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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ホロコースト回避の可能性―ユダヤ人の判断は正しかったのか

2014年08月24日 15時00分53秒 | ヨーロッパ
 昨日、NHKのBS1で、「闘うユダヤ人教師」というタイトルのドキュメンタリーを放映していました。このドキュメンタリー、制作の意図は、ナチスの迫害にも屈せず、ユダヤ人のための学校を開設したユダヤ人女性教師の功績を伝えるというものです。しかしながら、この番組を視ながらふと頭に浮かんだのは、ホロコーストは避けられたのではないか、という疑問です。

 ドキュメンタリーでは、ナチスによる政権掌握によって学校で居場所を失ったユダヤ人の子供達の証言を交えて描かれています。一人だけ”ハイル・ヒトラー”を叫ばなかったことから、学友達からも敵視され、孤立してしまった女生徒…。学校の帰り道に親ナチスのドイツ人生徒の待ち伏せに会い、殴られて怪我をした男子生徒…。迫害された子供達にとって、ユダヤ人学校のみが、唯一、安心感を得られる場所でした。確かに、こうした証言は、ドイツ社会におけるユダヤ人の悲劇を物語っています。しかしながら、その一方で、ユダヤ人の側にも、判断の誤りがあったのではないかと思うのです。何故ならば、上述した女生徒の事例に見られるように、ユダヤ人の側も、ドイツ人に対して反抗心と憎しみをエスカレートさせているからです。ドキュメンタリーの中心人物である女性教師も、ユダヤ人学校では、英語のみで授業を教え、ヘブライ語の科目もあったようです。加えて、政府内の高官に働きかけてイギリス留学可能な学校としての指定を特別に受け、多数の生徒をイギリスに送り出しています。ユダヤ人の側からしますと、迫害を逃れるための正当な行為なのでしょうが、国籍国であるドイツへの忠誠を完全に拒絶し、外国であるイギリスと協力することは、とりわけイギリスと敵味方となる第二次世界大戦の開戦以降は、”敵性国民”、あるいは、”内通者”と認定されかねない極めて危険な行為です。ヒトラーが『我が闘争』で記したように、ユダヤ人が第一次世界大戦を敗北へと導き、また、どれほどドイツの政治や経済を掌握していたのかは、今後の客観的な検証を待たねばなりませんが、一般ドイツ国民が戦後の経済破綻で財産を失う中、ユダヤ人だけが富も権力も手にしたとしますと、ドイツ人の反感を買うことは当然に予測できます(ドキュメンタリーのユダヤ人学校も、女性教師が親族から相続した大邸宅に開設されている…)。こうした状況を考慮すれば、ドイツ人の不満を背景に、ヒトラーが反ユダヤ主義を唱えた際に、仮に、ユダヤ人の側が一般のドイツ人の苦境や反感に理解を示す、あるいは、敗戦に関してドイツ人からかけられた疑いを晴らすように積極的に行動したならば(もし、実際に、自らが敗戦原因なら謝罪する…)、あるいは、ホロコーストは避けられたかもしれないのです。この時、ユダヤ人がヒトラー、否、ドイツ人と全面的に対立する選択をしたことは、判断として正しかったのでしょうか。

 ホロコーストは、、絶対的にユダヤ人が被害者であり、ドイツ人は、未来永劫に亘って罪を負うべき加害者とされています。しかしながら、ホロコーストについては、ドイツ人の憎悪を解く努力を怠ったユダヤ人の側にも、歴史を誠実に振り返って反省すべき点があるのではないかと思うのです。

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コメント (2)
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