万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

”リスクからの逃走”-深刻なリベラルの病理

2017年02月01日 15時16分25秒 | アメリカ
入国禁止49%賛成 反対41%を上回る 米世論調査
 ロイター通信が実施した世論調査の結果に拠れば、トランプ大統領によるイスラム教徒入国禁止措置に対して、「強く」と「やや」を合わせて49%が賛成と回答し、反対の41%を8ポイント上回ったそうです。大統領選においてメディアの世論調査に対する批判があった後だけに、本調査の数字は、一先ずは信頼に足るのかもしれません。

 その一方で、民主党支持者に限定すれば反対が51%に上り、結果は逆転します。個人の自由を最大限に尊重するリベラルな民主党支持者のスタンスからしますと当然の回答なのですが、リベラルの人々には、あらゆるリスクの無視という深刻な病理があるように思えます。リスクの無視とは、自らの理想にとって”不都合な事実”、あるいは、”見たくないリスク”を全て取り払ってしまう思考傾向を意味します。今般のイスラム教徒の入国問題については、イスラム教の教義からしますと、短期的にはイスラム過激派によるテロのリスクがあり、長期的には、アメリカのイスラム化に伴う社会分裂・対立の潜在的リスクがあります。これらのリスクは極めて深刻な問題であるにも拘わらず、リベラルの人々は、決してこれらを直視しようとはせず、リスク判断から逃げているのです。危険性の有無を含む物事の的確な判断や将来予測こそ人間の知性が発揮される領域であるとしますと、理性を信奉するリベラルの方が、余程、理性を用いることを怠っていおります。すなわち、英知の限りをつくして深く思考することを怠るという、知的怠慢が見て取れるのです。

 日本国を見ても、領土的野心の下で軍事的威嚇を繰り返したり、反日教育を実施している国に対して、リベラル路線を歩む日本国政府は、積極的なリスク対策や管理を避けている現状があります。永住資格の短縮化も、RCEPの推進も然りです。”リスクからの逃走”の先に何があるのか、見て見ぬふりは許されないのではないかと思うのです。

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コメント (8)
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