映画『悪人』を観た。
映画化されることを知って以来、ずっと楽しみにしていた。原作を読み終えたときに、この作品を映像で見たいと思っていた。いや、原作自体がかなりリアルな映像を脳の中で再構成させてくれた。だが、脚本家や監督次第で、映画化された作品はいかようにもなっていく。それは、原作を読む人それぞれの思いの違いと同じかもしれない。
妻夫木聡さん演じる主人公の祐一が自分自身を語る場面は極めて少ない。ただ、彼の表情や彼がいる家庭を観ながら、その気持ちがリアルに伝わってくる。樹木希林さん演じる祖母が自分の母にダブった。そして、僕は映画が終わるまでずっと祐一に感情移入していた。時に刹那的に女性を求めたくなることがなくはないが、その後の寂しさに耐えられず、むしろ孤独に戻ってしまう点は、彼の若さとの違いかもしれない。でも彼は、幼い日の辛い記憶を照らす灯台の下で、好きな人を愛することに気付いた。追い詰められた彼が彼女にした行為は、彼女を思ってのことだけに、辛く、悲しかった。でも、ラストシーンがそれを救ってくれたような気がする。
李相日監督は『フラガール』しか観たことがなかった。いい作品だと思ったが、先日NHKのBSで放送された『妖しき文豪怪談』の『鼻』を観て、ますます彼に興味を持った。そして、今日の『悪人』に大きく心を揺さぶられた。
『悪人』という言葉をきっかけに、自分自身を、そして大切な人を思う時間を持てたら、きっと明日につながっていくと思う。その人のことを好きならば、その人の「悪人」の部分も好きになれるだろうか。そんなことを考えながら、僕は孤独な夜を過ごす。
映画化されることを知って以来、ずっと楽しみにしていた。原作を読み終えたときに、この作品を映像で見たいと思っていた。いや、原作自体がかなりリアルな映像を脳の中で再構成させてくれた。だが、脚本家や監督次第で、映画化された作品はいかようにもなっていく。それは、原作を読む人それぞれの思いの違いと同じかもしれない。
妻夫木聡さん演じる主人公の祐一が自分自身を語る場面は極めて少ない。ただ、彼の表情や彼がいる家庭を観ながら、その気持ちがリアルに伝わってくる。樹木希林さん演じる祖母が自分の母にダブった。そして、僕は映画が終わるまでずっと祐一に感情移入していた。時に刹那的に女性を求めたくなることがなくはないが、その後の寂しさに耐えられず、むしろ孤独に戻ってしまう点は、彼の若さとの違いかもしれない。でも彼は、幼い日の辛い記憶を照らす灯台の下で、好きな人を愛することに気付いた。追い詰められた彼が彼女にした行為は、彼女を思ってのことだけに、辛く、悲しかった。でも、ラストシーンがそれを救ってくれたような気がする。
李相日監督は『フラガール』しか観たことがなかった。いい作品だと思ったが、先日NHKのBSで放送された『妖しき文豪怪談』の『鼻』を観て、ますます彼に興味を持った。そして、今日の『悪人』に大きく心を揺さぶられた。
『悪人』という言葉をきっかけに、自分自身を、そして大切な人を思う時間を持てたら、きっと明日につながっていくと思う。その人のことを好きならば、その人の「悪人」の部分も好きになれるだろうか。そんなことを考えながら、僕は孤独な夜を過ごす。