チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

たった五十年前されど五十年

2019年04月12日 15時26分41秒 | 日記
ローマでお世話になったMOさんが米寿を迎えたというので近代美術館でランチを共にした
チャコちゃん先生が初めてローマに行き名所旧跡を案内してくれて
挙げ句にオペラ三昧の夜を過ごさせてもらった人
しかも二度目はホームステイでご厄介になった

今から50年前はローマに日本人は少なく
しかも彼女は航空会社の内勤で言葉が達者
ご主人は著名なカメラマンでバチカンの絵画を全部撮影するためにローマに滞在していた(後のヨーロッパ全域になる)

電話は高い電報も高い手紙は一週間かかる飛行機は30時間
一度海外に出ると日本とは疎遠になりその地で生活している人たちのお世話になる

そういう環境の中でこのご夫妻にどれだけの人がご厄介になったか
かの有名なイタリア料理の落合氏もその一人
ローマでの修行中何かとお世話になっていたしその頃作った料理をチャコちゃん先生は味見している
しかしご夫妻7とのお付き合いは私が先輩だったので威張っていたみたい

結局30年間ローマで暮らし
その間帰国するたびに「チャコさん最近の人たちの着物着方窮屈そうね」とか「箸を持てない人が多多くなったのね」とか「きれいな装いになったけどなにか優しさに欠けてきたようね」
という言葉をよく聞いた

ヴァチカンの絵画を撮り終わった時二人は正装で法王に謁見
その時の着物の用意をさせていただいた
法王はいたく感動されたと写真と手紙が送られてきた
(その時の写真も倉庫整理で見つかった)
「あの時誂えてもらった紅花の湯文字と肌襦袢まだ活躍してるわ、死に装束の時着せてもらうつもりよ」
と明るく笑う

彼らが休暇で一時帰国すると(なにせ飛行機代が無料なのがいい)イタリアのいえヨーロッパの話が聞きたくて関係のある人たちが我が家に集まり夜更けまで大賑わい
インタ^ネットのない時代はこうやって仲間が集って情報交換をしていたのだと今更ながら時代の変化に驚く

ローマから実家に戻りご主人もなくなると東京に出てくるのはみたい絵画の展覧会
未だに美術館から招待を受け取るのでその都度チャコちゃん先生ご相伴に預かっている
さらに夜の落合さんのイタリアン(お土産がつくので万難を排して付いていく)

今日もローマでお世話になった方々が30人もあつまる(年々亡くなっていくので一時は50人もいた)
大使館以上のお世話をしていたのではないかと思う
市井の人のほうが愛国心があり同朋を大切にしている謙虚な例だと感動する

#着物 #ローマ #肌襦袢 #紅花 #電報 #死に装束





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