万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

南シナ海をめぐる米中対立-世界の警察官に復帰したアメリカ

2014年08月11日 15時26分13秒 | 国際政治
南シナ海の領有権問題巡り 米中が応酬(NHKニュース&スポーツ) - goo ニュース
 ミャンマーで開かれたARF=ASEAN地域フォーラムでは、南シナ海における領有権問題をめぐり、米中間で議論の応酬があったそうです。その際、中国は、アメリカを”当事者以外が問題を複雑にしている”と非難したと報じられています。

 果たしてアメリカは、中国が主張するように”部外者”であり、南シナ海問題に口を挟む資格も権利もないのでしょうか。中国からしますと、南シナ海をめぐる周辺諸国との争いはあくまでも二国間問題であって、第三者が介入すべきではない、ということなのでしょう。しかしながら、今日の国際社会には、国家の行動規範としての国際法が存在しています。一般の社会にあっても、個人の間で争いが生じ、当事者での解決が困難な場合には、民事訴訟という制度を通して解決されます。また、ある人が他の人の権利を不当に侵害した場合にも、刑事事件として警察による介入を受けますし、最後は、裁判所で罰を言い渡されます。国際社会を一つの社会に見立てますと、当事者以外の第三国が、国際法に違反する行為を行った国を咎めることは、秩序全体の問題となるのですから、当然のことなのです。オバマ大統領による”世界の警察官”からの引退宣言はあったものの、アメリカ政府は、国際社会の秩序攪乱者としての中国の横暴を見かねて、それでもなおもこの役割を維持しているように見受けます。国際社会では、国内ほど司法制度が整っていないものの、ケリー国務長官は、いわば、国際社会の”警察官”の役割を果たしているとも言えるのです。

 国際社会において法の支配が失われることは、無法者の世界と化すことに他りません。アメリカの”世界の警察官”への復帰が、中国に順法精神をもたらすのであれば、国際社会の安全にとって望ましいことであると思うのです。

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コメント (4)
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