熊本熊的日常

日常生活についての雑記

「ブリジット・ジョーンズの日記」

2005年05月03日 | Weblog
 楽しい作品だった。イギリスの新聞"Independent"に連載されていた小説を映画化したものだ。仕事を持った30歳代の独身女性を主人公にすることで、同じような立場の女性から圧倒的な支持を受けたという。「等身大」というのは、映画やドラマをヒットに導く鍵であるような気がする。自分は女性ではないので、勿論、ブリジットに自分を重ね合わせるという見方はできないのだが、「こういう奴、いるよなぁ。」と思える人を何人か思い浮かべることができた。それはエンターテインメントとして非常に重要な事だと思う。つまり、見る人を楽しませるには、微妙なリアリティーが必要なのである。
 作品のなかで、ブリジットが友人のパーティーに招かれたら、そこに来ていたのはカップルばかりで、単身で参加した彼女がきまりの悪い思いをするというシーンがある。一方で、作品全体の背景としては、30歳代でも相手に恵まれずに独りで暮らしている女性が珍しくないかのような設定になっている。このあたりがロンドンという大都市を舞台していることのリアリティなのだろう。私がイギリスに留学していた時、何故、夏休みにドイツでホームステイをしていたかといえば、要するに休暇を一緒に過ごす相手がいなかったからに他ならない。欧州というところは場所によって多少の違いはあれ、原則として「つがい」の社会である。映画もコンサートも旅行も2人一組というのがあたりまえの単位のようになっていて、独り者はどこでも居心地の悪い思いをするものなのである。そのあたりの間の悪さのようなものをブリジットが体現しているこの作品が、小説、映画ともにヒットするということは、
「それって、疲れるよね」
と思っている人が当の欧州でも少なくないという証拠だと思い、今頃になって少しホッとした。