多島斗志之 著 「症例A」を紹介します。
S市の病院に赴任した精神科医の榊は、病院の問題児である少女・亜左美を担当するが、前任者の下した診断に疑問を抱きはじめる。
分裂症か、境界性人格障害か。
臨床心理士広瀬由紀は彼女が解離性同一性障害、つまり多重人格者ではないかとアドバイスする。
解離性同一性障害、そのうさんくさい診断に大いに反発を感じる榊。
彼は由紀と力を合わせ、亜左美の病根をつきとめようとする。
精神病に取り組む人たちの苦悩をリアルに描いた作品。
最初は多重人格を信じない主人公の榊が次第に、患者を受け入れ、救おうと努力をするように変わっていく姿が感動的です。
同時進行する国立博物館の極秘の謎解きも人間模様に真実味があり、サスペンスとしても面白さがあります。