桐野夏生著 「水の眠り 灰の夢」を紹介します。
昭和38年9月、地下鉄爆破に遭遇した週刊誌記者・村野は折から世間を騒がせていた連続爆弾魔・草加次郎の犯行を追い続けている内に、ちょっとした揉め事に巻き込まれた。
家を飛び出した甥を連れ戻しに葉山のさる豪邸に出向いたところ、家出した十代の少女を連れ帰ることになってしまったのだ。
少女の父と兄は、少女に容赦ない暴力を奮うのだという。
やむなく少女を自宅に泊まらせ、村野は友人の家に転がり込む。
だが、しばらく経って村野が知らされたのは、その少女・佐藤多喜子の他殺死体が隅田川に浮かんだという事実だった。
殺人犯の汚名を着せられ、真の犯人を追うことを決意した村野だったが……。
東京オリンピック前夜の高度成長期を駆け抜ける激動の東京を舞台に、村野の執念が追いつめたおぞましい真実とは。
孤独なトップ屋の魂の遍歴を描くハードボイルド・ミステリー。
物語は吉永小百合への脅迫事件などで世間を騒がせた草加次郎の事件をモチーフとするだけでなく、アイビールック全盛だったこのころの風俗も取り入れ、高度経済成長真っ只中だった日本の姿を描き出している。