万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国は”戦わずして負ける”を決断すべきでは?

2017年02月20日 14時55分12秒 | 国際政治
 中国大陸において繰り広げられた戦乱の歴史は、学問のジャンルに「兵法」なるものを成立させています。その代表的古典は、春秋戦国時代に誕生した『孫氏』ですが、その代表的な指南は、今では誰もが知る”戦わずして勝つ”です。

 近年、『孫氏』はビジネス向けの解説書や、果ては、子供向けの人生訓が出版されていますが、時代背景も違いますし、元より軍事的戦略書として書かれていますので、他の分野への応用にはリスクが伴います。それでも、軍事の世界では、今日でも参考となる部分はあります。特に、上述した”戦わずして勝つ”が世界大に広まった理由も、文字通りに読めば一先ずは戦争回避を意味するため、今日の平和主義的思想と結びついた結果なのかもしれません。

 誕生の地である中国にあっても、『孫氏』は当然に研究し尽くされているはずであり、現実の政策や戦略に採用されてきたことでしょう。中国が全世界で展開しているプロパガンダ、対外工作活動、各国政府要人、あるいは、経済界の取り込みなどは、”戦わずして勝つ”の実践と見るべきです。しかしながら、現状を見ますと、思惑通り、中国が”戦わすして勝つ”とは思えません。急速に軍事力を拡大させてきたと言え、ハイテク兵器の分野ではアメリカに後れをとっていますし、人民解放軍の近代化も緒に就いたばかりです。また、装備や部品等における海外依存度も高く、戦略物資である石油等の入手ルートも万全ではありません。つまり、戦う前からしてその敗戦が十分に予測されるのです。となりますと、『孫氏』の兵法に従うならば、中国には、逃げるしか道はありません。つまり、”戦わすして負ける”という選択です。対するアメリカは、中国に対して”戦わずして勝つ”力を備えているのですから。

 中国の習政権が、南シナ海における軍事拠点化を継続した場合には、国際法秩序の破壊行為となる以上、必然的に戦争に至ります。そして、中国には正義のかけらもなく、戦争犯罪国と認定されると共に、その敗戦は、火を見るよりも明らかです。このように考えますと、中国は、”戦わずして負ける”を決断し、自ら南シナ海から潔く撤退すべきではないでしょうか。

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コメント (2)
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