あしたはきっといい日

楽しかったこと、気になったことをつれづれに書いていきます。

ハラホレヒレハレ

2010-09-14 07:53:08 | 見上げる
日曜は、朝から午後の用事のことをずっと考えていた。だが、谷啓さんの突然の訃報を伝えるテレビの映像に、ずっと考えていたことを含め、動きを止めて見入った。

『元気がでるテレビ』で、集まった人たちが谷さんの「ガチョ~ン」に合わせて「ハラホレヒレハレ」と一斉に倒れ込むという企画を、リアルタイムで見ていたなあと、懐かしんでいた。最近まで、NHKの『美の壷』という番組の案内役を務められていたが、あまり見ないうちに草刈正雄さんに替わっていて、気にはなっていた。

軽妙なトークは、一流のエンターティナーの証だった。だが、谷さんの作品で最も印象に残っているのは、映画『ワンダフルライフ』で、亡くなられた方々があの世に行く前に立ち寄る施設の職員で、そこにいるだけで周りが安心して仕事ができるという、温かさ、優しさを湛えた演技に、観るものにも温かさが伝わってくる。

そしてもう一つ、ドラマ『世紀末の詩』で、捨て子を拾い育て、そして手放す浮浪者役だ。人生は、可笑しくて哀しい。それを併せ持ってこそ一流のコメディアンと言える。コメディアンが役者として名演技を見せるのは、この哀しみを表現するときだと思う。

昨夜、ノベライズのこの章を読んでみた。すべてのシーンを覚えているわけではないが、断片的に思い出す。そして今朝、パソコンを立ち上げ検索すると、その第4話をYouTubeで観ることができた。時間もなかったので5つに分割されたうちの最後を観ていたら、もっとリアルに想い出し、涙が溢れて止まらなくなってしまった。

捨てられた子どもに光を見て、その子を希望に老体にむち打って働き、苦しいながらも親子二人で楽しく暮らしていた矢先、あることがきっかけで離ればなれになっていく。やがて、希望の光を失った父は…

谷啓さんも、そんな希望の光を持った人だった。あっけなく逝ってしまった彼に、迎える側のハナさんや植木さん、青島さんは何て声を掛けたのだろうと推測するのも野暮だと思いながら、改めてご冥福をお祈りする。
コメント
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