語りて摘めり桑苺            国枝洋子


     修善寺に続く坂道桑熟るる            花村富美子


     桑の実の熟るる岸辺に舟繋ぐ           福田邦子


     桑苺ハリヨの孵る水へ落つ            坪野洋子


     遠くなる母なき故郷桑苺             上村龍子


     桑の実に群がる雀枝揺らす            石原れい彩


     たはむれに桑の実を食み渡船待つ         河合義和


     背伸びして桑の実を摘む伊豆の晴れ        日野圭子


     桑の実のうすら甘さよ旅はじめ          八尋樹炎


     傘の柄で引きて摘みたり桑苺           山崎文江



          



     指の力抜いて摘みたき桑苺            中村芳枝


     桑の実を口にし手にし下校の子          佐藤栄男


     柵に打つ牛の表札桑苺              鈴土郁子


     舐めてまだ渋い桑の実水の国           河合凱夫


     桑の実やちゝはゝ今も在します          倉田紘文


     恋ふるひと皆遥かなり桑苺            安達哲路



          
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6月 12日

2020-06-11 13:49:02 | Weblog
                       蓮の花・白蓮・紅蓮・蓮華


     てのひらに蓮の紅玉つゝみたし          沢木欣一


     補陀落渡海の船底板の蓮の花           細見綾子


     花散りし蓮の萼のうすみどり           中山敏彦


     蓮ひらく祈りの十指解くやうに          伊藤範子


     白きまま白蓮散れり秋篠寺            長崎眞由美


     白連の大揺れしたり一揆寺            中斎ゆうこ


     群生の蓮に湖国の風荒し             巽 恵津子


     朝風にほぐれつつあり蓮の花           中川幸子


     しののめや蓮見の関の緋毛氈           金田義子


     風の道見えて蓮の葉うら返る           服部萬代


     蓮の風甘し山門拭き抜くる            堀内恵美子


     城跡の濠にひしめく蓮の花            安藤清子




          



     廃工場人は見ざれど蓮咲けり           水原秋櫻子 


     モノレールはるかをゆけり蓮の上         山口青邨


     うち日さす都べ淋し蓮の花            久保田万太郎


     水暗し葉をぬきん出て大蓮華           杉田久女


     散る蓮に咲く蓮高田瞽女滅ぶ           相模ひろし


     咲き進む刻をとどめず蓮の花           稲畑汀子



          


          

            古代蓮・大賀蓮

          古代のハスの実から発芽・開花したハス(古代ハス)。1951年(昭和26年)、
          千葉県千葉市検見川(現・千葉市花見川区朝日ケ丘町)にある東京大学検見川厚生農場
         (現・東京大学検見川総合運動場)内の落合遺跡で発掘された経緯から「検見川の大賀蓮」
          として千葉県の天然記念物に指定されている。



     古代蓮開くや紅のほの暗し            久保田月鈴子


     揺らぎては刻あをあをと古代蓮          鍵和田釉子


     現とも夢とも古代蓮の色             河本遊子


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