万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

共謀罪への反対は一般国民の不信を招く

2017年02月18日 14時54分11秒 | 国際政治
「共謀罪」対象277に=政府、来月上旬にも法案提出
 現在、日本国では、2000年に署名した国際組織犯罪防止条約を締結すべく、国内法の整備に取り組んでいます。その柱となるのが「共謀罪」なのですが、何故か、反対の声も少なくありません。

 「共謀罪」に難色を示しているのは野党に限らず、与党公明党も同様の立場を示しています。左翼系活動団体との関係も指摘されている民進党や共産党等については、誰もが容易に反対理由の想像が付きます。左翼系団体は、マスメディアを含めて海外でテロ事件が発生するたびに、テロ寄りの立場を表明し、日本国政府を糾弾する姿勢が目立ってましたので、「共謀罪」が成立すれば、自らも取り締まり対象となることを怖れているのでしょう。

 その一方で、与党公明党による反対は、宗教政党としての性格が強い公明党に対する疑念を深めます。同党が、事実上、新興宗教団体である創価学会の政党であることは周知の事実ですが、日本国憲法において政教分離が定められていながら、これまでのところ、同団体の政治活動は既成事実化しています。創価学会は、全国各地に平和会館なる宗教施設を建設し、選挙の度に、会員を動員しているそうです。また、最近では、海外における活動を活発化させと共に、会員の中には、相当数の外国出身者も含まれているそうです。こうした組織力が与党の座を支えているのですが、その体質や活動については北朝鮮の独裁体制に譬えられるなど、マイナス情報も少なくありません。当初予定していた「共謀罪」の数は、公明党の反対により676から277に大幅に減らされており、与党の立場を利用して「共謀罪」の骨抜きを狙っているとしか思えないのです。

 公明党としては、「共謀罪」の効果を削ぐことができたわけですから、”大成功”ということになるのでしょうが、果たして、国民は、公明党の態度を支持するでしょうか。山口代表は、削減の理由として「国民の不安を招く」と述べておりますが、一般の国民は、「共謀罪」に不安など感じないはずです。逆に、甘い対応にこそ、不安を感じるはずです。となりますと、公明党の言う”国民”とは、その実、”学会員”であり、一般の国民の目に触れないところで、内外に広げた自らの宗教ネットワークを活用し、「共謀罪」の対象となるような活動を行っている疑いが濃厚となります。”国民”=特定のメンバーという構図は、”人民”=共産党員のレトリックとも似通っています。

 平和会館等の施設への一般国民の出入りは制限されていますので、同教団は、”共謀”に適した密室を保有していることにもなります。公明党の「共謀罪」への反対姿勢は、逆に、公明党やその支持団体である創価学会に対する一般国民の不信を招く結果となったのではないでしょうか。

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コメント (6)
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