チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 145

2019年04月28日 10時17分41秒 | 日記
無菌蚕について考えている
無菌室で飼育される蚕を見たのは一昨年のことだった
八戸市の市会議員さんのご案内で熊本に赴いた
熊本には一つの企業はもう飼育を始めており、もう一つは山鹿地方でこれから大規模に始めるというので一山いっぱいの桑畑を拝見した
その畑に「桑蚕」を見つけてチャコちゃん先生一人で騒いでいた
桑蚕を知らないという職員がいて害虫だと思い捕獲して焼いていたという

「何と!蚕のご先祖様ですよ!と叫びながら桑畑奥深く入っていくチャコちゃん先生
みんな笑いながらあっけにとられている
しかし発見できずしょんぼりと桑畑から出て来たときは草履が泥まみれ
長靴を出してくださっていたらしいが桑畑に飛び込んだチャコちゃん先生のスピードには間に合わなかった!

さて
蚕は菌に弱い桑の葉に菌があれば瞬く間に伝染してあえなくあの世行き
そのほかにも虫のフンカビ空気汚染、また衝撃音などなど人工的な音や汚染された空気に弱い
そのため菌を出さない飼育の方法を考えるのは当然と言われれば肯定するしか無い

しかし
それはあくまで人間側の考えであって蚕の考えはどうなのだろうと考えてしまう

今回も新潟十日町で無菌蚕の現場に伺った
無菌室の蚕は「のびのび」と成長をしていると言う
ストレスがないのでいい繭を作る
その繭から石鹸や化粧水クリームさらにインナーやサプリメントができている
無菌室の蚕はここでも人様に献身的な一生を送っている

出来上がった商品は素晴らしく今これから人に必要なものばかりだ
そういう蚕に私たち人間はどんな恩返しができるのだろうとそちらばかりを考える

思えば蚕はこの地球に誕生以来桑の葉を食べて悠々と生を楽しんだのは束の間で
自分の命を守り子孫をつなげていく大切な繭を人の手によって取り上げられ、糸にされて人の衣類に役立つように改造されてしまった

古の日本人はその蚕への恩返しに布を捨てない仕立ての着物の形を作り、どのようにも繰り回しの出来る方法を考えた
それは蚕の命を大切にしたいう恩返しをしたい古の人の知恵だ

化粧品やインナーサプリメントは人を心地よくするけれど、それが蚕に恩を返すことになるのだろうか?
餌も大好きな桑の葉だけでなく、科学的に研究開発された大豆も餌になった
それらを粉末にして人工飼料として与える

この世に一か月生きて自分の命を閉じるが
自然の中では一回きり
家の中では三回か4回
無菌室では10回は可能大量生産ができる、しかも病気の心配がないので育てる方も安心

蚕はあの明治維新で大働きして国の経済を支えた
ここでまた令和の経済を支えるために生きているのだろうか?

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#かいこ #無菌蚕 桑蚕 #ちゃこちゃん先生
コメント (1)
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