いかにも欧州大陸系の作品だと思った。映画はエンターテインメントというよりアートという認識が、特に作り手側に強くあるように感じられるのである。作品の最初の15分間ほどは画面で何が起きているのか理解できなかった。物語の進行につれて霧が晴れるように、ストーリーの全体像が見えてきたので、観終わった時はパズルが完成したときのような満足感を覚えた。
それにしても、人生とはかくも苦悩に満ちたものなのだろうか。たぶん、カトリックの価値観を心の底に敷き詰めた人がこの作品を観ると、
「そうだ、くよくよしないで一歩踏み出そう!」
って思うものなのだろう。心に「べからず」をたくさん抱えている人は、それだけ苦悩も多くなる
ということかもしれない。これはスペインの作品なので、その「べからず」の根幹がカトリックなのかと漠然と感じたのである。
作品のテーマは、自分の人生をもっと愛そう、というようなことだろうか。自分を大切にして、不条理な状況に置かれていると感じたら、そこに留まっていないで一歩前へ出よう、ということではないかと感じた。作中で使われたエディット・ピアフの「愛の賛歌」が、この作品のテーマ曲でもあるということだ。
個別のシーンでは、知恵遅れのアニータが、感情とか意志を表現するのに色鉛筆で描いた絵を使うところに興味を覚えた。はじめ、そこに描かれているのは、犬と散歩をしている自分の姿なのだが、自分の世話をするために雇われた学生ホアキンに好意を持つようになると絵の中の犬を消て、代わりにホアキンと思しき男性を描きこむのである。しかも、そのような絵が壁一面に貼られている。感情の変化がビジュアルに表現されるというところに、バウリンガルの液晶画面を見る思いがした。
それにしても、人生とはかくも苦悩に満ちたものなのだろうか。たぶん、カトリックの価値観を心の底に敷き詰めた人がこの作品を観ると、
「そうだ、くよくよしないで一歩踏み出そう!」
って思うものなのだろう。心に「べからず」をたくさん抱えている人は、それだけ苦悩も多くなる
ということかもしれない。これはスペインの作品なので、その「べからず」の根幹がカトリックなのかと漠然と感じたのである。
作品のテーマは、自分の人生をもっと愛そう、というようなことだろうか。自分を大切にして、不条理な状況に置かれていると感じたら、そこに留まっていないで一歩前へ出よう、ということではないかと感じた。作中で使われたエディット・ピアフの「愛の賛歌」が、この作品のテーマ曲でもあるということだ。
個別のシーンでは、知恵遅れのアニータが、感情とか意志を表現するのに色鉛筆で描いた絵を使うところに興味を覚えた。はじめ、そこに描かれているのは、犬と散歩をしている自分の姿なのだが、自分の世話をするために雇われた学生ホアキンに好意を持つようになると絵の中の犬を消て、代わりにホアキンと思しき男性を描きこむのである。しかも、そのような絵が壁一面に貼られている。感情の変化がビジュアルに表現されるというところに、バウリンガルの液晶画面を見る思いがした。