ほぼ是好日。

日々是好日、とまではいかないけれど、
今日もぼちぼちいきまひょか。
何かいいことあるかなあ。

絵を見に行って

2006-06-12 | 観ること。
絵本作家ワンダーランド




絵本の原画展に行くのはずいぶん久しぶりのことです。
画家の筆のタッチまでじっくり見ることができる原画と、絵本として印刷されたものがこんなに違うなんて、とショックを受けたのはもうかなり前のこと。当時はまだ京都に住んでいて、丸善で原画展があるとよく見に行きました。
原画が気に入って絵本を買っても、その絵本から原画で感じた感動は得られず、がっかりしたこともしばしば。当時の私は、たぶん「絵本」としての完成品よりも「一枚の絵」として魅力を感じていたのでしょう。

原画の魅力は、なんといっても画家の仕事ぶりをこっそり覗いているような気分になれることではないでしょうか。筆づかいや画材、修正のあと、色むらなどなど。あっ、こんなところに下書きの線が見えてる、とか、ホワイトのあとが残ってる、なんて発見すると、ちょっとうれしかったりして

この「絵本作家ワンダーランド」は、かなり見応えがあって大満足!
私の好きなバーニンガムやバートンの『小さいおうち』、エッツの『もりのなか』に『クリスマスまであと九日』。ル・カインの作品まで見ることができました。
バーニンガムは大胆な色合いの絵を描いているようにも見えますが、ペンで描かれた線はとても繊細でした。バンサンの鉛筆で描いたデッサンの生き生きとした確かな線。子どもの絵のように大胆で自由なタッチの荒井良二さんの作品の色の美しさ。

最近絵本と遠ざかっていた私には、今回初めて知った作品もたくさんありました。
アンジェラ・バレットの繊細なタッチにはため息がでたし、自由奔放なサラ・ファネリのコラージュは見ていて楽しくなりました。
一番気に入ったのはアンネ・エルボー。『すきまのじかん』の淋しげな人物や、哀愁をおびたブルーにとても惹かれました。帰りに10枚ほど絵葉書を買い、そのうち彼女のを3枚選んだのですが、子どもたちもそれが気に入ったようで2枚持っていかれてしまいました 絵本を買っておけばよかったと後悔・・・

実は『すきまのじかん』とどっちにしようか、迷って買ったのが酒井駒子さんの『金曜日の砂糖ちゃん』なのです。彼女の絵は本の表紙などで見たことはあったのですが、原画を見て衝撃を受けました。印刷になると平面的なのに、原画だと奥行きがあって、黒い背景に白で描かれた少女がとても神秘的で、みずみずしく感じられるのです。この少女の表情にすっかり心を奪われてしまったのでした

なんだか一度に見るのがもったいないような原画展で、今はただ図録をながめてため息をつくばかり・・・。

藤田嗣治展



「絵本作家ワンダーランド」だけでも充分見応えがあったのに、せっかく京都へ来たのだからと「藤田嗣治展」まで行ってきました。
以前なにかの絵画展で見たとき、こってりとした油絵ばかりの中、彼の淡々とした油絵がとても印象的でした。藤田嗣治というと、やはり乳白色の肌をした女性を思い浮かべます。
今回生誕120年を記念して、パリ時代から晩年までの代表作約100点を展示したということですが、彼の作風の変化には驚きました。まるで画家の人生をたどっているようで圧倒され、見終わったあとは正直疲れました

初期のモディリアニ風の細長い人物画から、乳白色の肌をもつ裸婦像になり、その後中南米を旅行してからは濃密な色調にかわっていきます。驚いたのは戦争画もかいていること。裸婦像からは想像もつかないような暗い色調の写実的な戦争画でした。
そして晩年は宗教画や子どもを題材とした絵を描いています。宗教画も西洋の画家とは趣の異なる独特な絵で、不思議な雰囲気を醸し出していました。子どもの絵も、「かわいい」というより「妖しい」というほうがぴったりで、眉のない無表情な顔の子どもたちに妙にぞくぞくしてしまいましたよ

絵を見に行ったあとは刺激を受けて興奮状態で、絵筆をもったら自分にも描けそうな気がするんですけど、いざ絵筆を持ったらどぉ~んと落ち込みそうで・・・ だいたい、絵筆なんて長いことさわってないしなあ。
絵描きさんに必要なのは、たぶん根気なんでしょうね(漫画家でも)。それって私が一番ニガテなことだったから、向いてなかったんだろうなあ・・・

でも、いつかは(時間がとれるようになったら、って無理?)また絵筆を手にして、アクリル画や油絵にも()挑戦してみたいものです。





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外へ出る

2006-06-09 | 日々のこと。
普段、あまり外へ出ません。って、もちろん、買物に行ったり、用事で出かけたりすることはあります。
そうじゃなくて、日常の一歩外へ出ること、とでも言いましょうか。自分からある目的(楽しみ)をもって出かけること、ですね。早い話が旅行とか、友達とランチとか、映画見に行くとか。

うちは自営業なので、半日出かけるにしてもおとーさんの予定とか、お昼ごはんどうしようかな~とか、いろいろ気になるし、外出前と後にばたばたするのも億劫で・・・

でも、もともと旅行が好きだった私は、どっぷり日常に埋もれて生活を送っていると、酸素不足の状態になってしまうのです 
どこか行きたい。どこでもいいから行きたい、って。

独身の頃であれば、ひとりでふらりとお寺へ行ったり、映画を見に出かけたりできましたが、家族がいると家族の予定や仕事の都合を聞かなきゃいけないし、そうなると「ふらりとどこか行く」なんてことは不可能

そんな私が、きのう久しぶりに京都へ行ってきました。
今回はどうしても見たい原画展があったので、前もってチケットも購入し、子どもの予定も確認し、おとーさんにも「出かけるからね!」と早くから宣言し、神戸にいる姉と会う約束もし、準備万端。

本当は今日の予定だったのですが、予報では金曜日は雨マークになっていたので、急遽木曜日に変更。おかげで曇り空で涼しくて(前日は30度くらいあったらしい)、雨もたいしたことなくて、京都近代美術館から河原町まで歩きました。神宮道から青蓮院、知恩院へと続く道は人も少なく緑も美しくて、以前はよく歩いた道です。最近はどこも変わってしまった京都の街ですが、このあたりは昔とあまり変わらなくて懐かしかったなあ・・・。

「どうしても見たい原画展」というのは、「絵本作家ワンダーランド」です。東京で開催されていたとき、いいなあ、見たいなあ、と思っていたら、なんと京都でも開催されるとのこと。すぐに前売りを買いました。ちょうど「藤田嗣治展」もやっていたので、こちらも前売り券をGET。何があっても行くぞ~という意気込みでした。

どちらもほんとに、ほんとに素晴らしく、特に絵本の方は原画展を見るのはすごく久しぶりで、刺激をたくさん受けてきました(詳しい感想はまた後日)。
姉とイタリア料理のお店でおいしいランチをいただき、新しくなったBALの本屋さんをチェックし、すっかリフレッシュして帰ってきました。時間がたりなくて、マリアージュの紅茶も飲めなかったし、子どもたちのおみやげもゆっくり見れず残念でしたが・・・。

姉とは少し年が離れていますが、高校の頃から一緒に旅行に連れて行ってもらったり、私が大学に入ってからは一緒に暮らしたりしていました。ボーナスが入るとフランス料理を奢ってくれたり、車の免許を取ったときはドライブに連れてってもらったり(怖かったけど)、あの頃は二人でけっこう遊んでたなあ
あれからずいぶん年月はたってしまいましたが、おばさんふたりで京都の街を歩くのも楽しいものです。おばさんといっても、姉は170cm、私は168cm。二人並ぶとけっこう迫力あるおばさんたちでしょうね

姉とはもちろん、また遊ぼうね~と言って別れました。
今度は姉のいる神戸へ行こうかな。楽しみ、楽しみ

しかし、家へ帰るとおとーさんがさっそく「次のレース申し込んだから」って、何それ! 夜中に走るレースは心配だからいやだと言ったのに。
どおりで快く京都行きをOKしてくれたと思ったら、こんな下心があったのか・・・








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まるで『スラムダンク』!!

2006-06-05 | 日々のこと。
先日市民スポーツ祭がありました。
次女は中学でバスケをやっているのですが、今年は中三ということもあって、夏の総体に向けて猛練習。市民スポーツ祭の試合はその前哨戦のようなもので、気合もはいるわけです
とりわけ第一試合はJN中と因縁の対決(?)で、ここに勝てば決勝戦(市内に女子バスケ部は五校しかありません)。元バスケ部だった長女と応援に行きました。

試合は五分五分 途中わがA中が波に乗り8点差で勝っていたのですが、疲れが出たのか集中が途切れ、相手がじりじり追ってきます。
しかも第3クォーターでチームのファウルが5回になり、そうなるとファウルのたびに相手にフリースローを与えることになるらしく(長女談)、もうハラハラ、ドキドキ

とうとう追いつかれ、こちらがシュートを決めれば相手も入れるという具合で、残り時間もあとわずか。ラスト2秒で遠くからシュートしたのですが、さすがにこれは入らず同点のまま第4クォーターが終了。

同点の場合、3分の延長戦になります。この長いようで短い3分間!
どちらも一本ずつシュートが入ります。まだ、同点。しかし、残りあと数十秒のところで、相手側のファウル!フリースローするのはJちゃん。
最近まで足首を痛めてて、松葉杖だったのに、大丈夫かしら・・・。もし失敗したら、あの子のことやし、かなり落ち込むやろなあ・・・。お願い、入って~と、祈るような気持ちでした
Jちゃんの手からボールが離れ、弧を描き、そして・・・ゴォール
2本目は残念ながらはずれ、残り20秒をきっています。ああ、なんとか守って~~~

そして、終了のホイッスルが・・・。
我がA中が一点差で勝ったのです!!!思わず感動の涙・・・ 長女も泣いていました。
すごい試合やったね~。どっちが勝ってもおかしくない、いい試合でした。『スラムダンク』を読んでるみたいな緊張感。私にとってバスケは『スラムダンク』がすべて、なのですが、それぐらい感動しました。

で、残念ながら次女は第1クォーターしか出してもらえませんでした まあ、3年が5人しかいなくて、2年で上手な子がいるから仕方ないけど・・・
決勝戦は見ずに帰りましたが、なんと次女はこっちで出してもらい、同点のスリーを決めたりがんばったようです。
結果はA中の優勝!  

しかし、これで総体が大変なことになるだろうなあ・・・。どこもA中には負けるもんか、という意気込みでくるだろうし。
総体まで一ヶ月と少し。
次女よ、がんばれ!
お母さんも、がんばって早起きしてお弁当つくるよ~






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訃報

2006-06-01 | 日々のこと。
最近やたら有名人の訃報が耳に飛び込んできます。
若い頃(子どものとき?)は、たとえば美空ひばりや石原裕次郎といった芸能人が亡くなられたとき、テレビがこぞって大々的に放映し、国民全体が悼み悲しんでるという雰囲気に不思議な気がしたものです。でも、今ならわかるなあ・・・。小さい頃からテレビの画面で知っていた人、というのは、親戚の顔を会わせたこともないおじさんより、よっぽど身近に感じていたわけですね。

岡田真澄さんが亡くなられたのには驚きましたが(それこそ、つい最近までテレビで見かけてたような気がして)、ロシア語の通訳や、作家としても活躍されていた米原万里さんが亡くなられたのにはショックを受けました。
ときどきテレビではっきりとした物言いをされているのを見て、この人かしこそうだなあ、という印象を持っていました。新聞の書評に、彼女の『オリガ・モリソヴナの反語法』のことが書いてあるのをみて、いつか読もうと思ってはいたのですが。
ロシアという国にあまり興味を持っていなかったのと、ロシア人の名前がなかなか覚えられないという理由で(学生のときに買った『カラマーゾフの兄弟』が、読みきれないままほこりをかぶっています)、残念ながらまだ読んでいません。

新聞などで米原万里さんのエピソードを読み、優れた通訳者であっただけでなく、魅力的な人柄を持ち合わせた方だったんだと知りました。エッセイも書いておられるので、ぜひ読んでみようと思います。
56歳と、まだこれからという年齢なのに、本当に残念です。
ご冥福をお祈りします。

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